「そばよし」は鰹節問屋直営の立ち食いそば店として、ファンなら誰もが知る名店である。本店は日本橋で、こちらはこの連載の初期・第15回目でご案内済みであるが、今回はご紹介するのはその神谷町店だ。東京メトロ日比谷線「神谷町」駅から歩いて2分。通りを挟んで向かい側には、あの「高本製麺所」もある。こちらも第65回目でご案内済み。営業時間はやや遅めの11時開店。その時間に合わせて一番乗りで店に入る。

  • 「かきあげそば」(410円)と「半ライス」(90円)

開店から間もない時間でも満席の人気ぶり

右手に券売機、正面に厨房。左手側に2列着席カウンターがあり、奥が返却口になっている。店内はラジオがかかり、店員さんも複数名で活気がある。メニューは、たぬき、きつね、わかめ、月見にカレー、ちくわ天、山菜など。どの店舗でも見かけるいつものメンバーだ。ここでは無難に「かきあげそば」(410円)を。さらに「そばよし」といえばやはり「半ライス」(90円)の注文も欠かせないだろう。

厨房に食券を出すと半券を手渡され、席に座って待つように言われる。これは、そばの完成まで多少時間がかかるので厨房前で人がたまるのを防ぐためだろう。入店から一人、また一人と企業戦士が扉をくぐり、気づけば店内は満席になっていたが、このシステムのおかげで店内に混乱はない。完成まで2~3分。受け渡し口で「ネギ入れますか?」と最後に聞かれるのがこの店の流儀らしい。そしてライスを頼んだ人には、写真のような「粉かつお」がセットで供される。店内のプリントによると「本店ビル3階の工場で鰹節を削る際に発生する」もので、これをライスに振りかけ、醤油を適量たらして頂く。要はみなさんご存知、シンプルな「おかかごはん」なのだが、これがまた絶品。はっきり言って、そばより美味い。

名店ならではの不変の確かな味わい

かき揚げは桜えびベースで、旨味たっぷり。当然ながらツユは鰹出汁がかなり強く、塩味は抑えられていながら一味も二味も違う。そばは細打ちで舌触り良し。そばにライスは、いささかアンバランスな組み合わせになってしまうが、舌に広がる豊かな旨味のおかげで箸が止まらない。

  • 東京メトロ日比谷線「神谷町」駅から歩いて2分の「そばよし」

さすが名店にブレなし。3年前の過去の記事を読み返してみたのだが、全く同じ注文をしており、そばよし不変の確かな味に驚くとともに、自分の進歩のなさにも愕然とした。

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に銭湯を紹介する同人誌『東京銭湯』『三重銭湯』『尼崎銭湯』などをこれまでに制作。