今日ご紹介するのは、神保町の「うちそば」というそば屋である。神保町と言っても、土地柄最寄り駅は多い。東京メトロ半蔵門線「神保町」駅から徒歩4分。ほか、「九段下」駅から5分、JRの「水道橋」駅からも7分ほどの好立地。

  • 「野菜天盛りそば」(560円)

外堀通りから一本入った通り沿い、西神田交差点近くにある。近隣は言うまでもなくランチ激戦区。有名チェーン店からこだわりの個人経営の店まで数多くの飲食店が軒を連ねている。水道橋駅から向かう途中でも「富士そば」や「嵯峨谷」がすぐ目に入る。

20人はゆうに入る広々とした店内

緑色の看板と、「う」を丸で囲んだマークが目印。この季節だとうなぎ屋にも見えてしまうな、などと思いつつ、外観を観察する。豊富な写真でデザインされたメニューポスターが何点も店頭に掲示されており、個人ではなく会社が経営を支えているのだろうなと察する。入り口の脇には小窓があり、ここから持ち帰りも利用できるようだ。なんとなくメニューのあたりをつけながら短いのれんをくぐり、自動ドアから中に入る。

入ると目の前に券売機が2台。「唐揚げそば」が珍しかったのでこれにしようと思ったら、奥から「いらっしゃいませ! ただいま天ぷら揚げたてです!」の声で急きょ方向転換。「野菜天盛りそば」(560円)、これにしよう。

奥に進むと、これがなかなか広い。右手に2人がけのテーブルが8脚(2脚ずつ調味料カゴでつながっている)、左手に厨房。店員さんは3名。奥にも左右に着席カウンターが広がっており、20人以上はゆうに入る。食券を渡すと「冷たいのですか?」と聞かれるが、あえてここは「あったかいので」と。天ぷらはツユに溶かしながら食べたい派だ。

揚げたて天ぷらと細切り蕎麦が美味

時間は11時前。相客はいなかったが、水を飲みながら3分くらいは待った。そばを注文してからゆでているのかもしれない。写真では、天ぷらは丼に乗せたが、実際は網付きの小皿に品良く別添え。リッチなルックスである。タネは春菊、カボチャ、ナスと、ちょっと季節がよくわからないラインナップではあるが、立ち食いそばではどれも定番の人気天ぷら。さすが揚げたてとあって、アツアツだ。

  • 東京メトロ半蔵門線「神保町」駅から徒歩4分の「うちそば」

春菊は茎までシャッキリ、ナスはジューシー、カボチャはホクホクで甘い。蕎麦も細切りで口当たりがよく、よくある茹で麺とは鼻に抜ける香りが全然違う。卓上には輪切り唐辛子と七味唐辛子の2種類が。辛味を調整しながら、最後の一滴まで美味しくいただいた。

店を出る頃には、客が1人、2人と入ってきた。次回の唐揚げそばが、今から楽しみだ。

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に銭湯を紹介する同人誌『東京銭湯』『三重銭湯』『尼崎銭湯』などをこれまでに制作。