記録的な酷暑となったこの夏、いかがお過ごしだろうか。筆者は、すっかり体調を崩してしまった。先日40度近い熱を出してしまい、足元もおぼつかない。少し症状が落ち着いたので、こんな時こそ栄養はしっかり、と思い、向かったのは駒込だ。外の気温は37度。夏で暑いのか発熱で熱いのかわからない。JR山手線「駒込」駅から歩いて5分。今月グランドオープンしたばかりの「蕎麦 いなり」に到着した。

  • 「冷製シソベーゼ蕎麦」(880円)

蕎麦とラーメンが選べるモダンな一軒

以前は「きなり」というラーメン店があった場所で、この店は東中野に移転。その跡地に入った蕎麦とラーメンの店が本店だ。目立つようなのぼりや看板などはなく、短い暖簾と「OPEN」のプレートで開店中だとわかる。オシャレなBGMが流れる今風の店内。厨房をL字に取り囲む着席カウンターがあり、店員さんは2名。ご夫婦だろうか?

食券機は店内奥の突き当りに設置。ほぼ開店時間に合わせて伺ったが、先客は既に2名いた。メニューはしょうゆそば、しおそば、もり蕎麦。しょうゆそばとしおそばは、麺を蕎麦と中華麺から選べるらしい。ほか、蕎麦飯やブランマンジェといったオリジナルメニューやアルコール類のあるようだった。しかし、ここでまず食べたかったのは「冷製シソベーゼ蕎麦」(880円)である。お値段はやや張るが、その名前だけで期待に胸が踊ってしまう夏の蕎麦だ。

オリジナリティ溢れる夏の蕎麦

食券を渡して、しばし待つ。一杯ずつ丁寧につくられているからか、しっかり5~6分はかかる。その間にも続々と後客が。やはり冷製シソベーゼは多く注文されているようだった。水を3杯ほど飲んだところで、着丼。

キリッとしまったコシのある蕎麦は、みじん切りで細かくされたシソ、細切りのシソ、パルメザンチーズなどで和えられている。その上にはトマトのシャーベット、脇に添えられているのは生ハムだ。どれも初体験の組み合わせ。まさにここでしか味わえない一杯になっている。チーズ風味のコクのある麺とトマトとシソの清涼感が絶妙にマッチ。さらに生ハムの塩気でパンチのある一杯に仕上がっており、最初から最後まで飽きのこない味。特に一口目は新発見の感動まちがいなし。

  • JR山手線「駒込」駅から歩いて5分で到着する「蕎麦 いなり」

後客は、シソベーゼとビールを注文していた。なるほど、女性に好まれる味かとも思ったが、そば・チーズ・生ハムなど確かに酒のアテにもピッタリだ。羨ましく思ったが、病み上がりであることを思い出しグッと我慢。必ず再訪したい一軒である。

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に銭湯を紹介する同人誌『東京銭湯』『三重銭湯』『尼崎銭湯』などをこれまでに制作。