今回はJR中央線「荻窪」駅の「駅そば爽亭」をご案内させていただきたい。西口の改札を出て目の前。駅からの徒歩でいうとわずか5秒の距離である。「爽亭」は、名古屋駅の立ち食いきしめん「住よし」でお馴染み、株式会社ジャパン・トラベル・サーヴィスが手がける立ち食いそば店で、池袋店は以前この連載でもご紹介した。

  • 「桜えび山菜そば」(480円)

名古屋駅の有名店「きしめん 住よし」と同じ会社が経営

下階への階段手前、大きなタペストリーが目立つ。店前に券売機(交通系ICカード使用可)があり、それぞれのボタンにはメニュー写真があしらわれているのでわかりやすい。主な顔ぶれは、きつね、たぬき、月見、わかめといったいつものメンバーから、ごぼう天、春菊天、イカ天などの常連天ぷら組など。もちろんかき揚げ天やカレーなどもある。券売機最上段はオススメの4品なのだろう、一回り大きいボタンになっていて、順に「桜えび山菜」「ピリ辛菜の花」「かき揚げ天玉」「豚肉生姜」。季節限定2品と定番2品という組み合わせのようだ。なおかつ去年の4月、池袋店と同じラインナップ。春先の定番というわけだろう。ここは「桜えび山菜そば」(480円)をプッシュ。

外から見るよりも店内は広くない。入って右方向にカウンターが2列(イス付き)。座席は両5席の計10席。厨房は大将が一人で切り盛り。14時頃の訪問時、客は5~6人と、ランチタイム後にしては少なくなかったが、テキパキ客をさばいていた。こちらに食券を「そばで」のコールとともに出し、セルフの水を汲んで待つ。イスはカウンターと高さが合っていない気がするので、立ったままで。店内にはAMラジオが流れている。

ほろ苦い山菜と香り高い桜えびが主役!

1~2分で、そばが完成。具材よりもまず目立つのは、白くて細い麺だ。その上に揚玉、山菜の煮たの、桜えびが盛られていて、見た目にも華やかな一杯になっている。ツユはさっぱりと、塩気は少なく旨味が強い。細かい揚玉がそれにパンチをプラス。細麺によく絡み合う。ほろ苦い山菜と香り高い桜えびは、あまり立ち食いそばでは味わえない風味。具材としては脇役のイメージが強いのに、春の風に乗って一躍主役に躍り出たという格好だ。ぜひこの季節に味わっておきたい。

  • JR中央線「荻窪」駅、西口改札からすぐ

立ち食いそば屋は、同じチェーン店でも場所によって個性が全く違う。今回は池袋店とメニューの差異は確認できなかったが、店によっては出すそば自体を変えているところもある。「爽亭」は、都内にはまだ上野駅と国分寺駅にあるようなので近いうちにこちらもチェックしていきたい。

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に銭湯を紹介する同人誌『東京銭湯』『三重銭湯』『尼崎銭湯』などをこれまでに制作。