所用で立ち寄ったJR中央線「東中野」駅。今回は、こちらで見つけた「立ち喰い えきそば」の一杯をご紹介する。場所は、その名の通り「駅のそば」。と言っても駅構内ではなく、西口を出たところすぐにある。

  • 映画の後は東中野「立ち喰い えきそば」に! 「野菜かき揚げそば」を食す

    「野菜かき揚げそば」(410円)

ポレポレ東中野のすぐ近く!

線路に沿った西口から東口にかけての坂道に面しており、すぐ近くにある「ポレポレ東中野」は映画ファンには有名なミニシアターだ。元々この場所には有名チェーン「名代富士そば 東中野店」があり、40年近く続いた同店が昨年閉店。ほぼ"居抜き"の状態でこちら「立ち喰い えきそば」がオープンしたようである。

店外のショーケースや食券機の位置まで同じなのだから、もしかしたら閉店に気づかない人もいるかもしれない。

早速メニューを決めたい。数は多くもなく少なくもなく。月見やわかめ、きつね、たぬきといった超王道から、コロッケ、ちくわ天、カレーなどあったら嬉しいそばまで取り揃えている。丼セットもかつ丼やかき揚げ丼など。変わりダネはなく、堅実で最大公約数的なラインナップといえる。ここはひとつ、立ち食いそばの顔「野菜かき揚げそば」(410円)を頂くことにしたい。

真っ当な確かな味「野菜かき揚げそば」を食す

食券を買ったら自動ドアから店内へ。中は狭く、大部分が厨房で、客は5~6人入ればパンパンなのでは、というくらいのスペース。全て立ち食いカウンターで、イスはない。15時前の訪問で、相客は2人ほど。ラジオが流れる店内は、女性の店員さんがひとりで取り仕切っていた。食券を出し、水を汲んでカバンを下ろしている間に即完成である。

  • JR中央線「東中野」駅。西口を出たらすぐ

まず印象的なのは色濃いツユ。真っ黒、というほどでもないが、関西方面ではまず見られない、明らかなる東京のそばである。一口すすると、想像通り塩辛さはほとんどなく、むしろ甘みが強い。さらに揚げ置きでしっとりとしたかき揚げが早くも溶け出しているので、まろやかでコク深い味わいになっている。乱暴な言い方をすれば、安い旨味。高級なそばでは出せない味わいは、どこかホッとする。麺は細めで、冷しにも合いそうな歯ざわり。ちょこんとわかめが添えられているのも嬉しい。

佇まいやメニュー、味も含めて、強烈な印象を残すかと聞かれればそうではないが、立ち食いそばとして真っ当で確かな味がある。この店もまたこの場所で、長く続いていくような気がしている。

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に銭湯を紹介する同人誌『東京銭湯』『三重銭湯』『尼崎銭湯』などをこれまでに制作。