副業元年と言われた昨年から、さまざまな副業が注目されているが、実際には副業をしたくても、何をどうすればいいのか分からないという人が多いのが現状だ。そこでオススメなのが「自分の得意なことを仕事にしてしまう」というパターン。この連載では、これまで起業の相談に応じてきたクライアントの中から、スキマ時間とこれまでの経験をいかし、自分の得意なことで収入を生み出している人を紹介していく。
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高校球児を指導する小林さん
今回は、ジュニアアスリート専門の食育コンサルタントで、特に球児をメインとしてコンサルティングを実施している小林功明さん(40代)を紹介する。
小林さん自身も、もともと高校球児。その後も野球、ゴルフのツアープレイヤーとして活躍する中で「身体づくりはトレーニングだけじゃない」と気づいたことが、起業のきっかけとなった。アスリートへの栄養指導、トレーニング指導などの仕事を経て、ジュニアアスリート専門食育コンサルタントに転身している。
自分の経験が最大限に活かせる仕事
「身体を大きくしたい、けれど身軽に動きたい」「ケガや故障を減らしたい」「勝率を上げたい」……このようなジュニアアスリートたちの要望に応えるのが、小林さんの仕事だ。
ジュニアアスリートや彼らが所属するチームに対して、トレーニングと並行し食育指導を実施することで、より効率よく、理想の体型・体質へと変化してもらうためのコンサルティングを行っている。
「これまでの自分の経験と知識を最大限に活かせますし、ジュニアアスリートや指導者の皆さんに喜んでもらえる仕事だと思いスタートを切りました」。
この仕事を始めたきっかけを小林さんはこう語る。
「そしてやっぱり、選手たちの心と身体がどんどん成長しているのを間近に見て感じられるのは、大きなやりがいですね」。
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選手たちの成長が大きなやりがいと語る小林さん
苦労を喜びに変える「情熱」
実際に小林さんが食育指導した高校野球の選手たちは、理想の身体づくりを実現し、甲子園出場を果たしたチームもあるという。
とはいえ、意外と知られていないこの仕事を軌道に乗せるには予想外の苦労があったそうだ。
「当初、経理や営業、食育指導に選手たちの身体マネジメントなど、ほとんどの業務を自分1人でやっていましたので、時間にも追われて大変でしたね。もちろんそれを覚悟の上での起業でしたが、思っていたよりもハードでした」。
また、選手一人ひとりの性格や身体の体質、プレースタイルを把握し、的確なタイミングでアドバイスを送ることが必要なため、慎重さも求められるという。
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選手一人ひとりに合わせたアドバイスを大事にしている
「ジュニアアスリートは成長期ですし、デリケートな年頃でもありますので、難しさはありますね。でも、それがやりがいにつながっていたりもするのですけれど」。
そう語る小林さん。そもそもこの仕事に情熱を持っているからこそ、苦労も全てやりがいに変えていくことができるのだろう。
筆者も数々の副業人、起業人を見てきているが、やはり情熱に勝る成功要因は無いと考えている。
成功の要因は「感謝」と「諦めない姿勢」
そうした中、着実に契約校数を増やし、月商は当初の4倍を記録しているという小林さん。本人は成功要因をどのように捉えているのだろうか。
「まだまだ稼げているとは思えませんが、それでも少しずつでも売上を伸ばせているのは、周りの方々のお陰だと思っています。あとは、経営にしろ、選手たちのマネジメントにしろ、何があっても諦めないと自分で決め込んでいるからじゃないでしょうか」。
驚いたことに、成功要因のオンパレードである。先ほど挙げた「情熱」もそうだが、加えて周りへの「感謝」、そして「諦めない姿勢」、これでは成功しないわけがない。
そんな小林さんに、今後の展望を聞いてみた。
「私の食育は、ただ栄養素を考えて食べるというだけのものではありません。またプロテインを含めたサプリメントに頼るものでもありません。この独自のノウハウをもっと広めて、さらに多くのジュニアアスリートたちの成長をしっかり促していける環境づくりをしていきたいですね。食育を通してケガや故障を減らし、理想の身体づくりができ、思う存分プレーができる、そんな環境づくりです。そして、その成長を促していける人も育てること、つまり私のようなジュニアアスリート向け食育コンサルタントの育成です」。
小林さんのビジネスモデルは社会貢献度も大きく、今後日本のスポーツ界のスタンダードとなっていくのかもしれない。小林さんの活躍とともに、ジュニアアスリートたちの活躍も増えるかと思うと楽しみでならない。