運送業経営のかたわらブレイクダンス講師として活躍 - 成功の秘訣とは?

副業元年と言われた昨年から、さまざまな副業が注目されているが、実際には副業をしたくても、何をどうすればいいのか分からないという人が多いのが現状だ。そこでオススメなのが「自分の得意なことを仕事にしてしまう」というパターン。この連載では、これまで起業の相談に応じてきたクライアントの中から、スキマ時間とこれまでの経験をいかし、自分の得意なことで収入を生み出している人を紹介していく。

第20回となる今回は、運送業の経営者として奮闘しながらブレイクダンスの講師として活動している田村卓也さん(27歳)を紹介する。

• 運送業の経営のかたわら、ブレイクダンスの講師として活動する田村卓也さん(27歳)

意外にも田村さんは副業を始める際は「ブレイクダンスありき」ではなかったという。

「最初は、副収入が得られれば方法は何でもいいと思っていたんです。でも結局は好きなことを仕事にしたほうがいいと考え、突き詰めていくと『ブレイクダンスでやろう』ということになりました」

生徒はブログとYoutubeで集める

田村さんは中学生だった2005年頃にヒップホップ文化と出会い、その後ブレイクダンスにハマった。そして2013年頃、副業として収入を得るための方法を模索する中で、ブレイクダンスインストラクターとしての活動を開始するに至ったのだそうだ。

現在、フリーのブレイクダンス講師として各地でレッスンやワークショップなどを対面で行い、月々の収入は5万円程度になるという。基本は大阪での活動だが、講師料＋交通費さえ負担してもらえれば、全国どこにでも教えに行くというシステムだ。

そもそも、ブレイクダンスを習いたいという生徒をどのようにして集めているのだろうか。

「集客はブログをメインに使って行っています。あとは、Youtubeで動画を配信したり、メールマガジンを配信したりもしています」

動画配信はファン作りに最適のツール

生徒は若い世代の人が多く、ウェブ媒体をいかにうまく使いこなすかが集客のポイントになってくる。

たとえば、動画配信。田村さんのようなジャンルはもちろん、今やあらゆるジャンルで動画配信は有効な手段となっている。配信サービスもさまざまなサイトやアプリが登場しており、スマホ1つあれば誰でも気軽にライブ配信や録画配信が可能だ。

筆者も動画配信をオススメすることが多いが、実際に動画を使うことのメリットとしては、
・動きが見えることで理解度がアップする
・講師の人柄が伝わりやすい
・ライブ配信なら視聴者がコメントを書き込むことで交流も可能に
などなど。視聴者に安心感を与え、信頼度アップやファン作りに役立つのだ。

• 動画配信はファン作りに最適なツールとも言える

「動画でどんどんコンテンツを出してしまうと、無料で学べるのでお金を払ってまで生徒が来てくれなくなるのでは?」と心配する人も多いが、実際にはその逆で、出せば出すほど信頼度が上がり、生徒は増えるのである。

成功のカギは楽しむことと続けること

とは言え、その積み重ねで集客ができるようになるにはそれなりに時間もかかるし、工夫も必要だ。田村さんも決してあっという間に集客ができたわけではない。

「やっぱりブログを育ててアクセスを増やすのには苦労しました。ネタ切れで何を書けばいいのか分からなくなる時もありましたし、ブログスランプもありましたから」

また、集客以外の苦労もある。

「ひとつ失敗談がありまして、定期レッスンで使っていたレンタルスタジオが閉鎖してしまった際に、対応が遅れて生徒さんたちに迷惑をかけてしまったんです。あと、普通にグループレッスンではレッスン内容の組み立てに頭を使いますし、また本業もダンス講師も体が資本なので、睡眠や休養はきっちり取るよう心がけています」

• 苦労や失敗を経験しながらも成功できた秘訣とは……

それでもこうして、ブレイクダンス講師で成果を出せているのは、諦めずにやり続けてきたから、そしてそれを楽しめているからだと田村さんは言う。

「将来は、ブレイクダンスを始める際のハードルをもっともっと下げて、誰もが気軽に楽しめるようになる、そんな取り組みもしていきたいですね」

そう夢を語る田村さんには、「体が資本」という本業と副業の掛け持ちにも疲れを感じさせない、そして楽しいからこそ充実している、という輝きが感じられた。

これからの副業はただ稼ぐ手段としてではなく、やはり夢や目標を持って取り組むべきだと筆者も再認識させていただいた。