JR東海・JR西日本の「エクスプレス予約」は、普通に利用するだけで所定の運賃・特急料金の合計よりお得になるが、購入期間や対象となる列車を限定しての、さらなる割引サービスも行われている。

  • 東海道・山陽新幹線を安く利用するには、エクスプレス予約などを使った早めの予約がオススメ

    東海道・山陽新幹線を安く利用するには、エクスプレス予約などを使った早めの予約がオススメ

ネット予約でお得に乗れる

航空運賃では、早めに予約すると割安になる「早期購入割引」や、特定の路線や便が割安になる「特定便割引」などが知られている。考え方としては、エクスプレス予約も同じだ。早く予約・購入すると割引が適用されたり、さほど混雑しない日や時間帯だと列車が安くなったり、というところだ。そのような割引は、「スマートEX」でも同様に利用できる。

ただし、割引が適用される列車や席の数には限りがある。たとえ列車としては空席があっても、安い商品が"売り切れ"になってしまっている場合もあるので、とにかく予定が確定したらすぐ予約しておくにこしたことはない。

東海道・山陽新幹線に安く乗るには?

「エクスプレス予約」「スマートEX」では、21日前までの予約で「のぞみ」の普通車指定席が割引になる「EX早特21」が一番割安だ。東京=新大阪間だと、所定の運賃・特急料金の合計1万4,450円が、エクスプレス予約だと通常1万3,370円、スマートEXでは1万4,250円に割り引かれるが、EX早特21が利用できればいずれも1万1,000円になる。約24%も割引になるわけだ。

EX早特21が適用される列車は、乗車駅を6時00分~6時59分、または11時00分~15時59分に発車する「のぞみ」に限られる。普通車指定席のみの設定である。

また、3日前までの予約で、長距離区間の「のぞみ」が割引になる「EX早特」もある。設定があるのは、東京・品川・新横浜からだと岡山より西の「のぞみ」停車駅との相互間。名古屋・京都・新大阪からだと小倉・博多との間だ。これだと例えば、東京=博多間の所定の運賃・特急料金の合計が2万2,950円が1万7,000円になる。やはり約26%の割引だ。

  • 東海道・山陽新幹線を割安に使うなら、インターネット予約利用が大きなアドバンテージとなる

    東海道・山陽新幹線を割安に使うなら、インターネット予約利用が大きなアドバンテージとなる

その他にも、いずれも3日前までの予約で、早朝の「のぞみ」と終日の「ひかり」のグリーン車が割安になる「EXグリーン早特」。「こだま」のグリーン車が割安になる「EXこだまグリーン早特」がある。

ふたり以上の、ファミリーなどのグループ向けの商品としては、土休日の「のぞみ」普通車指定席とグリーン車が利用できる「EXのぞみファミリー早特」。「こだま」普通車指定席とグリーン車が利用できる「EXこだまファミリー早特」もある。

もっと単純に、片道の営業キロが601km以上(東京都区内からだと西明石以西)の区間を往復一括購入すると、エクスプレス予約、スマートEXとも「往復割引」が適用される。

「エクスプレス予約」の利点はそのまま

これらの割引を利用する場合、専用サイト上では特別な操作は必要ない。通常の予約操作を行うと、候補となる列車に割引商品が適用される場合には、その旨がロゴで示され、列車を選択すると割引商品も一覧の中に出てくる。利用したい割引を選べばいいだけのことなのだ。

しかも、全ての割引において、「エクスプレス予約」「スマートEX」の「発車時刻まで何度でも、手数料なしで変更可能」という特典が適用される。EX早特から通常のEX予約サービスへの変更も可能で、差額を支払えばいい。反対に、日程が延びたような場合、乗車希望の列車に割引が適用されるのなら、通常のEX予約サービスからEX早特などへの変更も可能で、差額は精算すればいい。払い戻しする場合の手数料も通常通り。

さらに、乗車する際の手順も、通常のEX予約サービスと何ら変わらない。つまりは、いたってシンプルにエクスプレス予約、スマートEXと同様に予約・利用すれば、安い値段で東海道・山陽新幹線に乗れると考えていいだろう。

「グリーンプログラム」とは?

これは、エクスプレス予約のみ(スマートEXにはない)のサービスだが、「グリーンプログラム」は頻繁に東海道・山陽新幹線を利用する人にはお得なポイントプログラムだ。エクスプレス予約を使って東海道・山陽新幹線に乗ると、1回乗車する度に自動的にポイントが貯まり、貯まったポイント数に応じて、「のぞみ」「ひかり」「こだま」のグリーン料金が無料になる(特急料金は必要)というものである。

  • グリーンプログラムで貯まったポイントを使えば、「のぞみ」のグリーン車がかなり安く利用できる

    グリーンプログラムで貯まったポイントを使えば、「のぞみ」のグリーン車がかなり安く利用できる

貯まるポイントは区間によって設定されている。例えば東京=新大阪間だと1乗車あたり90ポイント、東京=広島間では130ポイントだ。

そして、「のぞみ」のグリーン料金を無料にするには1,000ポイントが必要。同じく、「ひかり」は800ポイント、「こだま」は600ポイントとなる。この必要ポイント数は乗車区間の長短には関係なく、たとえ隣りの駅までの利用でも、東京=博多間の利用でも同じポイント数が必要だ。できるだけ、長い距離を乗る時に使いたいサービスである。

ポイントの利用は簡単。必要なポイントが貯まっていれば、乗車候補の列車を選ぶと自動的に「EX予約(グリーン特典)」という候補も出てきて、それを選択すればいい。後の利用方法も、通常と全く同じだ。

  • 「EX早特」と「グリーンプログラム」の特典を同時に利用した例。普通にきっぷを買うと3万80円の区間だが、それが1万7,000円と半額近くになった

    「EX早特」と「グリーンプログラム」の特典を同時に利用した例。普通にきっぷを買うと3万80円の区間だが、それが1万7,000円と半額近くになった

ポイントには有効期間があり、乗車日の翌年の6月30日が期限。忘れずに利用したい。EX早特などの割引商品との同時利用も可能だ。"合わせ技"を使えば、かなり安く、楽に長距離移動ができる。

※写真はイメージであり、本文とは関係ありません。

筆者プロフィール: 土屋武之

1965年、大阪府豊中市生まれ。鉄道員だった祖父、伯父の影響や、阪急電鉄の線路近くに住んだ経験などから、幼少時より鉄道に興味を抱く。大阪大学では演劇学を専攻し劇作家・評論家の山崎正和氏に師事。芸術や評論を学ぶ。出版社勤務を経て1997年にフリーライターとして独立。2004年頃から鉄道を専門とするようになり、社会派鉄道雑誌「鉄道ジャーナル」のメイン記事を毎号担当するなど、社会の公器としての鉄道を幅広く見つめ続けている。著書は「鉄道員になるには」(ぺりかん社)、「まるまる大阪環状線めぐり」(交通新聞社)、「新きっぷのルール ハンドブック」(実業之日本社)、「JR私鉄全線 地図でよくわかる 鉄道大百科」(JTBパブリッシング)など。