ついつい家族や子どものことを優先して、セルフケアは後回し……。そんな人にこそおすすめしたい、“セルフ推し活”。推しへの貢ぎものだと思えば、「自分に時間やお金を使うこと」も罪悪感なく受け入れられるようになるはずです。

自分を“推し”にするという「セルフ推し活」を始めたイラストレーター・漫画家のワダシノブ氏も、以前は自分を雑に扱っていたけれど、セルフ推し活をきっかけに、自分を大事にすることができるようになったそう。

今回はワダシノブ氏の著書『セルフ推し活BOOK 自分=推しとして過ごすアイデア36』(ワニブックス)より「推し(わたし)に貢ぐ」ことで変わってきた心境の変化についてお届けします。

推し(わたし)に貢ぐ

わたしを推しとして扱うようになってから、生活に色が戻ってきたように思う。今まではセルフケアに抵抗があったが、推しへの貢ぎものだと思うことで、自分を大事にすることを受け入れられるようになってきたからだろう。

貢ぐと簡単に言うけど、何年もの間、自分にお金や時間、手間をかけることにものすごく抵抗を感じてきた。二十代の頃は自分が最優先だったけど、家族や仕事などを優先するようになった結果、いつの間にか「自分なんかに時間やお金を使うのはもったいない」という気持ちが強くなってしまったのだ。

人生の一時期、優先順位を考えて、そうせざるを得ない時もあったのは仕方ない。でも、自分を後回しにする癖がついた結果、本当は自分を優先するべき時でさえ、自分を雑に扱うことが、当然のこと、良いことのように思うようになってしまった。
自分を雑に扱い続けるうちに、自己犠牲と言えば聞こえはいいが、わたしには丁寧に扱われる価値がないという卑屈な考えが身につき、自分を傷つけてしまっていた。

特に専業主婦だった頃は、無収入の自分に後ろめたさを感じて、身なりもコストパフォーマンスを優先。自分に似合うものを探す努力を放棄して、自分に罰を与えるような感覚で安いものを選んでいたように思う。心がギスギスしていた。

「おばさんなんか誰も見ていないから」という言葉を自分を雑に扱う言い訳のように使っていたけれど、誰も見ていなくてもわたしは見ていた。自分が一番雑に扱っていることを良くわかっていた。そして、本当に自分のことがどんどん嫌いになっていった。

でも、セルフ推し活を始めたことをきっかけに、推しに貢ぐ気持ちで、自分に貢げばいいのでは? と考えられるようになった。
もちろん、急にシャンパンを開けることができるわけではない。だけど、ゆっくりお風呂に浸かったり、おいしいお茶を入れたり、気持ちをゆったりできる時間なら、すぐに貢ぐことができた。

自分を「おもてなしする」と言うとなんだか構えてしまうけど、「推し活」だと思えば、推しに対するように優しく自分を扱えばいいので簡単だ。美容院に行けなくても、まずは髪をしっかりトリートメントするところからだけど、それだけでもわたしは変わっていった。
「セルフ推し」を始めてまだ間もないから、ふとした時に「いやいや、無駄でしょう」という気持ちが出てくる時はある。けれど、そこは「わたしの推し」を大事にするのは当然、と自分に言い聞かせている。

そして自分を推していることで、周りにいる人にも前より優しくできるようになった。独りよがりの自己犠牲による「わたしだけがかわいそう」というあのギスギスした気持ちが、消えていった。他の人を大事に思うように、自分も大事にしている。そう行動で示せるようになった。これからも、もっと推しに優しく貢いでいきたい。

ワダシノブ:広島県生まれ、イタリア在住のイラストレーター・漫画家。ステイホーム期間中に人生で初めて「推し」と出会った。イタリア人の夫、2人の子どもと暮らしている。

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