いつもご覧いただきありがとうございます。産業保健WEBメディア「サンポナビ」編集長の飯塚です。各地で梅雨明け宣言が出ていますが、この時期に注意したいのが「食中毒」です。今回は、筆者が食中毒になった時の辛さを回想するとともに、「食べ方」の注意点をピックアップして紹介します。

「たかが食中毒」と考えられなくなった思い出

■筆者が食中毒になって、地獄を見た話

「食べ物を粗末にしたくないから、ちょっとヤバそうでも食べる」

―――そう考えていた時期が僕(筆者)にもありました。ただ、結論から言うと「ヤバそうな食べ物・食べ方」は絶対に避けるべきです。筆者も数年前、食中毒になった経験がありますが、はっきり言って地獄です。その時の様子を書いてみたいと思います。

・ある日(初夏)の真夜中、強烈な吐き気で目が覚める
・そこからは「嘔吐→疲れる→横になって休む→強烈な吐き気→嘔吐」(以下ループします)
・救急車を呼ぶべきか迷っているうちに朝を迎える(というかマトモな判断が出来ない)
・数時間後、高熱が出る(筆者の場合は39度前後の体温になりました)
・吐き気は2日間程度で収まったものの、発熱と腹痛はその後も続く(もちろん会社は休んでいます)
・3日目くらいから高熱により体力がどんどん失われていき、ほとんど横になっていることしかできない(フラフラで近所の病院にも行けない)
・意を決して病院まで行く(食中毒と診断される)
・そんなことをやっているうちに、5~6日程度で回復

■もし食中毒になったら、「とっとと病院に行く」

と、まあこんな状況になっている場合には、無理をせず、必ず医療機関を受診してください。

筆者の場合は身体の倦怠感が強く、「今は動きたくない」と思うと同時に「さすがに今日1日寝ていたら少しは良くなるだろう」と考え、病院の受診が遅れました。これについては、もっと早く診てもらうべきだったと後悔しています。(病院へ行くと「よくこんな状態になるまで我慢してましたね。もう治りかけていますが、本来なら入院ですよ」と言われました……)。

結果として、その後に体調が回復するのですが、数日間で体重は5~6㎏も減りましたし、寝込み過ぎて体力が落ち、回復後も徒歩5分のコンビニに行くことさえしんどいような状態でした。(寝込んでいる数日の間に新元号が発表され、お昼のTVで見られたのはいい思い出……?)

筆者の場合、当時まだ20代で体力があったこと、一人暮らしではなかったこともあり、大事に至らずに済みました。しかし、食中毒になった時のことを、あの地獄のような日々を思い出すと、亡くなってしまう方がいても不思議ではないなと思っています。

食中毒は、知っていれば「避ける」ことができる

■食中毒になった原因は「冷凍していた肉」。夏場はお弁当にも注意

筆者の場合は「冷凍していた肉」が食中毒の原因のようでした。いつ作ったのかあまり覚えていない“ハンバーグのタネ”が家の冷凍庫にありました。「冷凍してるし大丈夫でしょ」そして「捨てるのはもったいない」と考え、フライパンで熱し、その日の晩御飯にし、美味しくいただきました。そしてその夜に、強烈な吐き気で目が覚めたわけです。

でも、こんなこと、いくらでも起こりうると思いませんか? 例えば夏場、作っていったお弁当を会社で食べるとき、「なんかちょっとだけ変な臭いがしていたけど、もったいないから食べた」というようなことです。こうした場面に、食中毒を避けられるかどうかの分岐点があるのでしょう。

ちなみに、夏場のお弁当は、「清潔に作る」「しっかり加熱調理する」「適切に保冷する」ということがとても重要。この点については、農林水産省のホームページで詳しく紹介されていますので、“お弁当派”の方は見ておくことをおすすめします。

農林水産省:「お弁当づくりによる食中毒を予防するために

■夏場、テイクアウトやフードデリバリーを利用する際の注意点

コロナ禍で利用者が急増したフードデリバリーサービスですが、夏場の利用には十分注意しましょう。ちなみに、厚生労働省でも夏場のテイクアウト・フードデリバリーについては注意喚起を行なっています。結局、食中毒菌が増殖する温度というのが20~50℃と言われています。ですので、テイクアウトで購入した食品はなるべく早く食べること。

なお、フードデリバリーを利用する際は、適切な配送方法によって運ばれてくるかどうかが重要とされています。特に、炎天下では、運ぶ食品に適した温度管理がされていることが大切になります。また、食中毒菌が死滅しづらい「半熟卵」や「レアな(加熱の)肉」の注文は控えることが推奨されています。厚生労働省では、テイクアウト・フードデリバリー利用時の注意点をチラシにしていますので、利用する前にチェックしておきましょう。

厚生労働省:「重要なお知らせ テイクアウト・デリバリーにおける食中毒予防」

さて、長くなりましたが、食中毒のつらさは相当なものです。ですので、会社に産業医がいれば、衛生講話などで食中毒をテーマにしてもらい、その危険性と予防法を教えてもらうことも大切です。そんな風にして、ぜひ皆様も食中毒にご用心ください……。