暑い夏の時期はシャワーなどで体を洗う回数も増えがちだが……

インターネット上で見かける「これ、本当? 」などと感じる健康に関する「都市伝説」の真偽に迫る本連載。今回のテーマは「体を洗う回数とスキンケアの関係」だ。

これから夏に向けて本格的に暑くなってくるが、そうなると気になるのが汗によるべたつきや臭いだ。その悩みを解消すべく、人によっては夏場は起床後や帰宅後など、複数回にわたりシャワーを浴びたり、浴槽につかったりするだろう。

そういった清潔好きな人がこのような噂を聞いたら、ちょっと驚きを隠しきれないのではないだろうか。

「過度に体を洗うのは、かえって肌によくない」。

果たしてこの噂は本当なのだろうか、それともうそなのだろうか。南青山皮膚科 スキンナビクリニックの院長である服部英子医師に話を伺ったところ、ある程度は正しいという。

「肌を清潔に保つ事は重要ですが、洗いすぎ、擦りすぎの方が多く、逆に敏感肌を作っているように思います。ほこりや汗は洗い流すのみで対応が可能です。皮脂汚れには石けんが必要となります」。

一日に何度も体をゴシゴシ洗うなどして、逆に皮膚トラブルを招いてしまう可能性もあるというわけだ。同医師のクリニックにはアトピー性皮膚炎の患者がよく診察に訪れるそうだが、服部医師は全身を石けんで毎日洗う必要はないと指導している。

「日本人は清潔志向がすごいですし、洗うこと自体は別に悪いことではありません。ただ、肌の状態によって保湿ケア(毎日朝・晩全身に保湿クリームを塗る)ができる人はいいですけれど、『洗わないことのリスク』よりも『洗いすぎることのリスク』の方が大きい方に関しては、入浴の仕方をお話させてもらう場合もあります。皮脂分泌の多い部分(上背部、上胸部、頭部)や汚れや汗がたまりやすい部位(首、股、でん部、手足)は石けんで毎日洗い、その他の部位は2~3回/週のペースで洗うことをお勧めしています。石けんも泡立てて、手でやさしく洗うようにお話しています」。

なお、髪の毛に関しては一日に何度洗髪しても問題ないそうだが、洗い方には要注意と服部医師は指摘する。大事なポイントとしては「毛髪を洗うのではなく、頭皮を洗う」ことで、洗い方も指の腹で優しくなでるようにし、指を立ててガシガシと洗うのはNGだという。

上述したような体や髪の洗い方をしていた人は、早速今日からその習慣を改めてみてはいかがだろうか。

※写真と本文は関係ありません

記事監修: 服部英子(はっとり ひでこ)

東京女子医科大学卒業。皮膚科専門医。日本皮膚科学会、日本レーザー学会、日本臨床皮膚科学会、日本アレルギー学会に所属。大学卒業後に東京女子医科大学病院やJR東京総合病院の皮膚科に勤務した後、2005年より南青山皮膚科 スキンナビクリニックの院長を務める。