連載『「老後破産」を回避せよ! - アラサーから始めるマネー対策』では、FPの馬養雅子氏が、貧困により老後の生活が破綻する「老後破産」をどのように回避すればよいのか、アラサーのうちからできる対策法をご紹介します。


これまで、"老後破産"を回避するために、アラサーからできる対策をいろいろご紹介してきました。最終回に当たり、それをまとめてみます。

お金ときちんと向き合って老後破産を回避しよう(画像はイメージ)

日本経済はピークを過ぎて、緩やかな下り坂に入りました。お金に関しては"どんぶり勘定"や"行き当たりばったり"ではやっていけなくなっています。支出をコントロールして将来まとまったお金が必要なイベントに備えて計画的に貯蓄をしていかなければなりません。

そのために必要なのが"先取り貯蓄"。収入から、まず一定額を貯蓄して残ったお金で支出するという方法です。これなら自動的にお金が貯まっていきます。

もっとも重要なことは「収入を確保し続けること」

人生の"三大支出"は住宅費、子供の教育費、老後資金。アラサー世代が老後を迎えるころには公的年金の水準が今より下がっていると予測されるので、公的年金を補う"自分年金"づくりが欠かせません。三大支出のうち、先に必要となる住宅費、教育費にお金をかけすぎると、自分年金が作れず老後資金が足りなくなるので注意してください。

貯蓄は大切ですが、現在のように金利が低い状況では、預金でお金を増やすことはできません。一部のお金は、投資信託など預金以外の金融商品で運用する必要があります。投資信託などには値動きがありますが、毎月一定額で積み立て購入していけば、値動きの影響を少なくすることができます。NISA(少額投資非課税制度)や確定拠出年金といった税制優遇のある制度も活用しましょう。

貯蓄や運用より更に大切なのは、働いて収入を確保し続けること。収入をとだえさせないためには健康でなければなりません。また、介護離職も避けるべき。

お金に関してやってはいけないのが"借金"。一度お金を借りると、その返済が優先されて貯蓄や運用にお金を回せなくなるからです。マイホームだけは住宅ローンを借りざるをえませんが、それもできるだけ借入額を抑えて、ローンの返済が家計を圧迫しないようにしてください。

アラサーがやるべきことは

アラサーは老後を迎えるまでの時間を味方につけましょう。貯蓄も運用も、早く始めれば、その分お金を貯めたり増やしたりする効果が高まります。お金のことが「わからない」とか「面倒くさい」とかいって先送りにしていると、使える時間がどんどん減って、できことが限られてきてしまいます。

お金の管理は自分でルールを作って習慣化してしまえばムリなくできます。貯蓄や運用は積み立てを利用すれば手間がかかりません。ルール化・習慣化と積み立てが老後破産を回避することにつながり、老後のお金について必要以上に心配することもなくなります。

それによって、アラサーが今の生活を充実させることができれば、高齢になっても続けられる趣味や生きがいが見つけたり、一生涯つきあえる友人・知人を作ったりすることもできるはず。

お金ときちんと向き合うことが、老後破産の回避と心豊かで幸せな人生を送ることにつながるのです。

※画像は本文とは関係ありません。

執筆者プロフィール : 馬養雅子(まがい まさこ)

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。金融商品や資産運用などに関する記事を新聞・雑誌等に多数執筆しているほか、マネーに関する講演や個人向けコンサルティングを行っている。「図解 初めての人の株入門」(西東社)、「キチンとわかる外国為替と外貨取引」(TAC出版)、『明日が心配になったら読むお金の話』(中経出版)など著書多数。オフィシャルホームページ「あなたのお金のアドバイザー」。