■これから貯蓄するには

貯蓄の基本は「先取り貯蓄」です。例えば給料天引きの財形制度のように、給与振込口座に入金される前に先取り貯蓄をして、無かったものとして生活をすると確実にお金を貯めることができます。勤務先に財形制度がなくても、給料日に給与振込口座から定期積立預金に振替をするだけでも構いません。銀行に行って手続きをしなくても、銀行アプリからでも積み立ての申し込みができるので、手続きも簡単です。毎月コツコツ貯めることで、数年後にはまとまった貯蓄になります。

運用して積み立てる

ただ貯めるだけではなく、運用にも目を向けましょう。将来の老後資金を有利に積み立てたいのであれば、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出型年金)がおすすめです。自分で運用先を選んで、老後の資産形成をすることができます。そして掛金は全額所得控除になり、所得税や住民税が軽減されます。また、金融商品で運用した際に出た利益に対しても、通常は約20%の税金がかかりますが、iDeCoは非課税です。さらに受け取る際にも「公的年金等控除」や「退職所得控除」を受けられるなど、税制面で有利な制度となっています。

他にも運用をしながら有利に積み立てをしたいのであれば「つみたてNISA」もおすすめです。非課税枠は年間40万円が上限で、非課税期間は最長20年間です。一定の投資信託で積み立てながら運用します。その際に出た利益や分配金に対する税金が、通常の投資であれば約20%かかるところが、非課税となります。

他にも外貨積立や純金積立など積み立てをしながら投資運用ができる商品もありますが、どちらも運用にはリスクがありますので、必ず仕組みや運用コストなどを理解してから投資を始めましょう。リスクが高い商品で運用する場合は、毎月定額をコツコツ長期に亘って買い続けるとリスクが分散されます。

預貯金だけの積み立ては堅実ではありますが、これから先のインフレリスクに備えるためにも、一部投資商品も組み込んでいくことをおすすめします。

ボーナス依存度を減らす

まとまった金額で支給されるボーナスは家計の助けになりますが、ボーナスは企業業績によっても支給額が変動するものです。ボーナス依存度が高くなると家計が回らなくなる原因にもなります。

ボーナス依存度が高い家計には2つのタイプがあり、1つは「ボーナス払いで住宅ローンやクレジット払いや年払い保険料などに充てている」家計。もう1つは「毎月の生活費が月の給料では足りず、その補填にボーナスを充ている」家計です。どちらもボーナスが貯蓄に回らずに、何かしらの支払いや消費に回っているのが特徴です。

これらの家計が危険な理由は、家計の体力が「ボーナス頼り」だからです。ボーナスが支払われない場合や、ボーナスの支給額が減っただけでも、ローンが支払えなくなったり、毎月の家計があっという間にマイナスになり、足りないお金は貯蓄を切り崩して当座をしのぐことになり、家計の体力はますます消耗することになるでしょう。

ボーナス査定期間中の業績が期待できない場合は、減額を考慮した備えが必要です。住宅ローンをボーナス払いで支払っている場合は、ボーナスから引き落とされる金額を、月の収入から別途貯蓄をしておきましょう。それが難しい場合は、借り入れをしている金融機関に返済計画の変更の相談をしましょう。クレジットカードで買い物をする際は、ボーナス一括払いは当然避けるべきです。

生活費の赤字補填にボーナスを使っている場合は家計の見直しをして、毎月の収入の中でやりくりできる家計にするためにも、「家計簿」と「予算分け」が大切になるのです。ボーナスは無かったものとして全額貯蓄ができるように、毎月の収入でやりくりができる健全な家計をこの機会に作りましょう。