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この番組がスゴイ! ベーリング海の一攫千金

凍てつく北の海に挑むタフな奴ら

世界でもっとも危険な職業はなにか。答えは地雷撤去であるらしい。では、それに続く危険な職業とは。答えは、今回紹介する番組が追うベーリング海でのタラバガニ&ズワイガニ漁だ。日本の番組でいえばマグロ漁師への密着取材ドキュメントか。こちらも年始年末の看板スペシャルになるほど迫力の映像が人気を博しているが、この『ベーリング海の一攫千金』(ディスカバリーチャンネル)をご覧いただくと、世界はさすがに広いと言わざるを得ないだろう。襲い来るベーリング海の波濤は、冬の日本海すら流れるプールように思えてしまうのである。

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漁場となる東ベーリング海は北極圏にほど近いアラスカ沖。世界でも有数の荒れることで知られる海である。気温は氷点下を上回ることはない。嵐が収まる方が珍しい天候は、北斎の『怒濤図』がごとき波を起こして船を揺らす。甲板にいると波が打ち寄せるごとに、海水で頭から水浸しになるような状態だ。そんな相当のベテラン漁師でも船酔いに苦しめられ、一瞬でも気を緩ませると土左衛門になるという最悪な環境のなかで重労働は続く。ぶつ切りの魚を入れた大型のカゴを、海に投げ入れるカニカゴ漁だ。引き上げる際は丸一日以上、寝ずに動き続けなければいけない。

大漁ならば2カ月でサラリーマンの平均年収以上が稼げる。そのため乗りたい連中は後を絶たないが、大抵は金の魔力すら通じずに逃げ帰っていく。おかげで残って人間の体力と気力の限界に挑むクルーたちは、まさにタフな海の男、あるいはタフな奇人変人だ。言葉は荒い。ケンカも絶えない。死と隣り合わせという壮絶な舞台だけに、そこでの人間同士のやりとりが実に面白い。そしてカニを前にすれば彼らは一丸となって働く。30時間以上ぶっ続けて働く姿は、まるでゾンビのようだが、同時に崇高さも感じてしまうのは言い過ぎだろうか。

冬の味覚の王様であるカニ。我々が無言でむしゃぶりついている裏側では、凄まじい男たちのドラマが繰り広げられていたのである。高価なのは当然のことであったと頷いてしまうのは間違いないだろう。なお、いくつかの船を追って展開する番組は、ドキュメンタリーとしてはロングランを続けており、現在はシーズン4が放映中。本国ではクルーたちが実名で登場するゲームもPCとXBOX360で発売している(※こんなやつ)。その人気の高さが伺える。

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