近年の東京都内はマンション価格と同様、地価も上昇傾向にあります。東京都の中でも特に上昇しているのはどのエリアなのでしょうか? 今回は国土交通省が2024年に発表した地価公示の情報を基に、東京都・住宅地の地価上昇率が高いエリアをランキング形式で紹介します。

  • 地価上昇率、西側エリアが上位に

    ※画像はイメージ

■東京都・住宅地の地価上昇率ランキング(2024年版)

東京都の住宅地において、2024年1月時点で地価の上昇率が最も高かったのは、港区芝浦2丁目1番33、田町駅が最寄りのエリアです。

次いで「品川」(港区港南3丁目6番7)、「神楽坂」(新宿区赤城下町69番2外)、「立川」(立川市錦町3丁目78番1)、「恵比寿」(目黒区三田2丁目205番4)、「品川シーサイド」(品川区東品川4丁目13番)、「中目黒」(目黒区中目黒3丁目535番28)、「大久保」(新宿区北新宿1丁目362番26)、「神泉」(目黒区青葉台2丁目522番69外/目黒区青葉台3丁目503番3)と続きます。

※鉤括弧内は住所地から筆者が判断し最寄り駅を記載

  • 東京都・住宅地の地価上昇率ランキング トップ20(2024年版)

■上位の多くは西側のエリア

2024年の地価上昇率トップ20を見ると、港区・新宿区・目黒区など西側のエリアが上位の多くを占めています。昨年は足立区・荒川区など東側の区が上位であったことと比較すると、対照的な結果となりました。

ここからは国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で公表されている各地点の鑑定評価書を基に、上位の地域の特性について解説します。

なお、鑑定評価書の表記は地番や住居表示がベースになっていますが、わかりやすくするために、筆者が判断した最寄り駅を参考として記載しました。

田町

首位の田町(港区)は13.9%と、東京都の住宅地で最も高い地価上昇率を記録しました。鑑定評価書には「分譲マンションにおけるエンドユーザーの需要は底堅く、マンション用地に対する取得需要は引き続き旺盛であり、地価は強含みで推移している。」とあります。

従来見られる事業所などは減少傾向で、高層マンションが増加傾向です。

品川

2位は品川(港区港南)で、13.0%の地価上昇率です。鑑定書では「利便性の高い住宅地域であり、従来より都心立地の住宅地として根強い人気がある。」と表記されています。

港区南部の湾岸地域で、従来は倉庫などが多い場所でした。しかし今後は高層マンションなどの開発が進み、住宅地への移行が進行するものと予測されています。

神楽坂

3位にランクインしたのは神楽坂(新宿区)で、地価上昇率は12.7%です。シックで大人な高級住宅街とのイメージを持っている方もいるでしょう。

鑑定評価書には「地元のほか都心部へ通勤する勤労者が多いため区外からの転入者も見られる。雑然とした背後住宅地域であるが、人気の神楽坂地区のため高値取引が顕著である。」とあります。

立川

23区以外のエリアで唯一トップ20にランクインしたのが立川(立川市)で、10.3%の地価上昇率です。鑑定評価書には「マンションや戸建住宅が建ち並ぶ立川通り背後地に存する住宅地域であり、立川駅にも徒歩圏内にあることから、今後も良好な住環境を維持していくものと思われる。」とあります。

この地域ではある程度の規模のマンション用地の供給は少なく、希少性が高いため、旺盛な需要が認められるとのことです。

恵比寿

恵比寿(目黒区三田)の地価上昇率は10.1%です。鑑定評価書には「高容積率を活かしたマンション開発が可能なことから、マンションデベロッパー、賃貸用収益不動産を求める投資家等の需要者から旺盛な需要が認められる。」と表記されています。

大久保

大久保(新宿区)は9.9%の地価上昇率となりました。鑑定評価書には「住宅需要は依然として堅調であり、近隣地域のようなJR大久保駅徒歩圏の土地は供給が少なく、取引価格は高騰している。」とあります。

新宿駅からも比較的近い北新宿エリアであり、交通の利便性が高いことから人気を集めています。