国民年金とは似て非なるものに国民年金基金がありますが、この言葉をご存じでしょうか。国民年金基金は厚生年金加入者との年金格差を解消し、年金だけでも生活できる年金額を確保するため、国民年金とセットで第1号被保険者の老後の所得保障の役割を担うものです。

都道府県ごとに設けられた「地域型」と士業などに従事している方が加入する「職能型」があり、いずれかを選択します。

加入資格は20歳~60歳未満の国民年金第1号被保険者および60歳~65歳未満の国民年金任意加入者、海外居住者などです。第1号被保険者であっても加入できない例としては、農業年金の被保険者、国民年金の保険料納付を免除(一部免除、学生納付特例、納付猶予を含む)されている方(障害基礎年金の受給者などを除く)などです。あくまで2階部分の年金なので、国民年金の保険料を支払っていない場合は加入できません。

1口目は終身保険となり、年金額および月々の掛け金額は加入年齢によって異なります。また保証期間があるA型と保証期間のないB型が選択できます。

30歳男性でA型を選択した場合、月々の掛け金は1万610円で年金年額は24万9,328円となります。2口目以降は終身のA型とB型、確定年金のⅠ型からⅣ型まであります。年齢によっては選択できないタイプもあります。月々の掛金の上限は6万8,000円まで可能です。確定拠出年金(個人型)と併用できますが、双方の掛金の合計は6万8,000円を超えられません。

支払った根拠は自身で保管しましょう

年金紛失が問題になって久しいですが、自分たちが支払った根拠を残しておくことは簡単にできます。

例えば第2号被保険者であれば、給与明細の保管や標準比例報酬額の明細の保管、または社会保険事務所で今までの加入履歴をプリントアウトしてもらえれば、「年金記録がありません」と言われても証拠を提示できます。何か問題があればその時点で見つけられます。第1号被保険者の場合は、領収書や引き落とし明細などを保管すれば問題ありません。

私も社会保険事務所に記録の確認に出向いたときに、「記録がありません」といとも簡単に言われ、その場で領収書の束をバーンと突き付けた経験があります。もちろん記録は見つかりました。

国と言っても人がやることです。コンピューターも万全とは思えません。数十年後に生涯受け取れる権利を自分で守れるにも関わらず、領収書を廃棄するだなんて、実はとんでもないことなのです。

■ 筆者プロフィール: 佐藤章子

一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。