JR西日本の交通系ICカード「ICOCA」が、10月1日よりポイントサービス「ICOCAポイント」をスタートした。これまでも、クレジットカードと紐付けてチャージできる「SMART ICOCA」では、利用に応じて「J-WESTポイント」が貯まるサービスが提供されていたが、10月1日からは貯まるポイントの種類が「ICOCAポイント」に変更となった。

  • 2018年10月1日からICOCAポイントサービスが開始!

SMART ICOCA以外は利用登録が必要

SMART ICOCA利用者は、貯まるポイントの種類が変更になるだけであるため、特に利用手続きは必要ない。一方、それ以外のICOCA (チャージ機能がない定期券機能のみのタイプを除く)でポイントを貯めるには、利用登録が必要となる。

  • 左から、「ICOCA」「ICOCA定期券」「SMART ICOCA」。SMART ICOCAの購入にはクレジットカードが必要

利用登録は、JR西日本の自動券売機(紺またはピンクのタイプ)で手続き可能。登録したいICOCAをカードリーダーに置いて、利用規約に同意するだけ。翌日の利用分からポイント計算の対象となる。WEBからも登録できるが、ICOCA番号や個人情報の入力が必要となり、申し込みから登録完了まで最大10日程度を要する。

ポイントの利用登録が完了したICOCAは、自動券売機(一部)やのりこし精算機にセットすると、画面に「ポイント利用登録 登録済み」と表示されるようになる。なお、複数枚のICOCAを使っている場合、貯まったポイントを合算することはできない。

ICOCAポイントを貯める方法は3種類

ICOCAポイントを貯める方法は、大きく分けて3種類。いずれも1カ月(1日〜末日)のICOCA利用に応じて計算され、翌月6日前後に付与される。

1. 時間帯指定ポイント
ICOCAエリア内に設定された「時間帯指定ポイント適用区間」で、平日10~17時または土休日(12月30日〜1月3日も含む)に月4回以上乗車すると、4回目以降1回につき運賃の50%または30%のポイントが貯まる。

例えば、京都〜大阪間は通常運賃560円でポイント率は50%となっているため、対象の時間帯に月4回乗車すれば280ポイント。以降1回につき280ポイントが貯まり、月10回乗車であれば1,960ポイントが貯まる計算だ。

「時間帯指定ポイント適用区間」は、JR京都線、JR神戸線、JR宝塚線で合計34グループ108区間あり、乗車回数はグループ単位でカウントされる。なお、定期券区間の乗車と「こどもICOCA」での乗車は、時間帯指定ポイントの対象外となる。

2. 利用回数ポイント
ICOCAエリア内の同一運賃区間で月11回以上乗車すると、11回目以降は1回ごとに運賃の10%分のポイントが得られる。例えば、120円区間に月11回乗車すれば12ポイント。以降1回につき12ポイントずつが貯まり、月20回乗車であれば120ポイントが貯まる計算だ。

しかし、120円区間に月10回、160円区間に月10回ではポイントは貯まらない。定期券区間内の乗車、のりこし精算機を利用した乗車などもポイント計算の対象外だ。また、時間帯指定ポイントが適用された区間の乗車は、利用回数ポイントの計算対象外となるが、利用回数が4回未満で時間帯指定ポイントが適用されなかった乗車であれば、利用回数ポイントの計算対象となる。

3. 電子マネーポイント
ICOCAは全国50万店以上で支払いに利用可能だが、以下の対象加盟店のうち北陸・関西・中国・山陰・四国エリアの店舗では、200円利用につき1ポイントが貯まる。ポイントの計算は、原則として加盟店ごとに行われる。

ICOCAポイント対象加盟店:JR西日本エリアの駅ナカ自販機curico、コカ・コーラ自販機、ヤマト運輸、イトーヨーカドー、アリオ、ロフト、ビックカメラ、ソフマップ、コジマ

なお、対象エリア内であっても、一部店舗はポイント対象外となる場合もあるため、店頭に「ICOCAポイント」のステッカーやPOPが貼られているかを確認する必要がある。

貯まったポイントはICOCAにチャージ

貯まったICOCAポイントは、ICOCAが利用できる自動券売機・のりこし精算機で、1ポイント=1円としてICOCAにチャージが可能。ポイント数の指定はできず、10ポイント単位(一部の機器では1,000ポイント単位)で、貯まっているポイントがすべてチャージされる。ただし、ICOCAのカード残高は2万円が上限のため、ポイント数と残高によっては一部のポイントのみ使われる形となる。

ICOCAポイントに有効期限はないが、25カ月以上チャージまたはポイントチャージがない場合は、自動的に利用登録が解除される(SMART ICOCAは除く)。ただし、再度利用登録を行えば、過去に貯めたポイントも再び利用可能となる。

PiTaPaでも乗車割引が受けられる

同じ関西を中心に普及するポストペイ(後払い)型の交通系ICカード「PiTaPa」は、ICOCAエリアで利用する際は事前のチャージが必要だったが、10月1日から関西エリアの大部分でポストペイでも乗車可能となった。それと同時に、ICOCAエリアでの割引サービスもスタート。前述の「時間帯指定ポイント」「利用回数ポイント」とほぼ同じ条件で、ポイント付与の代わりに運賃の割引が適用される「時間帯指定割引」と「利用回数割引」が受けられるようになった。

  • JR西日本ポストペイエリア (2018年10月1日時点)

ただし、割引が適用されるのはポストペイでの乗車時のみ。「利用回数ポイント」はICOCAエリア全域での利用が計算対象だが、「利用回数割引」はポストペイで乗車できるエリアのみが計算対象となる。なお、利用登録は不要である。

乗車でポイントを貯めるには、利用時間や利用回数などの条件があるものの、例えば「時間帯指定ポイント」の50%区間であれば、4回乗車時で還元率は12.5%、5回乗車時で20%、10回乗車時なら35%にもなる。定期券利用者はなかなか条件をクリアすることができないかもしれないが、ICOCA利用者は登録だけでも早めに済ませておこう。

(※クレジットカードの用語などは以下を参照)

『シーンで選ぶクレジットカード活用術 (1) 最低限知っておいてほしい基礎知識』

※本記事で紹介したサービス内容は、消費税率8%を前提とした更新日時点の情報です。ポイント価値は編集部にて算出。利用方法によって上下する場合があります。また、各サービスには一部対象外となるケースがあります。ご利用の際は公式サイトなどで最新の情報をご確認ください。

■ 筆者プロフィール: タナカヒロシ(ライター・編集者)

普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、過去に勤めていた会社の都合でクレジットカード本を作ったことをきっかけに、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなる。以降、定期的にクレジットカードのムック本を編集・執筆。3月8日発売の『最強クレジットカードガイド2017 本当にトクするカードの選び方・使い方=写真=』(角川SSCムック)では、編集統括および記事の大部分を執筆している。