持ち歩くカードを少しでも減らしたい人に重宝されているのがキャッシュカード一体型のクレジットカード。しかし、近頃はデビットカード機能を備えたキャッシュカードが増えたこともあり、クレジット機能付きのキャッシュカードは減少傾向だ。
デビットカードは利用代金が銀行口座から即時に引き落とされるため、1回払いしかできず、システムの都合で一部のガソリンスタンドや高速道路、飛行機の機内販売、継続課金サービスなどでは利用できないこともある。そうしたことに不便を感じている人は、やはりデビットではなくクレジットを選びたいところだろう。
キャッシュカード一体型のクレジットカードは、選択肢が少ないこともあり、還元率も平凡なものが多いが、そのなかでもお得度の高い3枚を紹介する。
1.楽天銀行カード
「楽天銀行カード」は、楽天銀行のキャッシュカードとクレジットカードである「楽天カード」の機能が一体化した1枚。年会費は無料で、クレジットカード決済に応じて楽天ポイントが貯まり、毎月末日までの利用代金100円につきに1ポイント。つまり利用額に対して1%の楽天ポイントが還元される。
楽天市場での買い物に使った場合は、「楽天カード」での決済に対する1%に加えて、SPU(スーパーポイントアッププログラム)の特典として還元率が+2%となり、カード利用代金を楽天銀行から引き落とすと+1%の条件も自動的に満たすため、通常の楽天市場利用に対する1%と合わせて、最低でも5%のポイントが貯まる。他のキャンペーンと組み合わせれば、さらに還元率をアップさせることも可能だ。
楽天グループ以外でも、てもみん、ENEOSなどの優待店では、通常よりも多くのポイントが貯まる。ほかにも、エントリーをすることで還元率がアップする優待店やキャンペーンも多数あるので、定期的に会員サイトの楽天e-NAVIをチェックすることが肝心だ。
また、クレジット利用のあった翌月は普通預金金利が2倍になる特典もある(他の金利優遇サービス、マネーブリッジとは重複不可)。2020年9月現在の普通預金金利は年0.02%のため、0.04%にアップすることになる。海外旅行傷害保険も付帯しており、所定の旅行代金をカードで支払うと、海外旅行中の死亡・後遺障害時に最高2,000万円などの補償が受けられる。
「楽天カード」との違いは、楽天Edyと楽天ポイントカードの機能がカードに搭載されていないこと、国際ブランドがJCBのみであること、ゴールドカードやプレミアムカードなどの上位カードが用意されていないことである。これ以外については「楽天カード」と同じように利用可能となっている。
2.東日本CashCard -Next to you-
東日本銀行の「東日本CashCard -Next to you-」は年会費無料で、ポイントサービスが充実していることが特長。「ライフカード」と同じ「LIFEサンクスプレゼント」のポイントプログラムが採用されており、基本は1決済1,000円利用につき1ポイントが貯まり、100円の利用でも0.1ポイントが貯まる。
入会初年度はポイント1.5倍で、年間のショッピング利用額に応じて次年度のポイント還元率もアップ。年50万円以上利用で次年度ポイント1.5倍、100万円以上で1.8倍、200万円以上で2倍となる。さらに、誕生月の利用はポイント3倍、年間50万円以上利用で300ポイントのボーナスもある。なお、誕生月と他のポイントアップは重複適用されないため、前年の利用額にかかわらず誕生月はポイント3倍で固定となる。
貯まったポイントは様々なアイテムに交換でき、Amazonギフト券やVプリカへの交換、楽天ポイント、Pontaポイント、dポイントなどへのポイント移行は1ポイント=5円相当。洋服の青山で使えるAOYAMAギフトカードには1ポイント=10円相当で交換できるなど、ポイント価値が大幅にアップする商品もある。また、ANAのマイルには1ポイント=2.5マイルで交換可能だ。
たとえば初年度の誕生月に10万円、誕生月以外に40万円利用した場合、単純計算では誕生月利用分で300ポイント、誕生月以外の利用分で600ポイント、50万円以上利用に対するボーナスで300ポイントが貯まる計算。合計で1,200ポイントになるため、1ポイント=5円として換算すると6,000円相当、還元率は1.2%になる。また、前述のAOYAMAギフトカードに交換した場合であれば、還元率は2.4%となる。
ちなみに、50万円すべてを誕生月に利用した場合は、単純計算で合計1,800ポイントが貯まり、1ポイント=5円で換算すると、還元率は1.8%。還元率は年間利用額と誕生月の利用額、ポイントの使い道によって上下するので、事前にシミュレーションしておくといいだろう。なお、 ポイント有効期限は最長2年だが、毎年繰越手続きをすることで延長でき、最長で5年間有効となる。
3.三菱UFJ-VISA ゴールド
ゴールドカードを持ちたい人には、三菱UFJ銀行の「三菱UFJ-VISA ゴールド<コンビタイプ>」をおすすめしたい。通常年会費は11,000円だが、年間100万円以上ショッピング利用すると、次年度年会費が無料になる。
毎月のショッピング利用合計額に応じて三菱UFJポイントが貯まり、基本は1,000円につきに1ポイント。年間50万円以上利用した場合は、次年度のポイント還元率が1.2倍にアップする。また、新規入会から翌々月末日までの最長3カ月間は、キャンペーン登録をするとポイントが10倍になる特典もある。
貯まったポイントは様々なアイテムや商品券に交換、提携他社のポイントに移行できるほか、200ポイント=1,000円として決済口座にキャッシュバックすることも可能。ポイント有効期限は最長3年。ただし、年間獲得ポイントが200ポイント未満の場合は、3月31日の年度末をもって、同年度の獲得ポイントは失効となる (初年度獲得ポイントは除く) 。ポイントを失効させないためには、単純計算で年20万円以上の利用が必要だ。
ゴールドカードの特典としては、国内32空港およびハワイのダニエル・K・イノウエ国際空港のラウンジを利用可能。最高5,000万円を補償する旅行傷害保険も付帯しており、国内旅行は所定の旅行代金をカードで支払った場合に有効になる利用付帯、海外旅行はカードを保有しているだけで有効の自動付帯となる。また、年間最高300万円を補償するショッピングセイバー(買い物保険)も付帯している。
同カードを保有するなら、年間100万円以上利用して、次年度年会費を無料にしたいところ。初年度の年会費もポイント10倍の期間に22万円利用すれば、1万1,000円相当のポイントが貯まって相殺できる。また、2021年1月31日までは、WEBからの新規入会または一般カードからの切替をすると、初年度年会費が無料となり、さらに最大で1万円相当の三菱UFJポイントがプレゼントされるキャンペーンも実施されている。
なお、「三菱UFJ-VISA ゴールド」には身体情報を登録することで預金被害補償を受けられる<セキュリティタイプ>や、PASMOおよびTOKYU POINT機能を搭載したカード、Suica機能を搭載したカードも発行されている。いずれも年会費条件や基本的なサービスは同一だが、PASMO付きとSuica付きのカードは、年間利用額に応じた次年度ポイント付与率のアップは適用されない。
以上、3つのカードを紹介したが、いずれも申し込みには当該銀行の口座が必要で、利用代金の引き落としも当該銀行の口座から行わなければならない。また、申し込みの際には、デビットカードやプリペイドカード、キャッシュカード分離型のカードと間違えないように気をつけてほしい。
■ 筆者プロフィール: タナカヒロシ(ライター・編集者)
普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、過去に勤めていた会社の都合でクレジットカード本を作ったことをきっかけに、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなる。以降、定期的にクレジットカードのムック本を編集・執筆。3月8日発売の『最強クレジットカードガイド2017 本当にトクするカードの選び方・使い方=写真=』(角川SSCムック)では、編集統括および記事の大部分を執筆している。