2020年7月1日よりマイナポイント事業の申し込みがスタートした。同事業の詳しい内容に関しては、様々な媒体が取り上げているため割愛するが、簡単に言えば2020年9月から2021年3月までに、登録した決済サービスを利用すると、25%のポイント還元(最大5,000円相当)を受けられるというもの。

マイナポイント事業に登録できる決済サービスは、マイナンバーカード1枚につき1つ。そのため、これを機に自社の決済を使ってもらおうと、決済事業者によっては追加でポイント等を還元するキャンペーンを行っている。今回は100以上におよぶ対象決済サービスのなかから、特にお得度の高い6つを紹介する。

  • 「マイナポイント」おすすめ決済サービス6選

1.「WAON」は最大2,000円分を付与

本命はイオングループの電子マネーであるWAON。マイナポイント事業により、期間中の合計チャージ金額に対して25%(最大5,000円分)のWAONが付与されることに加え、WAON独自の特典として10%分(最大2,000円分)を追加。2万円をチャージすると、合計7,000円分のWAONが付与される。

  • (左から)WAONカード、JMB WAONカード。どちらもおサイフケータイでも利用できる

WAONは利用200円につき1ポイント(イオングループの対象店では会員登録したWAONの利用で2ポイント)のWAONポイント、JALのマイルが貯まるJMB WAONであれば200円につき1マイルが貯まる。そのためチャージと利用を合わせれば合計付与率は35.5~36%になる。

さらに、「イオンカードセレクト」や「イオン銀行キャッシュ+デビット」でのオートチャージは、WAONポイントが200円につき1ポイント貯まる。また、JMB WAONと紐付けた一部の「JALカード」も、チャージ200円につき1マイル(JALカードショッピングマイル・プレミアムに入会中は100円につき1マイル)が貯まる。この場合は、チャージと利用で合計36%以上の付与率になる。

  • (左から)イオンカードセレクト、イオン銀行キャッシュ+デビット。どちらもカードにWAON機能を搭載

2.「Suica」はもれなく1,000ポイント+抽選で2,000ポイント

Suicaは、最高で8,000円相当のポイントを獲得できる。期間中の合計チャージ金額に対して25%(最大5,000円分)のJRE POINT(要登録)が還元されることに加え、Suica独自の特典として、マイナポイントへの申し込みで、もれなく1,000ポイントをプレゼント。2万円をチャージすると、合計6,000円相当のJRE POINTが貯まり、還元率は30%になる。

  • 記名式Suicaカード。無記名のSuicaや記念Suica以外のタイプであれば、モバイルSuicaも含めJRE POINTに登録可能

さらに期間中にエントリーのうえ、ビューカードが発行するクレジットカード(TypeⅡ提携カード、法人カードを除く)で、マイナポイントに申し込んだSuicaに合計2万円以上チャージすると、抽選で2,500名に2,000ポイントのJRE POINTがプレゼント。抽選に当たれば合計8,000円相当、40%還元になる計算だ。

  • ビューカードが発行している「JRE CARD(Suica付)」

ビューカードが発行するクレジットカードは、Suicaへのチャージに対して1.5%のJRE POINTが還元される。また、JRE POINTに登録したSuicaは、JR東日本の在来線に乗車(定期券区間を除く)、Suicaグリーン券購入、モバイルSuica定期券購入、タッチでGo! 新幹線等による新幹線利用で0.5%(モバイルSuicaは2%)、JRE POINTマークの黄色い加盟店標識がある店や自販機などの利用では0.5~1%のJRE POINTが貯まる。

つまりチャージ方法や利用する場所によっては、カード型Suicaであれば最高2.5%、モバイルSuicaであれば最高3.5%の還元率を上乗せでき、抽選に当たった場合は最高43.5%還元になる計算だ。

  • JRE POINTの加盟店標識

3.「d払い」は9月までに申し込めば最大2,500ポイント

特典が追加発表され、大幅に付与率アップとなったのがd払い。期間中のチャージ金額または利用額に対して、マイナポイント事業として25%(最大5,000ポイント)、d払い独自の特典として5%(最大1,000ポイント)のdポイントを還元。さらに2020年9月30日までにマイナポイントにd払いを登録すると、もれなく1,500ポイントもプレゼントされる。つまり2万円をチャージまたは利用すれば、合計7,500ポイントが貯まることになる。

  • d払いはマイナポイント+独自特典で合計7,500ポイントがdポイントでもらえる

マイナポイント事業としてのdポイントの付与は通常ポイントとなり、有効期限は4年。独自特典として還元されるdポイントは、有効期限が進呈から3カ月のdポイント(期間・用途限定)となる。また、5%が追加で還元される独自特典は、支払い方法が電話料金合算払い、「dカード」での支払い、口座払いに設定されている場合のみが対象となる(チャージは支払い方法を問わず対象)。

d払いは通常、街での利用は200円につき1ポイント、ネットでの利用は100円につき1ポイントが貯まる。支払い方法を「dカード」に設定していた場合は、「dカード」の利用分として、さらに100円につき1ポイントが貯まる。これに加えて「dポイントスーパー還元プログラム」(詳しくは第130回参照)の条件を満たすと、最大で還元率が7%アップする。

  • d払い利用時の還元率アップに欠かせない「dカード」

そのため、支払い方法を「dカード」に設定してネットで2万円を利用した場合、マイナポイント事業で5,000ポイント、d払い独自特典で2,500ポイント、通常の利用分で400ポイントとなり、合計7,900ポイント。付与率は39.5%になる。「dポイントスーパー還元プログラム」次第では、付与率は最高で46.5%になる計算だ。

4.「LINE Pay」は特典クーポンを15枚上乗せ配布、使い方次第で高還元に

使い方次第で爆発的な還元を得られそうなのがLINE Pay。期間中の利用額(請求書支払いやLINE証券への入金などは対象外)に対して25%(最大5,000円分)のLINEポイントが還元されることに加え、8月25日までにマイナポイントの申し込みをすると、「LINEポイントクラブ」のマイランクに応じてもらえる特典クーポン(毎月1~10枚)が、登録翌月から3カ月間、毎月5枚追加される。

「LINEポイントクラブ」の特典クーポンは、LINE Payのコード決済またはオンライン決済時に、対象の加盟店で利用できる。対象加盟店はコンビニ、ドラッグストア、スーパー、飲食店、家電量販店など多岐にわたり、2020年7月の場合は約90加盟店が対象。クーポン内容は加盟店ごとに異なるが、5%オフ、10%オフ、100円オフなどが多い。たとえば2020年7月の場合、ドラッグストアは一律10%オフで、最大2,000円が割引上限となっている。

  • (左から)LINE Payの特典クーポン一覧、受け取り画面、支払い画面、支払い完了画面

通常の特典クーポンは1加盟店につき月1枚までしか利用できないため、近隣に対象加盟店が少ないと使い切れない可能性もあるが、追加の特典クーポン配布時期にクーポン内容に変更がなければ、すべてドラッグストアで使った場合は最大で月1万円、3カ月で3万円の還元を受けることができる。また、5%オフのクーポンは上限がないため、利用金額次第では3万円を超える割引を受けることも可能だ。

さらにLINE Payは登録した「Visa LINE Payクレジットカード」を支払い元にする「チャージ&ペイ」の機能を使って支払いをする場合、「LINEポイントクラブ」のマイランクに応じて1~3%のLINEポイントが貯まる。

そのため1万円の買い物を10%オフのクーポンを使って支払った場合、クーポンでの割引が1,000円、割引後の金額に対してマイナポイント事業での還元が2,250ポイント、チャージ&ペイでの還元が90~270ポイントとなり、最高で35.2%還元になる。

  • 「Visa LINE Payクレジットカード」は4色のデザインが用意されているが、BLACK以外は8月頃から受付開始予定

5.「メルペイ」は最大2,000ポイント+抽選で最大1,000万ポイント!

一攫千金を狙うならメルペイが筆頭候補だろう。期間中のポイント払い、メルペイスマート払い、メルペイ残高払いを使ったiD決済、コード決済、メルカリでの決済、ネット決済の合計利用額に対して、25%(最大5,000円分)のメルカリポイントが貯まることに加え、メルペイ独自の特典として、条件を満たすと最大2,000ポイント、さらに抽選で最大1,000万ポイントが当たる。

  • (左から)「メルカリ」アプリの「メルペイ」メニュー画面、コード決済の支払い画面

マイナポイントに申し込み、メルペイの本人確認が完了した人は、マイナポイント事業と同期間中は、メルカリ(メルカリストアは除く)での買い物で5%のポイントが貯まり、還元上限は1,000ポイントだ。

また、マイナポイントに申し込み後、2020年8月31日までにメルペイにチャージすると、最大1,000ポイントも付与される。

対象となるチャージ方法は、メルペイに登録した金融機関からチャージ、セブン銀行ATMからチャージ、メルカリの商品購入時のチャージ払い、メルペイスマート払い清算時のチャージ。付与されるポイント数は、期間中のチャージ合計額が1,000~1,999円であれば100ポイント、2,000~2,999円であれば200ポイント、以降段階的にアップし、1万円以上のチャージであれば1,000ポイントとなる。

つまり8月までに1万円以上チャージして、9月以降2021年3月までにメルカリで2万円の買い物をすれば、合計7,000ポイントが貯まり、還元率は35%になる。

そして最も注目するのが、最大1,000万ポイントが当たる抽選だ。こちらは2020年8月31日までにマイナポイントの申し込みが完了していれば、自動で抽選対象となる。

1等1,000万ポイントは1名、2等100万ポイントは10名、3等5万ポイントは150名、4等5,000ポイントは1,500名、5等500ポイントは13万名に当たり、総額はなんと1億ポイント! ポイントは2020年9月10日までに付与され、ポイント有効期限は付与日を含め365日となる。

6.「PayPay」は抽選で最大100万ポイント、自治体によっては上乗せも

PayPayは抽選で最大100万円相当のPayPayボーナス還元が目玉。マイナポイント事業としては、期間中の合計チャージ額または利用額(申込時にユーザーが選択)に対して25%(最大5,000円分)のPayPay残高が還元される。また、自治体によっては共同キャンペーンを同時開催しており、さらに上乗せした還元が受けられる自治体もある。

マイナポイント事業としてチャージした場合は、チャージした残高はPayPayマネーライトになり、還元されるPayPay残高はPayPayボーナスとなる。PayPayマネーライトは有効期限がなく、買物などでの支払いや、他ユーザーへの送金、割り勘に利用可能だが、出金はできない。また、PayPayボーナスは有効期限がなく、買物などの支払いにのみ利用できる。

PayPayは通常、事前にチャージした残高、または「Yahoo! JAPANカード」を使って支払いをした場合は、0.5%( Yahoo! JAPANの対象サービスでは1%)のPayPayボーナスが還元される。

この還元率はPayPay STEPの達成状況によってアップ。前月の100円以上の決済回数が50回以上で+0.5%、前月の利用合計金額10万円以上で+0.5%、どちらも達成すれば1.5~2%となり、マイナポイントでの還元と合わせれば、最高27%還元になる。

  • (左から)PayPayアプリのホーム画面、PayPay STEPの達成状況確認画面

PayPay独自の特典である抽選は、2020年8月31日までにマイナポイントの申し込みが完了していれば、自動で抽選対象となる。

1等100万円相当は10名、2等5万円相当は150名、3等5,000円相当は1,500名、4等500円相当は15万名に当たり、こちらも総額は1億円相当になる。当選者には2020年9月15日前後に通知され、PayPay残高にPayPayボーナスとして加算される。

これに加えて、PayPayでは自治体とのキャンペーンも展開される予定。現在は滋賀県および北海道の厚真町での展開が決定しており、2020年9月以降に対象店舗でマイナポイントに登録したPayPayを使って支払いをすると、利用金額に応じたPayPayボーナスが追加で還元される。

たとえば滋賀県の場合、2021年1月30日までの滋賀県内の対象店舗での利用額に対して5%が上乗せとなる(期間中および1回あたり1,000円相当が還元上限)。

自治体とのキャンペーンは今後増える可能性もあるので、まだ登録する決済サービスを決めかねている人は、PayPayの動向に目を光らせておくことをおすすめする。


現在、マイナポイント事業は申し込み期間で、還元対象となる利用期間は9月1日からとなる。申し込みは9月以降でも可能だが、マイナポイント事業は予算枠が決まっており、現在のところ先着4,000万人が上限とされている。ただし、申し込みに必須となるマイナンバーカードの発行枚数は、2020年7月5日時点で約170万枚。

各社のキャンペーンは出揃った感はあるが、PayPayのように追加で発表されるものもある。当面は焦る必要はないので、ゆっくり吟味してから登録する決済サービスを決めよう。

※本記事で紹介したサービス内容は更新日時点の情報です。「税別」などの注記がない限り、原則として消費税込みの金額を表記しています。ポイント価値は編集部にて算出しており、利用方法によって上下する場合があります。各サービスには一部対象外となるケースがあります。ご利用の際は公式サイトなどで最新の情報をご確認ください。

■ 筆者プロフィール: タナカヒロシ(ライター・編集者)

普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、過去に勤めていた会社の都合でクレジットカード本を作ったことをきっかけに、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなる。以降、定期的にクレジットカードのムック本を編集・執筆。3月8日発売の『最強クレジットカードガイド2017 本当にトクするカードの選び方・使い方=写真=』(角川SSCムック)では、編集統括および記事の大部分を執筆している。