ボーナスシーズンが到来しました。今年は世界的な不況の影響もあって大幅に減額されたという人もいることでしょう。この時期になるとボーナスの運用先は?という話題もあちこちでみられますが、超低金利は相変わらず継続中。着実に増やすのは難しい状況です。その一方で株式市場は復調の兆しも。日経平均は1万円の大台を回復。まだ本格的な上昇が期待できるかどうかは見極めが難しいところですが、新たに投資を始めるには悪くはない時期と言えそうです。

ただどんな銘柄を買ってもどんどん上がるという相場ではなく、また今後もまだまだ楽観できない状況で投資を始めるには、手数料などのコストには厳しい目を向ける必要があります。わずかな値上がりでも収益が出せるか否かは、コストの大きさに左右されるからです。

取引額、取引頻度、PCと携帯のどちらで取引するかで選ぶ

ですから証券会社選びの基準にも手数料水準は欠かせないポイントとなります。ネット証券の手数料はすでに厳しい競争にさらされていることもあり、どの証券会社もかなり低水準となっています。が、比較するとやはり有利な証券会社は見えてくるものです。

自分にとってもっともお得な証券会社を選ぶために、以下のようなポイントを押さえた上で取引証券会社を絞り込んでいくといいでしょう。

1. 1回の投資額はいくらぐらいを考えているか
2. 取引頻度はどのくらいになりそうか
3. パソコン、携帯どちらで取引することが多そうか

以上の3点について具体的に考えてみてください。

取引金額20万円以下なら、丸三と野村は実質手数料0

(1)の投資額については、約定代金によって手数料が細かく分かれているためだいたいいくらぐらいの取引を想定しているのか具体的なほどお得な証券会社が絞り込みやすいため。たとえば「投資に回せる資金は数十万円しかないので、10万円以下で買える銘柄を中心に投資を考えている」という人なら、約定代金が10万円以下で手数料を比較してみるといいでしょう。

約定代金10万円以下なら手数料が無料という証券会社は、SBI証券をはじめ松井証券、岡三オンライン証券、野村證券のほっとダイレクトなどがあります。

10万円以下で買っても売るときになって値上がりして10万円以上になることも。それを考えると約定代金20万円以下でも割安な証券会社を選んでおくとより安心です。そのような視点で選ぶなら丸三証券が低コスト。約定代金20万円までは手数料がゼロ。ただし一部対象外の銘柄があるのでその点だけしっかりチェックして。野村證券ホットダイレクトも「ほっと割20」というサービスを利用すると、1日1回約定代金20万円まで差し引いて手数料を計算するため、約定代金20万円までは手数料がゼロになります。

1約定ごとで30万円以下ならジョイベスト

(2)の取引頻度を考えるのは、証券会社の手数料体系に違いがあるから。

A. 1回ごとに手数料がかかるもの
B. 1日の約定代金で手数料が決まるもの
C. 月額などの会費制になっているもの

と大きく3つのタイプがあります。1日に何度も頻繁に取引を行うなら(B)の1日の約定代金によって手数料が決まる証券会社や会費制の(C)を採用している証券会社を選ぶのが有利です。

ただ、ごく一般的に現物株に投資したいと考えている人なら、(A)の1約定ごとに手数料を負担するタイプの証券会社を選んでおけば大丈夫。ただし、先ほどあげたように少額の取引は手数料ゼロを歌っている証券会社の多くは(B)の手数料体系を採用している証券会社がほとんど。頻繁に取引しない人でも少額投資を考えているなら手数料体系に関係なくコストが最も安い証券会社を選ぶべきでしょう。

ちなみに1約定ごとの手数料でコストが低水準なのは約定代金30万円までならジョインベスト証券、20万円までならリテラクレア証券です。

携帯で取引するならマネックスが注目

また株などの売買注文はPCだけでなく携帯からもできるのがいまや常識。日中は出かけていて携帯からのほうが便利と思っているなら、携帯で発注すると手数料が安くなるマネックス証券も候補に。通常のパソコンでの売買手数料は約定代金10万円以下で1,050円(成行注文の場合)と他社と比べて手数料がかなり高い水準ですが、携帯からの注文なら105円とぐっと安くなるのがマネックス証券の特徴。他社はPCからの注文と手数料はかわらないというところがほとんどなので、携帯からの注文をメインに使うという人なら、マネックス証券も検討できます。

証券会社選びの基準は他にもさまざまポイントがありますが、まずは厳しい投資環境を考慮してコストをしっかりチェックすることからはじめて見るといいでしょう。

執筆者紹介 : 堀内玲子氏

主な略歴 : ファイナンシャルプランナー。証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て93年に独立。96年ファイナンシャルプランナー資格を取得。FPとして、金融・マネー記事などの執筆・監修、セミナー講師、家計相談などを行う。著書に「あなたの虎の子資産倍増計画」(PHP研究所・共著)「年代別 ライフスタイル別 生命保険のマル得見直し教室」(大和出版)などがある。