新しく証券会社に口座を開こうと思っている人にとっては、どの証券会社が安くて使いやすいのか知りたいところ。実際、取引の形態自体は、以前のような店頭窓口での取引からインターネット取引が主流になり、いかにネット上での取引がスムーズか、情報が取りやすいか、手数料が安いかといったところが証券会社選びのポイントとなっています。

手数料体系は4種類あることを知っておこう

なかでも、取引を始めるネット証券を選ぶ際に大きなポイントとして注目度の高いもののひとつが手数料でしょう。

ご存じのように株式をはじめとした証券商品の売買には手数料がかかります。同じ銘柄を同じタイミングで売買したとすれば損益は同じですが、そこから手数料を差し引くことにより実質的な損益には違いが出ます。つまり、手数料は安ければ安いほど投資で収益を得やすいということになります。

しかし、証券各社はさまざまなサービスを充実させ、また手数料もかなり安い水準での凌ぎ合いとなってきています。また、手数料体系は各社で異なるため単純な比較は難しいのが現実です。

ですからコストを最小限に抑えたいと考えているなら、どんな商品をどのようなスタイルでトレードしたいと思っているのか、最初にある程度予定を立てた上で取引する証券会社を絞り込むことが必要です。

とくに株式取引を本格的に始めたいと思っている人は、取引スタイルや投資額によってコストの違いがはっきりするので、証券会社選びの最初の絞り込みをする上で、どれくらいの頻度でどの程度の資金の取引を行いたいのか考えておくことは重要です。そこで、チェックしたいのが、手数料体系。手数料体系には図のように4つのパターンがあります。

■手数料体系4つのパターン例

自分の取引姿勢に応じて「ワンショットあたり」か「1日定額」かを選ぶ

これから少しずつ株を長期保有していきたいと考えているなら、それほど頻繁な取引を行うわけではないので、まずは1回の取引ごとの手数料(ワンショットあたりの手数料)を比較して安い証券会社を候補として選ぶといいでしょう。1取引での約定代金によって手数料が決まる「段階制」(図1)であれば、1回の取引であれば約定代金が60万円でも90万円でも手数料は1,050円となります。

ネット証券に口座を開くのを機に、株の売買を本格的にやってみたいと思っている人は、「1日の約定代金によって手数料が決まる」証券会社を候補にしてみてください。その場合の手数料パターンは図2の「料率制」となります。約定代金に料率をかけて算出し、段階制よりも細かく手数料が変わるのが特徴ですが、最低手数料が設定されているケースがほとんどですので注意が必要です。

取引をはじめてみたらもっと頻繁に取引するかもしれないと思っているなら、1日あたりの約定合計金額を基準に手数料が決まる「1日定額制」(図3)のどちらかを選べる証券会社を選んでおけば使い方の変化に対応できてお勧めです。

取引頻度だけでなく取引額の目安によっても検討する証券会社は異なります。1回の取引額が10万円以下など超少額取引をメインに考えている人なら、10万円以下は手数料無料としている証券会社が最有力候補になります。

株式相場がかなり低水準の今なら、売買最低単元が10万円以下で買える銘柄も結構あります。そうした銘柄からトライしてみたいと思っているなら、投資額が少ないので余計に手数料コストはゼロになるものほど有利です。

そのほかに月会費を払えば、月に一定回数(または一定額)までなら何回取引しても会費以上のコストはかからない「会費制の手数料体系」(図4)を持つ証券会社も少数ながらあります。デイトレードやスイングトレードで頻繁に取引するなら、定額制の証券会社とともにこのような証券会社も候補に考えてみてほしいです。

以上のようにコスト一つを取ってみても単純にココは安いとは言えない状況ですので、これから証券会社を選ぶなら、実際にどんな投資スタイルで投資を行いたいのか考えてみるといいでしょう。

執筆者紹介 : 堀内玲子氏

主な略歴 : ファイナンシャルプランナー。証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て93年に独立。96年ファイナンシャルプランナー資格を取得。FPとして、金融・マネー記事などの執筆・監修、セミナー講師、家計相談などを行う。著書に「あなたの虎の子資産倍増計画」(PHP研究所・共著)「年代別 ライフスタイル別 生命保険のマル得見直し教室」(大和出版)などがある。