今年話題となった言葉を選ぶ「ユーキャン新語・流行語大賞2020」にノミネートされるなど、社会的にも認知されつつあるワーケーション。この言葉を耳にすると、なぜかうれしい気持ちになります。
ある日、旅人の求人サイトを運営している株式会社SAGOJOの代表取締役の新さんから突然「ワーケーションしませんか?」というお誘いを受けました。
行き先は何と、前々から行きたいと思っていた青森県! 今年4月に行く予定でしたが、新型コロナウイルスの影響により延期になっていたところでした。これは絶対に行きたいと思って、すぐに「行きます」と返答しました。
旅のスケジュール
今回は、青森県・十和田湖のほとりにある「yamaju」という長期滞在専用のゲストハウスが企画したワーケーションのモニターツアーに参加しました。このモニターツアーは、3泊4日、ゲストハウスに滞在しながら、2カ所のコワーキングスペースで働くという内容です。
普段は1人で行動することが多いのですが、この旅では事前に決められた日程に沿って、IT企業経営者の方々や広告代理店勤務の方など4名の参加者と共にワーケーションを実践しました。
また、記事中の多くの写真は山形出身の写真家・志鎌康平さんが撮影してくださいました。
十和田湖のほとりにたつゲストハウス「yamaju」
プロデュースと合わせて、旅の案内人をしてくださったのが、ゲストハウス「yamaju」を営む小林徹平さん・恵里さん夫妻です。
「yamaju」は4泊以上の中・長期滞在をされる方向けのゲストハウスなので、ワーケーションにも最適。周辺は観光地化されていない点も魅力で、暮らしの中の一コマとして旅を楽しめます。
そしてなんといっても印象的だったのが、お二人の温かいお人柄。初対面の参加者の皆さんと一緒に生活する日々に少し緊張していた私ですが、初日から和やかな雰囲気で過ごすことができました。
静かな空間で集中して仕事ができる、コワーキングスペース
今回のワーケーションでは、2つのワークスペースで仕事をしました。
一つは、滞在先の「yamaju」のコワーキングスペース。
電源やWi-Fiはもちろん、プリンターやスキャナー、ホワイトボードなど各設備も整っています。集中したいときはテーブルの席、ちょっと休憩したいときはリラックスチェアのある席と、仕事の内容や気分に合わせて席を選択することができました。
そしてもう一つは、「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」のコワーキングスペース。こちらのホテルも十和田奥入瀬ワーケーション推進協議会に入っており、今回はモニターツアーということで特別に素敵な空間をお借りして仕事をすることができました。
ロビーとラウンジには、岡本太郎さんの作品が展示されており、高級感のあるゆったりとした空間で作業できたのは、とても気持ちが良かったです。
私はロビーがお気に入りで、そこで仕事をしていました。この日はオンライン取材が入っていて,終始画面に向かって話していたのですが、取材先の方にも「そこは、どこですか?」と尋ねられることが多く、改めて素敵な空間だなと実感しました。
仕事の合間にリフレッシュ! 選べる静と動のアクティビティ
自然豊かな十和田湖では、さまざまなアクティビティが楽しめます。今回は3泊4日という短い期間でしたが、小林さん夫妻の計らいで、その土地ならではのアクティビティを体験させていただきました。
カヌー体験
行程表をもらったときから気になっていたカヌー体験。2日目の午前の予定でしたが、風が強かったため延期。天候の影響を受けやすいアクティビティなので、体験できるかどうか五分五分の状況でした。
3日目の午前に何とか決行が決まり、急いで宇樽部キャンプ場へ。Towadako Guidehouse 櫂のガイド・やすさんが温かく迎えてくださいました。
カヌー体験は初めてでしたが、ペアの方が上手に導いてくださったので楽しみながら参加することができました。やまびこにも初挑戦し、音が響いてかえってくる様子に感動しました(翌日は見事に筋肉痛になりました……!)。
テントサウナ
そして、今流行りのテントサウナも自然豊かな湖畔で体験させていただきました。
実はサウナが苦手で、温泉などにあっても素通りするタイプの人間……本当に楽しめるか不安もあったのですが、テントサウナはサウナ特有の息苦しさはなく、自然に身体を温めることができました。
じんわりと汗を流す感じがとても心地よく、何だか癖になりそうな感じです。サウナの後にそのまま湖にダイブすることで、心も身体も思考もさらにクリアに。穏やかな自然の中で、自分のための時間を過ごすことができました。
温泉
行程表にもある通り、期間中は毎日温泉に行っていました。
「yamaju」から徒歩圏内にある十和田ホテル、ワークスペースでも利用した奥入瀬渓流ホテルとそれぞれとても素敵な温泉でしたが、3日目に訪れた酸ヶ湯温泉がとても衝撃的でした。何と、混浴なのです。
さすがに裸で入る勇気はなかったので、湯浴み(ゆあみ)という温泉の中で着られる女性用の服を購入し、温泉に入りました。
160畳もの浴室には、熱湯、冷の湯、四分六分の湯、湯滝など4つの源泉の異なる浴槽がありました。男の人がいることに最初は違和感がありましたが、最後の方は普通に会話できるまでになりました(慣れって怖いですね)。
"ワーケーションの地"としての、十和田湖の魅力は?
普段は他の人と一緒に旅をするということがほとんどない私ですが、みなさんが程よい距離感で接してくださり、楽しみながら過ごせた4日間となりました。
ゆったりとした空間が広がるワークスペースで仕事に集中できたのはもちろん、アクティビティも充実しており、自然の中でのびのびと過ごすことができました。温泉が多い点も魅力で、仕事終わりや仕事の合間に訪れると、本当にリフレッシュになりました。お肌もツルツルになりましたよ。
大満足の旅でしたが、一つお伝えしておくべきことは、大絶景を味わえる環境がゆえの交通の不便さ。今回は「yamaju」の小林さん夫妻がそういった配慮もされていたので、何の心配もなく過ごすことができましたが、個人で行かれる方はレンタカーを利用するか、事前に交通機関について下調べをしてから訪れた方が良いと思います。
雪や桜、新緑など季節によってまた違った楽しみ方ができるところも、この場所の魅力だと感じます。ぜひ訪れてみてくださいね。
南谷有美(なんや・ゆみ)
カメラマン/ライター
2018年4月に認可外保育園の園長を退いてから、各地を巡る旅人に。リモートで仕事をしながら、好きな場所で好きなことをして生活しています。