【お悩み1へのアドバイス】今の経験を突き詰めて、スキルセットを強みに

山下さん: かなでさんは、職歴に統一性がないこと、スキルが積みあがっていないことに不安を感じていらっしゃいますが、スキルの組み合わせ、スキルセットは人と違うからこそ価値があるんです。独特なキャリア変遷、経験、スキルを大事にして自分自身の価値を高めていきましょう。

そのためには、たとえ職歴がバラバラでも、その時々で得られる経験を"受け身"ではなくとことん突き詰めていく必要があります。復職後も"どうせ3年後には終わる仕事なんだ"と考えるのではなく、"今のポジションや仕事の機会を今後にうまくいかせないか"と考えてみてはいかがでしょうか?

ユニークなキャリアをお持ちのかなでさんだからこそ持てる視点は、今後も強みになると思いますし、目の前のことを突き詰めることで、その後の選択も自然と、かなでさんらしくなっていくと思います。

かなでさん: 一つのスキルを積み上げてこなかったこと、今の自分の年齢をネガティブに捉えていましたが、確かに経験としてはこれまで確実に積んできているんですよね。"これが私の強みです"と胸を張って言えるように、ポジティブにこれまでのキャリアを棚卸ししてみたいと思います。

【お悩み2へのアドバイス】自分の可能性に蓋をしないで

山下さん: りょうこさんのお仕事は数少ない安定雇用の職種ですし、福利厚生もしっかりしている業種だと思います。恵まれている部分もあるから、転職に二の足を踏んでしまう部分もあるのかもしれませんね。

りょうこさん: 転職したいという思いはあっても、私1人の選択が、私だけの選択ではなくなっているので、しんどくて。安定した生活、育児のしやすさ……家族のことを考えると、今の環境から逃げられないと思ってしまいます。

山下さん: 何が嫌で逃げたのか"をちゃんと自覚していれば、逃げることは決して悪いことではないと思います。つい目を背けたくなるかもしれませんが、何が嫌で、何を変えたかったのかを考えることが大切。逆にそれさえ出来ていれば、「これが自分の決断だ」と受け止められるので、逃げた経験だって今後の糧になりますよ。

ただ、りょうこさんの家族を思う気持ちも大切ですし、すぐに決断できない場合は「いざとなれば、転職すればいい。転職できるんだ」と胸に秘めておくことで、少し楽になるかもしれません。

りょうこさん: 今の職種はつぶしがきかなくて、転職するとしてもすべて未経験の仕事になってしまうと思うので、「本当に転職できるのかな?」とも思ってしまうのですが……

山下さん: "未経験だからできない"となってしまうと、ずるずる足も手も止まってしまいます。そこがもったいないなと思っていて、覚悟を決めて努力できれば、いくらでもキャッチアップできます。それだけの可能性がりょうこさんにあるということを、ぜひ忘れないでいただきたいです。

りょうこさん: 『私は転職できない』と思っていたのですが、もしかしたら自分で自分の可能性に蓋をしてしまっていたのかもしれません。"転職という選択肢もある"、"逃げてもいい"というのは、今の私にとってとても心強い言葉です。まずは、目の前の仕事をがんばって、将来について考えてみようと思います。

山下さん: たとえ復職後のお仕事がご自身の希望するものから外れていて、苦しかったとしても、それに見合うだけの経験は得られます。そして後で振り返ってみれば、いい思い出になっているかもしれません。転職しても、今の仕事を続けても、どちらに転んだって無駄な経験なんて一つもないんです。まだまだ30代前半。将来にもっと希望を持っていいと思いますよ。

山下真実

株式会社ここるく 代表取締役・社会起業家・2児の母。 米国留学によるMBA取得、米系投資銀行・金融コンサルを経て、ママになったことをきっかけに子育て支援という全くの新領域へ。人気レストランから選べる託児付きランチサービス「ここるく」を2013年にスタート。サービスを通じて集まる働くママのインサイトと、MBA・コンサルで得た専門知識の両面から、ママ向けサービス開発や育休復帰・働き方改革コンサルティングなども手掛ける。
『第14回女性起業家大賞』、三菱UFJ銀行主催『Rise Up Festa』最優秀賞受賞。

育休コミュニティ「MIRAIS」(代表:栗林 真由美/2018年8月発足)

「なんとなく育休をなくしたい」をミッションに、全国各地及び海外からの参加者も在籍。それぞれがキャリア、子育て、自身の成長などジャンルを問わず育休中のテーマを設定し、未来にこう在りたい自分の姿をかたちにするために活動。メンバー主催のキャリアや子育てなどの考察を深める読書会、外部講師を迎えての勉強会やオンライン交流会など、育休を自己実現の積極的な機会とするためのコミュニティ。その活動はこれまでの育休の概念を変える新しい形として、設立2年目にして日本経済新聞、日本テレビ「news every.」等のメディアに取り上げられ反響を呼んでいます。2021年3月19日(金)には産育休者向けのWebサイト「育休ガイド IKUMICHl~"わたしらしい"に出会う育休の歩き方~」をリリースしました。

比恵島由理子

イラストレーター、2児の母。早稲田大学を卒業後、一般企業に就職するもデザインの道を志し、東京デザイン専門学校で学ぶ。編集制作プロダクションで実用書を中心とした書籍編集・イラスト制作を経験した後に独立。現在はWebメディア向けに活動中。自身の出産体験や子育てについてnoteに掲載している。