普段から仕事が楽しくて仕方がない、そんな人も世の中にはいるでしょう。

しかし、仕事の多くはルーティンワークです。だから、「つまらない、めんどくさい」「上司から言われた○○をやりたくない」といった、気持ちを抱きがちです。

しかし、仕事ですから、勝手に、自分の判断だけでやめられない。でも心は動かない、困りますよね。

そこで、やりたくない仕事でも、モチベーションを保ちながらしっかり続けられるコツを、書籍『結局、「しつこい人」がすべてを手に入れる』(アスコム)の著者である伊庭正康氏から紹介してもらいます。

  • やりたくない仕事はありますか?

どんな仕事も自分に価値あるものにする

やりたくない仕事、興味のない仕事も、自分なりに価値ある・意味あるモノに変えていくと「やりたい」に気持ちが変わるんです。

例えば、
Aさんは上司から取引先に提出する企画書の作成を頼まれました。

「もう別の企画書は提出しているのに、新しいのなんて意味ある?」

と思い作業が滞ってしまいましたが、「どうせやるなら、他の取引先にも提出できるようなひな型を作るか」と考えました。

Aさんはひな型を作るという新たな意味を付加することで、「やりたくない」から「やりたい」へギアをチェンジしています。

また、営業職のBさんは、学生のころから小説家になるのが夢でした。

小説家と営業。どこをどう結んでもつながらない感じですが、彼はいつもイキイキと営業職に励んでいました。

Bさんと夢について話したとき、

「営業をしていると社会の縮図が見える。いつか小説家になったとき生かしたい」と語ってくれました。営業を、小説のネタ探しの場にしていたんですね。

「どうせやるなら」と自分に投げかけ、どんな変化を生み出すか考えていけば、「自分ごと化」でき「やらされ感」から脱却できます。

自分がどうすれば得をするか、逆にやらないと損をするかを考えていくとわかりやすいかもしれません。

価値や意味あるモノに変換できたとき、「やりたい」マインドが生まれ、自走力が高まるでしょう。

MustをWillに転換させる

就職活動の際に、自己分析をした方が多いと思います。

その際に、「Will・Can・Mustのフレームワーク」を使った方も多いのではないでしょうか。

やりたくない仕事を、やりたいに転換させるにも、「Will・Can・Mustのフレームワーク」を活用できます。

Willは、「やりたいこと」。ささいなことでよいのですが、「こうありたいなぁ」「こんなことができるといいな」と理想の状態を挙げます。

Canは、「できること」。これまでの経験やスキルをふまえて、今の自分ができることを挙げます。

Mustは、「やらなければならないこと」。周囲の人や社会などから求められることを挙げます。

先のAさんが「やりたくない」と感じてしまったのは、企画書の作成や飛び込み営業が「Must」だったから。「やらなければならない」という義務になってつらかったんですね。

Aさんが「やりたい」気持ちへと変わったのは、Mustのなかにも、Willを見つけることができたからです。

Willはなんでもいい

Willを思いつくだけ書き出してみてください。

もしもピンとくるものが出てこない場合は「好きなこと」「楽しいこと」「やりがいを感じること」を考えて、そこから「未来にどんな自分でありたいか」を想像してみるといいでしょう。

それでも見つからないという方は、人間の欲求を段階別に理論化した「マズローの欲求5段階説」を参考にしてください。このなかの「低次の欲求」、「寝たい」「食べたい」のような、生きていくのに欠かせないものでも構いません。

もし会社の指示で、英語の勉強をしなくてはならなくなったとします。これはMust です。その状況で、Willを見つけるのはどうするか?

そんなときは、英語ができたらどんな楽しいことがあるかを想像してみてください。臆することなく海外旅行ができます。外国人とコミュニケーションもでき、外国人の恋人も作れるかもしれません。

そんなふうに考えると、楽しくなりませんか? 英語を学ぶ目的・理由を置き換え、Must をうまくWillに変換。イヤイヤだったはずの英語学習を、自分の価値あるものにするのです。

無理に高尚なWilを作るより、自分の欲求をそのまま出したほうが、原動力は高まりますよ。

著者プロフィール:伊庭正康(いば・まさやす)

株式会社らしさラボ 代表取締役
営業強化、リーダー強化等、年200回の研修・講演・コーチングに登壇。仕事の悩みに答えるYouTube「研修トレーナー伊庭正康のスキルアップチャンネル」もスタート。『できるリーダーは、これしかやらない』(PHP研究所)、『結局、「しつこい人」がすべてを手に入れる』(アスコム)など著書多数。