連載コラム『サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック』では、会社員が身につけておきたいマネーに関する知識やスキル・テクニック・ノウハウを、ファイナンシャルプランナーの中村宏氏が、独断も交えながらお伝えします。


「低解約返戻金型終身保険」で準備する方法もある!

保険を使って子供の教育費を準備するのであれば、学資保険以外にも「低解約返戻金型終身保険」を活用する方法があります。

「低解約返戻金型終身保険」は終身死亡保険のひとつです。終身死亡保険は、途中で解約すると「解約返戻金」を受け取ることができることから、貯蓄代わりにも活用することができます。なかでも「低解約返戻金型終身保険」は、保険料払込期間での解約返戻金を低く抑えて保険料を割安にする一方で、保険料払込期間終了後に解約すると「戻り率」が一気に100%超となる商品です。この仕組みをうまく使って、中途解約を前提に契約することで学資の準備をすることができるのです。

【低解約返戻金型終身保険のイメージ図】

使い方は次の通りです。

子供が生まれたら、親が自分を被保険者にしてこの保険に入ります。

契約時には、子供が17歳になるまで、あるいは18歳になるまでを保険料払込期間に設定します。そして、保険料を払い終わったあとに解約して返戻金を受け取り、学資金として活用します。

保険料払込期間に解約すると、元本割れをして損をするので注意が必要です。

なお、他の貯蓄などから学資金が工面できそうなら、解約しなくても構いません。長く据え置くほど解約返戻金は増えていきますし、死亡保険として活用することも可能です。なお、保険料払込期間内に親が死亡した場合には、死亡保険金が遺族に払われ、それを子供の学資に使うことができます。

商品選びのポイントは、やはり「戻り率」の高さ

学資保険と同じように、この保険を選ぶときのポイントも「戻り率」の高さです。

「保険料払込期間終了後の解約返戻金÷保険料総額×100」が高ければ高い商品ほど効率的に増やすことができます。

ただ、そうは言っても、やはり現在の低水準の金利が契約時に固定されて長期間運用されることになるため、大きく増やすことは期待できません。

いずれにしろ、保険で教育費を準備しようとする場合は、学資保険と低契約返戻金型終身保険の「戻り率」を比較して、それの高い商品を選ぶとよいでしょう。

「保険」以外で教育費を準備するには?

教育費の準備を保険以外の金融商品で考える場合、最も安全確実なものは「積立預金」。会社に制度があれば「財形貯蓄(一般財形)」を活用し、給与天引きでコツコツ積み立てる方法もあります。積立預金や財形貯蓄は、毎月の積立金ごとにその月の金利が適用されるため、市場金利が上昇すれば、それに応じて適用金利の水準も上がっていきます。

目安として10年以上の長い運用期間を確保できるなら、投資信託を積み立てながら増やしてもいいでしょう。NISA(少額投資非課税制度)を活用して、税制優遇を受けながらコツコツ投資をしていく方法などがあります。

複数資産が組み合わされた「バランス型投資信託」を活用すれば、比較的安定的な運用ができ、預金や保険以上の利回りを期待することができるでしょう。ただし、株式比率の高いバランス型投資信託は、リスクが高くなるため、教育資金を準備するためなら、株式比率50%以内のものした方がいいでしょう。

また、投資信託は元本保証の商品ではないため、万が一元本割れをした場合でも他の貯蓄でカバーできるようにしておくと安心できます。

子供の教育費の準備には、保険と活用する方法、貯蓄を活用する方法、投資商品を活用する方法など、いろんな考え方があります。貯蓄習慣が定着しない方は保険、安全確実に貯めたい方は貯蓄、多少のリスクを許容しても高い利回りを確保したい方は投資信託など、親として考え方をしっかり決めてスタートするようにしましょう。

(※写真画像は本文とは関係ありません)

執筆者プロフィール : 中村宏(なかむら ひろし)

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。(株)ベネッセコーポレーションを経て、2003年にFPとして独立し、FPオフィス ワーク・ワークスを設立。「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを多数行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。新著:『老後に破産する人、しない人』(KADOKAWA中経出版)

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