ドル/円の場合、上にドル売りがかなり並ぶことはよくあります。
さすがのロンドン勢やニューヨーク勢でさえ、攻めあぐねるほどの、半端な額ではないことが多いです。
輸出企業の売りだけではなく、はっきりとはわかりませんが、もっとすごい売りがあるようにさえ感じることがあります。
しかし、あまり大きくは下がりません。
なぜなら、上の重いのは、みんな知っているからです。
そのため、その売りを壁にして手前で売って、ショートになりがちです。
ところで、売りを壁にして手前で売るとは、大きな売りが上にあるため、それを抜けていく可能性は低いと見て、その手前(下)で売ることです。
上の売りが抜けたら、損切ればいいので、損が少なくて済むということで良く行われるトレード手法です。
しかし、この大きな売りの手前で売るとショートになるため、下がらなくなってしまいます。
なぜなら、売って下がれば買い戻して、また上がれば売って下がれば買ってを繰り返すと、相場は下がらなくなってしまうからです。
こうして、高止まりとなります。
売れば下がるはずだというご意見は良くありますが、投機的に売れば、必ず買い戻さなければなりませんので下がり切ることはできません。
一方、これが、積極的に買い先行で買い上げれば、マーケットポジションはロングになるし、しかも上の大きな売りも飲み込んでしまえば(ガバッと買ってしまえば)、持ち値の悪いロングがパンパンにできて、後は下がるだけになります。
要するに、下がるためには、マーケットのポジションがロングにならなければなりません。
ところで、上の大きな売りがあることが明らかにわかる時は、日本勢の売りです。
なぜなら、売り注文を前もって入れているからです。
これが、欧米勢の大口投資家の注文になると、注文は前もっては入れてきません。
彼らは、自分が売りで出ていることを、他に知られることを嫌い、前もって注文は入れません。
その代わり、取引銀行に、たとえばユーロ/ドルで1.2150が来たら電話してくれという、いわゆるコールオーダーを出し、その水準がきて、銀行から連絡があると、「それでは、1.2150以上で、3億ユーロ売ってくれ」といった売り指図をします。
これを、電話(コール)で指図するオーダーだから、コールオーダーと呼びます。
受けた銀行は指図に従い、1.2150以上に買いが上がってくると、もぐらたたきの要領で、売ります。
チャートで見ても、この上にヒゲが何本も出ているのが、コールオーダーの形跡です。
この買い上げがボディーブローのように後で効いてきて、買いを抱えた投機筋が上がらないので投げてくるため、大きく反落することが多いです。
この辺については、大口の売りを前もって入れる日本勢も、マーケットを膠着化させずに、希望の額を売るために、工夫する必要があると思います。
尚、トレーダーも、オーダーのあるなしに、あまり神経質にならない方が良いと思います。
よくあることは、オーダーを意識しすぎて、素直な相場観がゆがめられることは結構多いです。
なぜなら、ここに売りオーダーがあると意識してしまうと、チャートでは上がる相場に見えても、買うのをためらってしまって、折角のチャンスを逸することになるからです。
したがって、オーダーは気にしないことです。
しかも、オーダーで、特に輸出企業を中心とするオーダーは、下二けたが、00と50(たとえば、105.00とか105.50)に置かれることが多く、それに加えて、20、40、60、80にも入れてくる習性があります。
それがわかっていれば、何もオーダー探しに奔走する必要はないということです。
大事なことは、純粋な目で、相場の方向性を見るということで、そのためにはオーダーというノイズは、極力気にしないことだと思います。