7月を通して、700ポイント以上もの上昇をしたユーロ/ドルですが、これは、ビッグプレーヤー(大口の投機筋)からかなりの買いが出たものと思われましたが、上げは順調でした。

ところが、8月第1週、いろいろな変調が見られるようになりました。

まず、8月1日土曜時点でわかった、その時点での最新であった7月28日のシカゴIMMのユーロのネットロングは15万7,559枚という、15万枚を超えて、投機ポジションが買い過ぎの危険水域に入っていたことです(8月7日米雇用統計発表後リリースされた、8月4日時点では18万648枚とさらに増加しました)。

つまり、すでに、IMMに限らずユーロ/ドルのマーケット全体のポジションは、ロングにかなり偏っていたということです。

さらに、日足で、7月31日が上ヒゲの長めの陽線、翌営業日の8月3日は下ヒゲの長い寄り付きと引け値の近い陽線が出現しており、この上ヒゲと下ヒゲの連続はレンジ相場の入り口で出る傾向があります。

そして、8月3日と4日の日足が、7月中ずっと上昇トレンドをサポートしてきた5日移動平均線を下回ってきました。

  • ユーロ/ドル 日足

ただし、次のサポートである10日移動平均線には支えられ、5日、6日、7日は再び5日移動平均線を上回りましたが、8月第1週を通してみると、横ばい相場であり、また5日移動平均線の上昇角度も緩くなっていました。

こうなると、6月11日から30日までの調整的なレンジ相場のように、1.1600台まで押す可能性も出てきました。

そして、7日金曜日、発表された米雇用統計は、失業率が10.2%(予想10.6%)、非農業部門雇用者数は176.3万人(予想148.0万人)と、確かに予想より良かったものの、米雇用統計が終われば夏休みと見たビッグプレーヤーは、雇用統計の結果のいかんにかかわらず、7月以来のドル売りポジションの手仕舞いのタイミングを米雇用統計発表と決めていたもようで、全面的なドル買いとなりました。

つまり、ビッグプレーヤーもいろいろな予兆に気づき、夏休みに入る前にドル売りポジションを手仕舞っておこうと考えたものと思われます。

手仕舞いのドル買いは強烈で、ユーロ/ドルやポンド/ドルは急落(ドル高)、あの上値の重たかったドル/円も買い上げられました。

それだけ、ビッグプレーヤーが7月中、ドル売りをいかに積み上げていたかがわかります。

それを、夏休みに入るので、ためらわずに利食ってきたということです。

こうした年間通しても、たとえば、今回の夏休みに入るときとか、クリスマス休暇に入るときなどには、こうした米雇用統計などのイベントを手仕舞いのきっかけにすることが多く見受けられます。

なぜ、イベントをきっかけにしようとするのかと言えば、マーケットの関心が集まっている分、マーケットに参加するものが増える分、流動性が高まるためです。

ビッグプレーヤーの悩みとは、そのホールドしているポジションが大きいために、手仕舞うためには、マーケットに厚み(流動性)がなければできないということです。

今回の米雇用統計のように、どんな結果がでてもマーケットが厚くて動きが限られるような指標発表は、大きく手仕舞おうとしている彼らにとっては願ったりかなったりの局面だったと言えると思います。

そして、いったん手仕舞いとなると、ユーロ/ドルを始め、ポンド/ドル、ユーロ/円、ポンド/円、さらに、微動だにしなかったドル/円ですら、ドル高となり、いかに彼らが大量にいろいろな通貨ペアを手仕舞ったかがわかります。

このような、季節性の高い手仕舞い時期には、いかに大掛かりな手仕舞いが入るかということにつきましては、今後のためにも、よく覚えておかれることをお勧めします。