元国税局職員 さんきゅう倉田です。
好きな小説の書き出しは「国境の長いトンネルを抜けると査察部と会った。頭の中が白くなった。」です。

前回、フリーランスには予め報酬を設定することが大切だと述べました(「述べました」という言い方は偉そうに感じたけれど、ぼくには適切な言葉が思いつかなかった! )。

ただ、ある程度の金額設定をしていても、まったく同じ仕事はやってこないので、その都度、調整する必要があります。敏感になりすぎると、それ自体がコストになるため、バイクのクラッチレバーのようにあそびの部分は必要です。そこで、どのような場合に請求金額を上げるか、あるいは下げるか、自分の中で決めておくことが大切になります。

請求金額を上下させる要因たち

  • 第150回「フリーランスで重要なこと(3)~請求金額を上げる~」

○上げる

・場所が遠い
働く時間が決められていない、成果報酬型のフリーランスにとって、移動は時間あたりの単価を下げるだけの悪魔である。移動はしないに越したことがない。遠方の場合、宿泊を伴う場合は、請求金額に加味する。

・打ち合わせが多い
大きくない会社の社長と直接やりとりする場合に多い。ただの顔合わせや3回目以降の打ち合わせは、断ることも大切。予め、2回以上の打ち合わせをする場合は、別料金とするフリーランスもいる。

・特別な注文がある
無理な注文でない限り、設定金額の中で、可能な限り要望に応える余裕が必要だが、別途料金での支払いがある要望に関しては、対応することになる。

・メールの回数が多い
業務連絡の範囲を超えたメールの送受信が行われる場合には、請求金額に加えることも考えてよいケースがある。相手が社長でなければ、役務の提供後にLINEなどを交換し、頻繁に連絡を取り合うことは推奨する(社長と個人的に仲良くなっても良いことはない! )。

・確認が多い
確認作業があることは、単価の設定時に理解しておかなければならない。確認が通常の範囲を超えることはあまりないが、取引先の立場が自分よりはるか上にある場合は、確認作業を回されることがある。


○下げる

※基本的に、自分から報酬を下げても良いと申し出ることはない

・継続性がある
継続的な仕事は固定給となり、仕事の受注可否にも影響を与える。ただし、先方から「継続的に依頼するので、安くしてほしい」と申し出があったときには、単発の依頼で逃げられる場合もあるので、注意が必要。

・特別に楽しい
仕事はすべて楽しいことが前提だが、特別に楽しく、先方に潤沢な予算がない場合は、交渉に応じたほうがよい。

・新たなスキルが得られる
金銭以外の付加価値があり、先方に潤沢な予算がない場合は、交渉に応じたほうがよい。

・勉強になる
お金を払ってでも勉強したいような内容で、先方に潤沢な予算がない場合は、交渉に応じたほうがよい。

報酬を上げるには

上記の請求金額の上下は、先方の提案した報酬の金額がそもそも高ければ、検討する必要がありません。では、どのような場合に先方からの提案金額が高くなるのか。

ぼくの報酬も、フリーランスになったばかりの頃とでは異なります。それは、先方が最初にメールや企画書で提案してもらえる金額が高くなったからです。それを自分なりに考えてみた結果おそらく、ブランド・エクイティ(各ブランドが持っている資産価値)が上がって、敬意を払ってもらえるようになったからだとの結論に至りました。

経年により、ぼくの製品パフォーマンスも上がっていると思いますが、それは他者からは見えづらい。そうすると、価格を決めるのはブランド・エクイティです。

タレントしてのブランド・エクイティは、どのテレビ番組に出たか、SNSのフォロワーはどれくらいいるか、書籍を出しているか、連載はあるか、そういったことで上下します。これらはぼんやりと括ると、知名度です。つまり、知名度が上がれば、製品パフォーマンスは上がらずとも、報酬は上がります。

フリーランスが報酬を上げるためには、たくさんの仕事をすること、そして、その業界での知名度を上げることが重要だと思います。ただし、自己研鑽により製品パフォーマンスを上げ続けなければ、仕事そのものは減ってしまいます。

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さんきゅう倉田

芸人、ファイナンシャルプランナー。2007年、国税専門官試験に合格し東京国税局に入庁。法人の税務調査を行ったのち、吉本興業に。ツイッターは こちら。YouTubeチャンネルはこちら