mature(マチュア)は本来的には、(生物が)生育しきったとか、(果物が)熟したといった意味ですが、マーケットでも、「この相場は、マチュアしている。」といった使い方をします。

その意味は、「相場が若い」(始まったばかりの素直な相場の意)とは対極で、ひと相場の終わりに近いあるいは終わっているという時に使われます。

つまり、ひと相場をやるだけやってしまったという状態で、いくら今までのトレンドをフォローするような材料が出ても、反応が鈍かったり、場合によっては、逆に反応してしまうことすらあります。

ポジション的に言えば、今までのトレンドに乗ってできたポジションがもう一杯一杯になっていて、それ以上に新規のポジションを受け入れる余地がなくなっている、いわゆるパンパンの状態で、こうなると残された道は、ポジションが減る方向しかありません。

ポジションの減る方向にも、短期間に爆発的にポジションが減少するロスカットの集中の場合と、長い時間を掛けて揉み合いながら解消していくレンジ相場とに分かれます。

ロスカット集中型は、短期的な痛みが伴いますが、早期に新しいトレンドに入る回復力が相場自体にありますが、長い時間を掛けてレンジを形成しながら揉み合う場合、短期的な痛みは伴わない反面、長いレンジ期間を要することになります。

私は、個人的には、痛みを伴ってでも、早く回復するほうが好きです。

ちょっと例が相場から外れますが、私がニューヨークにいた頃、世界最高クラスの銀行である、ニューヨークに本店をおくシティーバンクが、経営難となり、株価は暴落、いつ倒産するかという噂が飛び交うまでになりました。

そのときシティーが取った手は、売れるものなら、本店ビルから何まで売りまくり、倒産が噂された翌年には、黒字転換するまでに、まさにVの字カーブの回復を短期に達成しました。

これは、トレーディングでも同じだと思います。自分のポジションは可愛いからと苦しみながらも、相場の回復を待つよりも、ロスカットによって、一時的な痛みを伴うけれども、次のことが出来るチャンスを持つほうが、選択肢が広がると思います。

相場は、これ一回限りではありませんので、ひとつのことに固執することはないと、個人的には思います。

  • ドル/円 日足

さて、直近の相場ですが、9月19日未明、FRBは大方の見通し通り0.25%の利下げをしましたが、年内と来年の利下げ停止を示唆したことからドル買いで反応し、一時108.48をつけました。

そして、9月20日、トランプ大統領が米中通商協議について、完全な合意を望んでいる、部分合意ではないと発言したことから売られ、一時107.53近辺をつけました。

あたかも、今まで通りに動いていているように見えますが、結局、ここ3日間の値幅は、1円に満たないというところに注目です。

つまり、動いているようでいて、特にトランプ発言に対する反応は50銭もありません。

これまで、このような発言があれば、もっと大きく下げていたのが下がらないところに、マチュアした相場であることを実感します。

もちろん、週末を越えて、続落の可能性は否定できませんが、長く続くとは見ていません。

むしろ、この材料で、新たにドルショートポジションが積み上がれば、反転の可能性が高まるものと見ています。

いずれにしても、相場に素直さがなくなっているのが、マチュアした相場ですので、ひとつひとつの材料を真に受けていると、どんどん傷口を広げることになりますので、ここは、一歩マーケットから下がって様子を見ることが大事だと思います。

特に、月末になってきていますので、新規にポジションを持つよりも、手仕舞いが優先される時期だと思われます。

水上紀行(みずかみ のりゆき)

バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀において為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。なお、長年FXに携わって得た経験と知識をもとにした初の著書『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』が2016年1月21日に発売された。詳しくはこちら