今年の大学受験シーズンも終わりました。新高3のお子さんを持つご家族では、いよいよ来年の進学を目指す1年が始まります。親にとってはここからが大きな教育費準備のスタートです。第22回のコラムでもお伝えしたように、現在、大学(昼間部)および大学院修士課程では、2人に1人は奨学金を利用している実態があります。

その奨学金制度ですが、2020年入学予定者分から大きくリニューアルが予定されています。奨学金の申込みはまもなくです。リニューアル内容と申込スケジュールを今一度確認しておきましょう。

新制度は二つの目玉

ご存知のとおり、日本学生支援機構の奨学金は返還不要の「給付奨学金」と、返還を要する貸与奨学金のうち、無利息で返還する「第一種奨学金」、利息付きで返還する「第二種奨学金」があります。2019年2月に閣議決定され、現在の国会で法案を提出、成立を目指しています。

リニューアルの概要としては以下の二つがあります。

①授業料等の減免

  • 【授業料等減免の上限額(年額) (住民税非課税世帯)】文部科学省「高等教育無償化の制度の具体化に向けた方針の概要」より

②給付奨学金の拡充

  • 【給付型奨学金の給付額(年額) (住民税非課税世帯)】文部科学省「高等教育無償化の制度の具体化に向けた方針の概要」より

たとえば自宅通学で私立大学へ進学する場合であれば、入学金を26万円、授業料を年間70万円減免してもらえるほか、給付型奨学金を年額約46万円支給してもらえます。 2017年からスタートした現在の給付型奨学金は、上記ケースであれば年額36万円ですから減免と併わせて考えると非常に大きな支援であることがわかります。

支援対象者の要件もしっかり心して

もちろんこれだけ大きな支援ですから、支援対象の要件として世帯の収入要件はもちろんですが、本人についても厳しい要件があります。 在学時の成績、進学前の明確な進路意識や学習意欲だけでなく、進学後の学習状況も確認されます。進学後、一定の成績や単位数に満たない場合、規定の修業年限での卒業が見込めないことが明確になった場合は支援を打ち切られますので、お子様にもしっかりと自覚を促しましょう。

予約採用がおススメ

日本学生支援機構の奨学金の申込みは、進学前に高校を通して申込を行う予約採用と、進学後に大学等で申し込む在学採用がありますが、基本的には予約採用をお勧めします。入学金の支援も受けられますし、進学前に教育資金のめどを立てられるので、ライフプランが立てやすくなります。

新しい制度は国会で成立次第、予約採用のスケジュールが決定します。従来は6~7月頃が締切となっていますので、おそらく大きな違いはないと思われますが、学校の先生方にとっても初めての制度となるため、また先輩たちの情報がないため、新学期が始まってからの情報収集にはしっかりとアンテナを張りましょう。正式に決定すれば大々的に報じられるはずです。学校からの連絡待ちという受け身ではなく、ニュースにも耳を傾けておきましょう。

鈴木暁子

鈴木暁子

ファイナンシャル・プランナー(CFP認定者)。キャリアコンサルタント。FPオフィス Next Yourself代表。
「多様化するライフスタイルに応じたライフプラン・マネープランづくりが重要」という視点で、企業、自治体、大学オープンカレッジなどで年間約50回のセミナー・講演を行うほか、新聞、雑誌・WEBなどで精力的に情報発信をしている。
「お金はいい使い方をしてこそ活きる」をモットーに、これまでに数百件の家計診断のほか、 個人コンサルティングも行っている。資産運用、ライフプランニングを得意とし、特に共働き夫婦のライフプランニング、リタイアメントプランニング、高齢期のお金と住まい、相続設計に力を入れている。著書に『100歳まで安心して暮らす生活設計』(実業之日本社)。