共働き家庭は、今や1,188万世帯と専業主婦家庭の641万世帯を大きく上回っています(内閣府男女共同産画局 平成30年版「男女共同産画白書」より)。

夫婦で働いている分、世帯年収も上がり、一見しっかり貯蓄ができていそうですが、我が家は「なぜか貯蓄できない!」家庭でした。周囲の出産や子どもの進学、マイホームの購入などの大きなイベントを目の当たりにし、やっと貯蓄を意識するようになったのです。

今回は、共働き家庭が貯蓄できない理由や問題点と解決策を、我が家の事例とともにお伝えしていきます。

共働きだから使っても大丈夫!?

結婚後、出産までは私もフルタイムで働いていました。それぞれの収入があるので月々の生活費が足りなくなることはあまりなく、危機感を持たずに過ごせました。独身の頃に貯蓄していた旧姓のままの口座も保有しており、余裕すら感じていたぐらいです。

独身の頃よりは少しセーブするところもありましたが、趣味や友達付き合いなど、それまでの生活水準を落としたくないのが本音。

ところが、私もそろそろ子どもがほしい、マイホームもほしい、と現実を考えだして初めて「このままで大丈夫?」と思うようになりました。

  • 共働きなのになぜか貯蓄できない……お金が貯まる家計管理の始め方(写真:マイナビニュース)

    共働きの家計管理に不安を感じるように……

我が家の危険な家計管理

せっかく共働きなのだから、それぞれ自由にお金を使いたいし、自分の収入もお互いに知られたくない。何に使っているのか夫(妻)に言いたくないから、自分も聞かない。

そうして、夫(妻)がどれぐらい使ってどれくらい貯蓄しているか、気がつけばお互いのお金ことは何も知らない危険な状態になっていました。

またそれ以外にも、夫婦それぞれのお小遣いが多い、使途不明金も多く、夫婦で毎月いくら貯めるといった貯蓄の目標がないなどの問題点もありました。

まずは夫婦でお金の話をすること

とはいえ、何から話したらいいのか、どのように改善すればいいのか、まったく分からない状態。

私がファイナンシャルプランナーの資格を保有していたので、夫はお金のことは私に任せておけばよいと思っており、あまり興味もありません。共働きでお互いに忙しく疲れていることもあり、最初は話し合いにもなりませんでした。

そこで、簡潔に分かりやすく伝える必要があると思い、「家計」の本を読み、友人や先輩の話を聞かせてもらいました。

その中でよくでてきたワードは「先取り貯蓄」。そしてこれを実践するには、毎月の適正な生活費、年間の目標貯蓄額を決める必要があると分かったのです。

まずは何のために貯蓄をするのか、そして現状の問題を夫婦で共有し、価値観を一致させることが、家計管理を成功させるカギになると夫に伝えることから始まりました。

ですが、一挙に完全透明化し「見える家計」にするには少し抵抗があったので、我が家の場合は、財布は2つのままで、まずは毎月の適正な生活費、年間の目標貯蓄額を決めて、毎月の先取り貯蓄額・ボーナスでの貯蓄額を夫婦で話し合うことにしました。

セオリー通りの口座管理方法

我が家で実践した口座管理はいわゆる一般的な方法です。まずはセオリー通り、それぞれの収入から一定額をそれぞれの口座に先取り貯蓄し、2人で使う共通口座にそれぞれが生活費を入れる方法でいこうと夫婦で決めました。

1. 適正な生活費の決め方

通帳から自動引き落としされる金額、現金で必ず出ていくお金、食費、日用品などの、ほぼ毎月決まって出ていく推定額を把握します。これらの合計をもとに適正な生活費を決めました。

2. 年間貯蓄の目標額から先取りの貯蓄額を決める

教育費やマイホームの購入など、夫婦でライフプランを考えます。ライフプランから年間の貯蓄目標額を決め、先取り貯蓄額を割り出し、それぞれの先取り貯蓄額をお互いに自分の名義で貯めていきました。

我が家では、夫婦で年間の貯蓄額を100万円と決め、毎月の給料より5万円×12カ月=60万円とボーナスより20万円×2回=40万円を貯蓄。1人あたり、毎月25,000円、ボーナスで10万円ずつです。

夫婦同額で始めたのは、私より収入の多かった夫の方が生活費を多く負担してくれたからです。生活費の負担比率は夫5:妻3。これらを差し引いた残りがそれぞれのお小遣いとなります。

注意した点は、最初の貯蓄額で無理しないことです。できそうな金額から始めてストレスを感じないようにしました。

徐々に夫婦で成果を実感

最初はこの見える家計に抵抗がありましたが、夫婦で目標を決め、半年もすると、実際に通帳の残高が増えていきました。それを目にすると、徐々にですが、お互いに家計管理のモチベーションが上がり、気軽にお金の話ができるようになってきました。

「これだけ貯蓄できているよ」「ちゃんと貯めてる?」と確認し合い、業務連絡のような報告が、次第に自然な会話となっていきました。そして、出産を機に我が家の財布は1つになります。

夫の収入だけで生活するので、より夫婦で協力して家計をやりくりしないといけません。そのために必要なのは、生活費と貯蓄額の見直しです。

家族が増えるため、生活費はそれほど削減できません。それぞれのお小遣いをカットし、そこから無理のない貯蓄額を決定しました。

最初は、自由に使えるお金が少なくなるのでストレスを感じますが、復職までの間は子どものそばにいられるし、先取り貯蓄を継続できる安心感から、10年間専業主婦をしていました。

夫婦でお金の話をする意義

我が家のように共働きの場合、「夫婦別財布」の家庭も少なくでしょう。お互いに自由に使えるお金は多いですが、お互いの懐事情が分からないままでは、貯まらない家庭になってしまいます。

お金は意識的に貯めていかないと、貯まりません。お互いのお財布事情をオープンにしたら、気軽にお金の相談ができ、不安や心配ごとが思っていたより簡単に解消できるかもしれません。

妻の方が夫より収入が多い場合、気を遣うかもしれませんね。その場合、妻は段階的に情報を開示するという方法もあります。

家計管理は夫婦の協力があってこそ。「貯まらない」を卒業し、夫婦で確実に貯蓄額を増やしていきませんか?

筆者プロフィール: 久保友貴

大学卒業後、証券会社に入社。営業職に従事する。たくさんのお客様を担当させていただく中で、資産運用だけではなく、お客様をサポートさせていただくためには総合的なお金の知識が必要と思い、現在は主婦としての自身の経験をもとに保険の見直し、住宅購入等のライフプランの相談、執筆など活動中。
2級FP技能士/1種証券外務員/マイライフエフピー認定ライター

イラスト=オオノマサフミ