近年、各地でクマの目撃情報や被害が相次ぎ、大きな話題となっている。本来であれば人を避けるはずのクマだが、従来のクマとは異なる行動パターンや習性を持つ新しいタイプのクマたちが年々増加しているのだとか。

「眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話」(日本文芸社)は、クマの多面的な魅力を図解とともにわかりやすくひも解いていく1冊。今回は、クマの常識から知られざる新事実まで、一部を抜粋してご紹介します。

■年々増加している「新世代クマ」って!?

人間を避けなくなったクマたち

近年、全国でクマの目撃情報が急増し、人里に現れるケースも珍しくなくなってきました。なかでも注目されているのが、いわゆる「新世代クマ」と呼ばれる存在。これは従来のクマとは異なる〝行動パターン〟や〝習性〟を持つとされる、比較的新しいタイプのクマたちのことです。

たとえば、人間の存在や生活音に対する警戒心が薄く、昼間でも平然と民家周辺に現れる。あるいは、人間が捨てたゴミや農作物などを食べ慣れてしまい、食べ物目当てに定期的に出没する……。そんな行動が報告されています。

背景にあるのは、山奥に十分なエサがない年があること、親グマが人里に近づいて食べ物を得る行動を子グマに見せて〝学習〟させていること、そして人間がクマにとって「必ずしも危険ではない」という成功の経験を積んでしまったことです。これにより、本来であれば人を避けるはずのクマが、「近づけば食べ物がある」と認識するようになってしまいました。

特に問題なのは、そうした経験を積んで育った〝新世代〟のクマたちは、人間との距離感が最初から近いということ。対策をしないままでいると、さらに多くのクマが人の暮らしのなかへと入り込んでしまうかもしれません。新世代クマとは、クマの側の問題ではなく、私たち人間の暮らし方の〝鏡〟でもあるのです。


『眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話』(山﨑晃司 監修/日本文芸社)

最近では日本全国で目撃が相次いで発生したり、温暖化の影響で冬眠をしないクマも確認されたりすることから、話題に事欠かない今大注目の動物「クマ」。さまざまな角度からクマの生態と特徴を解説し、クマの知られざる魅力に迫る一冊。
眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話