近年、豪雨や猛暑など異常気象が相次ぎ、天候の急変に備える重要性が高まっています。昔から人々は空を見上げ、雲の形や動きから天気の変化を読み取ってきました。実際、雲の中には異常気象や自然災害の前触れを示すものもあります。大きく盛り上がる雲、魚の鱗のように並ぶ雲……一見美しく見える雲が天候急変のサインになることも。

今回は、気象予報士で空の写真家の武田康男氏による『知れば知るほどおもしろい 天気のはなし』(宝島社)より「竜巻の予兆となる漏斗雲」についてお届けします。

■規模が甚大に! 気象災害を知る

近年、地球温暖化による海水温の上昇で、海からの水蒸気量が増加している。これによって積乱雲が発達しやすくなっており、豪雨や線状降水帯の発生が増えている。

海上で発生する台風は、今後もこれまでにないほどのエネルギーを蓄えて上陸することが考えられる。

積乱雲が連続して発生し、同じ場所に雨を降らせ続ける線状降水帯は、長時間にわたり大雨をもたらし、甚大な水害や土砂災害の原因となる。

気象災害の頻度や規模は確実に変わりつつある。異常気象はもはや「異常」ではなく、当たり前のように気象災害と直面する機会が増えている。それを実感している人も多いだろう。だからこそ、空からのサインを見逃さない力が求められる。雲の形や空の色、風の変化といった兆きざしをいち早くキャッチすることが、命を守るための鍵となる。

■積乱雲や積雲から垂れる漏斗状の雲に注意!

  • 積乱雲や積雲から垂れる漏斗状の雲

    雲の底から垂れ下がる漏斗雲。地面に着くと竜巻になるため、見つけたら、すぐに安全な場所に避難を(撮影地・日付:長野県・9月8日)/撮影:武田康男

台風の接近時や寒冷前線、上空の寒気が通過する際など、積乱雲や積雲から垂れ下がるように発生する漏斗(ろうと)雲。空気が激しく回転する渦の中心は気圧が急激に下がり、冷やされた水蒸気が微小な水滴となって漏斗状の雲になる。まれに複数同時に出現して、互いの周囲を回りながら複雑な動きを見せる。特に、上空と地上の温度差が大きく、湿った空気が流れ込んでいる時は注意が必要だ。

先端が地表に達すると竜巻となるため、目撃したら、頑丈な建物などに避難することが重要である。

『知れば知るほどおもしろい 天気のはなし』(宝島社)

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監修・写真:武田康男
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  • 積乱雲や積雲から垂れる漏斗状の雲

    本の中では大きな写真とともに、わかりやすく解説されています/『知れば知るほどおもしろい 天気のはなし』(宝島社)より