予讃線・土讃線非電化区間や高徳線の特急列車で活躍する2000系は、いまのところJR四国の特急形気動車の主役といえる存在。新たな特急形気動車の製造も計画される中、この年末年始も四国内の各地で2000系による特急列車が運行されていた。

2000系「アンパンマン列車」(グリーン)を使用し、土讃線を走る特急「南風」

2000系の試作車両「TSE」は3両編成。年末の特急「宇和海」では、1両増結された4両編成で運行されていた

2000系のデビューは1989(平成元)年。最初に投入された編成は「TSE(Trans Shikoku Experimental、四国横断実験)」と呼ばれた3両編成の試作車両で、制御付自然振子装置を採用した特急形気動車は世界初だったという。土讃線の特急列車などに使用され、1990年に鉄道友の会ローレル賞を受賞したこの車両はいまも現役で活躍中。予讃線松山~宇和島間の特急「宇和海」で運用されている。

試作車両「TSE」をベースとした量産車は1990年度から投入された。この2000系以降、JR四国の車両は他のJR各社と異なる数字4桁の形式が主流となっていく。

2000系量産車の特急「宇和海」(先頭車は貫通タイプ)。「TSE」と比べて車体前面の黒い部分が広がり、水色の帯に加えて前照灯付近に黄色の帯が施された

2000系量産車の特急「あしずり」(先頭車は非貫通タイプ)

予讃線の電化区間を走る伊予西条発高松行の特急「モーニングEXP高松」。ヘッドマークはなく、休日は2両編成での運転となる

2000系の量産車も軽量ステンレス製の車体で、先頭車の形状も「TSE」と同様、非貫通タイプ・貫通タイプの2種類。ただし、愛称表示器を設置し、帯色に黄色も採用するなど「TSE」とは異なる外観デザインとなった。現在、特急「宇和海」や土讃線を走る特急「南風」「しまんと」「あしずり」に加え、予讃線高松~伊予西条間で早朝・深夜に運行される特急「モーニングEXP高松」「ミッドナイトEXP高松」も2000系を使用している。

特急「うずしお」に使用される編成は「N2000系」と呼ばれる。先行して投入された編成の前面形状は従来の2000系(貫通タイプ)とほぼ同じだが塗装が異なり、後に投入された量産車では前面形状も変更された。エンジンの出力向上などの改良が施されており、高徳線ではN2000系が投入された後、1998(平成10)年3月から130km/h運転が開始されている。特急「うずしお」はおもに2~3両編成(グリーン車なし)で運転。2往復のみ岡山駅まで乗り入れ、岡山~宇多津間で特急「南風」と併結運転を行う。

特急「うずしお」に使用されるN2000系。先頭形状や外観カラーが従来の2000系とは異なる

土讃線の特急列車で活躍する2000系「アンパンマン列車」2編成のうち、オレンジを基調とした編成は土佐くろしお鉄道の所有。この編成を使用する特急「南風6・7号」は岡山~宇多津間で特急「うずしお6・7号」と併結運転を行う

2000年には、2000系に『アンパンマン』のキャラクターをデザインした「アンパンマン列車」がデビュー。現在、2000系「アンパンマン列車」は特急「宇和海」で1編成、特急「南風」「あしずり」で2編成(うち1編成は土佐くろしお鉄道所有)が活躍している。

JR四国の非電化区間における特急列車の主役的存在となった2000系だが、デビューから30年近く経ち、老朽化も進んだことから特急形気動車の新型車両が計画されている。同社の「平成28年度事業計画」によれば、2000系の置換えとして「新型特急気動車4両を新製する」とのこと。特急形気動車の今後の主役となりうる新型車両の登場も近そうだ。