私にお金を払った客はこう言う。「こんなこと早く辞めた方がいい」って。産婦人科の医者にはこう言われた。「あんた、バカ?」と。高額エステで借金を背負い、性風俗の道へ入った24歳の“つばき”。「フーゾクしかない」と思いこんだあの時の自分に伝えたいことは? 女性の性売買当事者によるコミックエッセイ『時給7000円のデリヘル嬢は80万円の借金が返せない。』(ころから)より、一部をご紹介します。

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私の名前はつばき。現在私は30代後半ですが、24歳の時に借金をしてしまい、それがもとで性風俗業界に入り、デリバリーヘルス、いわゆるデリヘル嬢として働いていました。借金をしたきっかけも、性風俗業界に足を踏み入れたことも、人によっては「くだらない」「他に方法があったでしょ」などと言われるかもしれません。でも、当時の私には、その選択が“間違っている”とは思えませんでした。周囲の人間が“ふつう”であればあるほど、誰にも打ち明けることはできませんでした。

「あんた、バカ?」

デリヘル嬢をしていた25歳のとき、男性の産婦人科医から実際にこう言われました。医者に投げかけられたこの言葉にショックを受けましたし、この上ない社会の矛盾を感じました。

――続きます。

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『時給7000円のデリヘル嬢は80万円の借金が返せない。』(ころから)
著者:つばき イラスト:うなばらもも

24歳のつばきは、高額エステの支払いに苦しみ、ネットショップ詐欺に遭う。そうして80万円の借金を背負うが、徐々に返済が滞り、風俗の世界へ入るが――。著者のデリヘル嬢体験をもとにした漫画とエッセイで、風俗業界の実情を伝える、ありそうでなかった一冊。若い読者層を意識した造本でありながらも、産婦人科医の高橋幸子さんによる解説や、「困った時の相談先リスト」を収録するなどの工夫が凝らされている。Amazonで好評発売中です。
公式サイトhttp://korocolor.com/book/9784907239701.html