公的年金にじぶん年金を上乗せできる仕組みとして、注目を集めている確定拠出年金。確定拠出年金には勤務先の企業で入る「企業型確定拠出年金」と、加入者自身が自分で入る「個人型確定拠出年金(iDeCo)」の2種類があります。

「企業型確定拠出年金」は、導入している企業でのみ加入できますが、「個人型確定拠出年金(iDeCo)」は2017年1月から加入対象者が大幅に拡大し、「企業型」に加入している人も含めて、20歳から60歳未満であれば誰でも加入できる制度になりました。この特集では「個人型確定拠出年金(iDeCo)」について、ひとつずつ解説していきます。

確定拠出年金で運用する商品は大きく2種類

iDeCoで運用する商品は大きく2種類あります。「元本確保型」と「元本変動型」です。

元本確保型は、定期預金や保険などの商品でその名の通り、運用する際に元本を割ることはないので安全性の高い商品といえます。しかし、その分利益が低く、資産がほとんど増えないことがデメリットです。

元本変動型は、元本割れのリスクがある代わりに、運用によっては大きく資産を増やす可能性があるのが特長です。iDeCoで利用できる投資商品は投資信託のみ。投資信託を通じて株式や債券などの金融商品に投資を行います。これはiDeCoの強みである「運用益非課税」の制度を最大限生かす方法でもあります。運用益非課税制度とは、資金を運用した利益にかかる税金を非課税にする制度で、iDeCoでは通常20%かかる税金が免除されます。

元本確保型と元本変動型

元本変動型の投資信託で攻めるのがポイント!

では、この2つの商品のどちらを重視するべきなのでしょうか? リスクを避けたいし、ずっと元本確保型でいいのでは? と思う人もいるかもしれません。しかし元本確保型100%にすると、金利が低いあまり手数料の方が運用利益よりも高くなってしまい、節税メリットは受けられるものの、実質元本割れとなる可能性があります。

定期預金の場合、毎月金利が見直されるので預け入れ当初の金利より低くなっていたということもあるかもしれません。今は超低金利時代なので得られる利息も高くは見込めません。保険の場合は、満期を迎える前に解約すると解約控除額というペナルティによって元本割れしてしまうことがあります。

元本確保型100%はNG

したがって、iDeCoの場合は元本割れしないで安心感が得られる商品よりも、リスクを取りながらも長く運用することによって資産を増やしていく商品を選んだ方がおトク度が高くなるといえます。しっかり運用をして利益が得られる元本変動型の投資信託を使って積み立てていくのがオススメです。元本確保型と元本変動型を組み合わせても運用ができるので、100%全部元本確保型で運用するのではなく、上手に組み合わせて分散投資で守りながら攻めるのがポイントといえそうです。

変動型も組み込む

投資信託って何?

では、そもそも投資信託とは何なのでしょうか。 投資信託とはわかりやすくいえば、自分が資金を提供する投資家であり、その投資家から集めたお金をひとまとめにして、投資のプロである運用会社が運用するという金融商品です。iDeCoでは、運営管理機関が用意した投資信託から好みのモノを選ぶだけで運用ができます。ただし、投資信託には価格に上がり下がりがあることを覚えておきましょう。

また、投資信託はプロに任せる金融商品なので、投資信託を運用する際に「信託報酬」と呼ばれる運営管理手数料がかかり、保有中はずっと支払い続けることになります。この信託報酬は商品に含まれるものなので、投資信託の財産の中から引かれますがその割合は投資信託の値段を表す「基準価格」の0.2~1.5%程度(年率)が目安。信託報酬も商品によって異なるので、事前にチェックしておきましょう。例えば、日本株式ファンドなど同じカテゴリーの投資信託で信託報酬を見比べてみるといいでしょう。

とはいえ、投資未経験者の中には投資信託を選ぶのが怖いと思う人もいるでしょう。iDeCoは途中で金融商品を変更することもできるので、まずはしっかり勉強しておきましょう。

まとめ

株式会社回遊舎


"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術」「J-REIT金メダル投資術」、「NISA120%活用術」、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点10」、「子育てで破産しないためのお金の本」など。