「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第66回のテーマは「息子の言葉使いはどこから?」です。

これまでのお話はこちら

息子が丁寧な言葉を使うように、子どもには丁寧に話す、と決めて過ごしています。

気が付いたら息子が「○○してもらってもいいですか?」と言うようになっていて、自分が思ったよりも息子に丁寧に話してるんだなあと思っていたのですが……。

最近、言葉使いが荒くなってきました。

「コノヤロー」は確実に最近お気に入りの「ドラえもん」の影響です。ジャイアンの言葉使いをマネするようになってしまいました。ドラえもんは自分も子どものころから読んでいて「悪いマンガ」だと思ったことはなかったのですが、大人になって読んでみたら……さすがは昭和のマンガ。実際には気になるところがいっぱいでした。

特に、ジェンダー観については、かなり前時代的で「男らしさ」「女らしさ」の押し付けが結構たくさん出てきます。ジェンダー観だけでなくて「大人らしさ」「子どもらしさ」の押し付けみたいなものもあって、「マンガを読むなんてバカバカしい」とか「大人のくせに○○なんて、みっともない」とか、そんなセリフが出てきて、ああ……昭和の価値観ってこんなだったっけ? そうだったかも!? と衝撃を受けました。

なので、一緒に読んでるときは横から「これは昔の考え方だからね」とついつい口を挟んでしまいます。まさか……自分がドラえもんに口出しするような母親になるなんて……!

と、ついついドラえもんの話をたくさんしてしまいましたが……。息子が、ドラえもんの影響以上のべらんめえ口調を使うことがあります。特に、すごく怒ってるとき。いやー、なんでこんな毒蝮三太夫みたいな、昔のおじさんみたいな口調なんだろう!? と思ったのですが……。

よくよく考えたら完全に犯人は私でした。

すごく怒ってるときって、「地」の言葉が出ると思っています。私自身は千葉県柏市出身ですが、親は東京の人です。

「○○じゃねえよ」「○○つったじゃねーか」という言葉使い……。毒蝮三太夫か荒井注か……って、これオールドタイプの東京弁なんですよね。ジャイアンが話しているのもそう。とはいえ、うちの父親は全然怒鳴ったりキレたりしない人でした。母親は言葉使いは丁寧で、子どもを叱るときもちゃんとした口調でした。はて、いつから私はこんな風に?? ……しかも、どうも「パートナー限定」のようです。

息子への言葉使いは怒るときも含めてかなり気を遣っていて、「叱る」「叱らない」も感情的にならず、「今は叱る必要があるかどうか」と判断して、「叱る」と決めた場合、絶対ブレたり譲ったりしないと決めて叱っています。息子にそこまで自制してコミュニケーションしているのに、なぜパートナーにはこうなったのか?

よくよく考えてみた結果「パートナーに一番伝わる方法」として選択してやっている。というような気がしてきました。

第40回「ケンカの仕方も夫婦それぞれ」で書いたように、我がパートナーは「悲しかった」と伝えると「オレが悪いっていうのか」と、ものすごく感じ悪くなり、話がなかなか伝わりません。「怒らないで丁寧に」伝えても、私が「困ってる」「悲しかった」という出来事の切実性も伝わらないタイプなのです。……なのですが、それをものすごく「怒って伝える」と「自分が悪かった」ということが伝わるらしいのです……。

つまり、我々夫婦には 私が「べらんめえ口調で、ブチ切れる」ことが、時として必要……ってことなんですね……。夫婦のコミュニケーション最適解として、試行錯誤した結果が……毒蝮三太夫の召還……。で、それを見てしまった息子にあっという間に伝染したのではないか。インパクトのある行動って、子どもは1度見ただけで覚えちゃうんですよね。なので「普段からやってないのにどうして!?」みたいになるのではないか……と推測しました。

なので、とりあえず今後、夫婦の問題が起こったときは丁寧な言葉でパートナーに「私はとても怒っていますよ」と伝えなければなりません。これからは何があっても丁寧な言葉を使おう! という話を家族で共有したところ、息子が「言葉使い監視員」になりました。「悪い言葉を使うと、マネしちゃうよ?」と常にダメ出しをしてくれます。

未熟な親ゆえにしっかりした幼児が育つのかもしれません……。

※毒蝮三太夫はお客さんを毒舌でいじることでおなじみの、昭和から活躍する現役スター。荒井注は2000年に亡くなった元ドリフターズのコメディアン。キメゼリフといえば「なんだ、バカヤロー」です。令和の読者に荒井注が通じるのか不安になったので、説明をつけておきます……。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。