「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第25回のテーマは「義実家帰省は相性次第」です。

  • 我が家の実家帰省事情

初婚のときは、元夫の出身地が東京都内で比較的近所だったので、泊まりの帰省の経験はありませんでした。自分の実家も首都圏近郊なので、泊まりで帰ることもほぼなく、再婚して初めて「地方への帰省」を経験しました。

初めて義実家へ挨拶に行ったときは、「初めてなのに泊まるのは……」と尻込みして近くのホテルに宿泊させてもらったのですが、2回目は義実家に泊めて頂きました。すると……なんということでしょう?! めっちゃ快適だったのです……!!

私は基本的にホテル以外のところに宿泊するのが苦手です。ホテルでも「共同風呂」が苦手です(大浴場は大丈夫)。なんというか、「自分の痕跡が次の使用者に残る」のが苦手なんです。私は人の痕跡が残ってても平気なんですが、自分の痕跡が残るのが苦手で、ものすごい掃除をしてしまいます。

しかし義実家は、その家のルールを守らなければならない家ではなくて、泊まった人のいいようにさせてくれる家でした。そこで私は、夜にほかの人が入ったお風呂を朝沸かし直してもらって、朝風呂させてもらいました(いつも朝風呂派なのです)。そして、使うのが最後なのでキレイさっぱり掃除もしていい。やったー、安心だー快適だーと、お風呂問題をクリア!

たとえば、「お客さんは一番風呂に入って」とかそれがよかれと思ってやっていたとしても、「○○なんだから、こうしなさい」と言わないご家庭、サイコー! 朝お風呂に入っても平気な義実家サイコー! と思いました。義実家に限らず実家でも同じだと思うのですが、泊まりに行って快適な家というのは、その家のルールを守るよりも、気軽に「○○してもいいですか?」と聞けて、それをしてもらえる家だよなあと思います。

そんな義実家なので、毎回のびのびさせてもらっています。一応「長男の嫁」に当たるわけですが、義きょうだいのみなさんより年下なのと、元々の末っ子キャラを発揮して、とくに何もしていません。とくに誰からも「嫁の役割」とか期待されていないし、私も頑張らないタイプ……。

というか、実家では三女なので、元々家の中での「役割」があんまりないんですよね。母と姉が2人もいるとキッチンの中が女だらけになって、家事を手伝う隙間もない。「娘だから家事を手伝いなさい」みたいなのは姉達にはあったと思うのですが、4本目の包丁が余ってるわけでもないので、三女は物理的にやることが回ってきませんでした。

なので実家での私の役割は、「ほがらか要員」。なんか面白いこと言ってればいい、みたいな。義実家もたくさん人がいるので、「何もしない」「面白いことを言ってればいい」という感じで過ごさせてもらっています。

かたや!!!! うちの実家の集まりに参加する、我がパートナーは……なんだか大変です。

我が実家の集まりは日帰りの「持ち寄りパーティ」なんですが、母と姉2人が手料理を持ち寄る中(弟は独身な上料理もしないので何かを買ってくる)、ひとりアウェーでの料理持ち寄りをしなければならないのです!

パートナーは毎回毎回プレッシャーを感じつつも、なぜか「買っていったら負けだ」と謎の頑張りで手料理を2品以上作って参加しています。私は義実家の集まりで料理を作って持って行くなんて、ほとんどやったことないのに(初婚も再婚も)! 彼に対してはどこか心苦しくありつつも、そんなプレッシャーのあることをあえてやってくれる姿勢を尊敬もしています。すごいぜ……。

世の中の男性の中には、こういうことを「妻がやるのは当たり前」とか思ってる人もいるかもしれないのですが、「自分がやるとしたら」を考えてみてほしい。私は「自分だったら」と思うと、本当に感謝と尊敬しかないですよ!!!! 義実家で料理する人は偉業を成していると思う!

実家で夫が姉や母と「今年は大根が安いから~」などと炊事にまつわるトークをしている間、私は姉の夫チームと一緒に(そうなんだ、へー、ははは)みたいな顔をしています。頑張るお嫁さんをもらったような気分に……。

っていうか、自分の実家の集まりなんだから、その日くらい私が料理してもいいような気もしますが、私は持って行く必要があったら何か買っちゃうタイプです。ちなみに、私が珍しくクッキーを焼いて実家の集まりに持って行ったら、母が「え……さるころが焼いたの……?? そんなの食べたことないから持って帰るわ」とわざわざ持って帰りました。

こんな感じが我が家の実家・義実家帰省なんですが、我が家のように夫婦で家事をシェアしていて、夫が炊事係になってみてわかるのは、実家とのつきあい方における男女の問題もありつつ「料理を担当してる人は大変」という事実でしょうか。料理が好きなら話は別かもしれませんが、人が集まるときによその家で出す料理をするのはプレッシャーですよね。そんなわけで、年末年始の偉業を成し遂げているみなさんに、やらない派の人たちは感謝と賛辞を送りましょう……!

おつかれさま! ありがとう!!!

著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。