「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第228回のテーマは「ルービックキューブの攻略サポート」です。

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息子が突然「ルービックキューブ買って」とお願いしてきました。

どうやらYouTubeでルービックキューブの動画を見て、やってみたくなったようです。ルービックキューブって、私が子どものころからありますが、1面作るのがやっとだった……という思い出。

しかし、息子と一緒に動画を見てみると、今は「完成させるタイムを競う競技」になっているじゃないですか! 全面揃えるのに、10秒切るのが競技の世界……!? とりあえず、息子がやりたがったので買ってあげることにしました。ルービックキューブできる人って「頭がいい」みたいなイメージがありませんか……? 息子が知育玩具に興味があるなら、とついつい親の下心もあって買ってあげました。

そして買ってすぐ、カチャカチャとバラしたあと……元に戻りません。「お母さん! 元に戻して! 」と言う息子。いや、お母さんはルービックキューブなんかできないよ? お父さんに聞いても「できない」という。ああ、終わった……という気分になりました。

いや、ネットで調べれば何か手段があるはず! と調べてみると、なんと「ルービックキューブ解析アプリ」があるじゃないですか……! カメラで色を判別して、どちらにどう回せばいいか教えてくれるアプリです。おお~すごいすごい、とアプリでクルクルと回していたところ、あと少しかな? というところで「120円払ってください」のメッセージが……。ルービックキューブを完成させるたびに120円なんか払えない。世の中にはこんな商売があるのか、と衝撃を受けました。

そしてまた「他に手段は……」と探していたら、カメラではなくて、自分でサイト上の無色のルービックキューブに、今手元にあるルービックキューブと同じ色を当てはめていくと完成までの方法を教えてくれるサイトがありました! こちらは無料。やったーと、息子に教えてあげて、無事にどれだけバラバラにしても元に戻せるようになりました。一安心。

そして、その後はYouTubeや解説サイトを探して、揃え方を自分で覚えてもらうことにしました。私は一緒にはやらず。息子はできるようになって「すごいね! 」と言われたいわけなので、最近は「親と同じことができる」必要はないと思うようになりました。そして、息子は動画やサイトを見て、徐々に揃えられるようになりました。そこからはもう「お母さんにはできない! すごいすごい」と褒めまくるだけ。

こうなると、後はタイムを縮める方向に頑張ってもらうしかないので、親の出る幕はあんまりなく、たまにタイムを計ってあげるくらいです。とはいえ、最初に元に戻す方法を一緒に探したり、攻略サイトを勧めたりとバックアップはまだ必要だな、と思いました。最近、親はどこまで何をサポートするべきか? ということでよく悩みます。

8歳は明らかに幼児ではなくて、できることが増える年ごろですが、かといって全部一人でやらせるのも難しい。でも、子どもによってはなんでもできちゃう子もいて、自分は手を出しすぎなのかなあ……と迷うことも多いです。

私が子どもの頃はもちろんルービックキューブの揃え方を知ってる人はいなくて、誰からも「これで練習したら」と言われることはありませんでした。ルービックキューブだけでなく、ありとあらゆることがよくわからないまま、徐々に「わからないから」という理由で触らなくなって……みたいな遊びが多かったなと思います。

今はわからないことは、誰かがネットでいい方法を教えてくれていることが多いので「調べて、理解して実行する」ことができます。それゆえに、自分の発想力が鍛えられない、なんてこともあるのかも? と逆の心配はしてしまうのですが……。何か「わからないこと」でつまずいてしまうよりは、方法を理解して先に進むことができるのも大事かな、と思って「解決の道筋」を一緒に探すようにしています。

ちなみにルービックキューブができるようになった息子。学童クラブにあるルービックキューブを揃えまくったり、お友達の家にあるルービックキューブを揃えたりと「どこかにあるルービックキューブを揃える」のが趣味になりました。とりあえず次の目標は完成までに1分切ることですが、これも親が「1分切ろう」と言い出すととたんに面白くなくなっちゃうよね、と気をつけています。

子どもが何に興味を持って取り組むのか、親としてはとても興味のあるトピックですが、いい感じにサポートしつつ、子どもの向上心ややる気を摘まないようにしないといけないなあ……と試行錯誤しているところです。

子どもに対してのいい距離って本当に難しいなと思います。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。