「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第186回のテーマは「子どもの前でケンカしたくない」です。

これまでのお話はこちら

子どもの前で夫婦ケンカ、しちゃダメですよね。とはいえ、わが家はわりとやってしまいがちです……。

ちなみにこのマンガで息子に怒られているのは、第88話「過去の過ちを何度でも認めることの意味」でも書いたケンカのエピソードです。この時なんでケンカをしたかというと、私の友達のうちに家族でお呼ばれしたのですが、パートナーが酔っ払って失礼な態度を取ったことが原因でした。帰り道に「いくらなんでもあれはないんじゃないの」と話をしたら、まだ酔っ払っていたパートナーが全く引かず、駅でケンカになったのでした。酔っ払っている相手に「話し合い」を挑むのは間違っていた……とあとから反省しました。

その時はたしかにケンカだったのですが、我々の中ではケンカではなくて話し合いのことも多いです。話し合いの場合は、最終的にちゃんと決着がついてお互い納得できることがほとんど。なので息子には、「これはケンカじゃなくて、お父さんとお母さんは話し合いしてるからね」と言うこともよくあります。もちろん最初は夫婦が言い合う感じになると嫌がっていた息子なのですが、しばらくすると「あ、はじまった」とiPadを持ってどこかへ行くようになりました……。

わが家は今のところ、話し合いが終わると、その時の負の感情を引きずらずに終わらせることができていて、一方的にどちらかが我慢して終わり、みたいな「被害」「加害」の感じで終わったりはしていません。なので、ケンカ……のようだけど「話し合い」ってことになっているつもりではあります。そんな感じで、こんなこと親が言っててはダメなんですが、親が言い合いを始めると「自分には関係ないやつだ」と自分を切り離すのがうまくなっているようです。

とはいえ、あんまり子どもの前で険悪な雰囲気になるのは問題です。なのでなるべく子どものいない時に話し合いをしたいのですが、それを頻繁にやると話し合いの主題である「何が問題か」がブレたりもしちゃうんですよね。

「なんでそんな態度取るの? (怒)」みたいなケースは、問題がホットなうちに話し合って解決するのがいいときもあります。寝かせると「あの時もこの時もそうだった」と蒸し返して、余計こじれることもあります。かといって、一晩も経ったら「まあいいか」となることもあるし、解決のタイミングって難しいですよね。

しかし私はわりと執念深くいろいろなことを覚えているタイプなので、あまり何回も「まあいっか」が重なると、結局「負の感情の負債、100円くらいいいか」が、たまり溜まって「もう5000円なんだけど! 」とドカーンと怒り出すタイプです。パートナーは逆にどんどん忘れちゃうタイプなので「そんな前のことなんかわからない」となってしまう。

パートナー的には、私も同じように忘れちゃうタイプだったらよかったのかもしれませんが、私はかなり忘れない女でして……。このコラムを書くにあたり、冒頭の「子どもに謝った夫婦ケンカ」がいつ、どこに行って、どういう態度だったので、どのタイミングで話し合いを始めたか、まで覚えています。それどころか、自分が何色のコートを着ていて、パートナーの髪色が何色かとか、そういうことも覚えているのです(そしてそれをそのままマンガに描いています)。

一般的には、男性は起こった出来事そのものは覚えていても、ディティールを忘れてしまう人が多く、女性のほうがディティールをよく覚えている人が多いそうですが、私は女友達と比較してもかなり覚えているほうだし、パートナーは特に「会話したこと」を忘れちゃうタイプ。一般論は置いといて、夫婦それぞれのタイプにあった感情の負債の精算方法を編み出していかないとダメだと思います。そんなわけで、わが家はさっさと負の感情を精算するための話し合いが必要なのです。

子どもの前でケンカをしないように……と、LINEなどのテキストメッセージを使うことがあるのですが、わが家の場合、これをやるとこじれやすいです。私とパートナーではテキストの受け取り方が全然違うんですよね。例えばこちらが冷静にテキストを打っていても、パートナーが「激ギレしてる」と思って読んでしまったり。いわるゆる「行間」の読み方夫婦で全然違うので、テキストベースでの話し合いはよい結果になりません。

そんなこともあって我々の場合は、「なるべく早めに」「面と向かって」「話し合う」のが最適解なのですが、そこで「子どもがいない時に」が入るとちょっと難しい。子どもの迷惑にならないように、なるべくきちんと話し合いをしたいなと思っています。 ちなみにマンガで「子どもにiPad与えて開戦しちゃうかも」と言ってますが、今の所それはまだやっていません。でも、iPad渡して別の部屋に行ってもらうのはなくはないかもなとは思っています。

とはいえ失敗もしつつ、何回も話し合いをしているうちに、だんだんとお互いスキルアップしていて、2人とも徐々に納得や解決にたどり着くのが早くなっています。なので、ケンカも場数を踏んで「練習」しないとうまくいかないのも事実。

でもやはり子どもの前でギスギスしたくはない……。早く阿吽の呼吸でなんでもわかりあえて、もめない夫婦になりたいです!

新刊『その下ごしらえ、ホントに必要? 段取り少なく美味しくできる、家庭料理の新常識レシピ』

(幻冬舎刊/1,650円)
水谷さるころのパートナー・ノダDこと野田真外が、女子栄養大学名誉教授・松本仲子氏に「本当はやらなくていいこと」を省いて美味しい料理を作るコツを教えてもらうレシピ本です。イラストとマンガは水谷さるころが担当。1月13日発売。くわしくはコチラ

著書『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』

(幻冬舎/1,100円)
全編書き下ろしエッセイマンガ!
バツイチ同士の事実婚夫婦にめでたく子ども誕生! ここから「家事と育児をどうフェアにシェアしていくか」を描いたコミックエッセイです。家事分担の具体的な方法から、揉めごとあるある、男の高下駄問題、育児はどうしても母親に負担がいってしまうのか、夫のキレにどう対処する? などなど、夫婦関係をぶつかりつつもアップデートしてきた様子を赤裸々に描きます。くわしくはコチラ

著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。