「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第107回のテーマは「パートナーのやりたいことはやればいいと思う派」です。

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そんなわけで、我が家に2.2メートルの像がやってきました。わりと「夫婦のお互いの趣味」については話題になりがちですよね。確かに片方が経済的に支えていて、家族がその収入で生活しているのに、その「稼いでいる人」が「自分の稼いだ金だから」と好き勝手にお金を使ったら困りますよね。

今回は周りから「さるころさんは寛容ですね」と、パートナーが言われまくっていました。ちょっとギョッっとするような買い物をするとみなさんパートナーからイヤがられるんですね……。パートナーの趣味に寛容というだけで、意外なほど高評価になったことに驚きました。

ただ我が家は元々、「お互いのお金の使い方などに寛容になれる」ように設定してあるんです。我が家は共稼ぎでお互いがフリーランスです。フリーランスの稼ぎは一定ではありません。お給料みたいに月々いくらと決まっておらず、仕事で出ていくお金もあるのでどんなに収入がないときでも必要であれば機材は買いますし、マイナスの月だってよくあります。

お互いがお互いの収入を「そういうもの」と共有できているのもあり、お財布は完全に別です。お互いの収入の管理は各々行い、口出しをしないのが我が家のルールです。

生活費の分担としては家賃が折半。食費はパートナー、光熱費・通信費等は私。子どもにかかるお金も、基本的には折半となっています。あとは不満があったらその都度調整しています。

「パートナーのお財布事情を知らないとかありえない!」という方も結構いらっしゃるとは思うのですが、私はできれば相手のお財布に関して管理したくないタイプです。

元夫は「収入は妻に丸投げして、お小遣いで暮らすのが結婚生活」と考えているタイプでした。でも私は「何にどれだけ使って、どれくらい貯蓄するのか」を考えるのって、人生において結構大事な部分だと思っていました。

それを人に丸投げしちゃうっていうのは、こちらを「信頼してる」のかもしれないけど、私からは「お金に関する責任を放棄している」ように見えちゃったんです。

片方に任せてたとえば家が買えなくても、子どもを育てるのに厳しい経済状況でも「君に任せたから」と何の責任も取ってくれないように思えました。お金は任されても彼が信頼できなかった。なので本人に「なるべく自分で将来のことも考えてお金の管理をしてね」と伝えていたのですが、結果としてはあまりうまくいきませんでした……。

現パートナーは「自分のお金は自分で管理したい」派。私とはお互いの利害が一致しています。「お金を共有して任せられるのが信頼関係」と考える人もいると思いますが、お互いがお互いの責任でお金を管理するのも結局は信頼関係だと思うんですよね。信じているから好きに使っていても心配にはならない。

なので、こちらが必要としているお金を払ってくれている限り、パートナーが何にお金を使ってもかまいません。一応、お互いが子どもにかかる学資を貯める約束はしているので、それ以上にお金に余裕があるとか買いたいものがあるなら、何をしてもいいと思っています。

そして我が家は夫婦揃って在宅ワークなので、お互いの仕事部屋があります。その仕事部屋に置くなら何を置いてもOKです。なので、2.2メートルの像を部屋に飾っていても問題ありません。

「自分とパートナーの境界線」でも書きましたが、我が家はかなり厳密な「自他区別」の線引きがされている家庭だと思います。なにせお互いが一度結婚に失敗をしていて……。その前の結婚の失敗というのが大体、自他区別の線引きに失敗していることから引き起こされているという反省があるからです。

「あなたと私は別の考えを持った、別々の人間だ」ということを常に認識してないとトラブルになりがちです。そして私は自他の区別があいまいになる一番の原因が「共有財産」を持つことだと思ったので、一緒に家も車も買わないし、貯蓄は別々にしています。

ちなみにお財布別のいいところは、もしも相手が信頼を裏切ったとしても最低限自分の経済状況は守れるところです。信頼してるんだかしてないんだか……って感じですが、信頼はある程度の年月と事実が必要だ……というのは経験から思っています。

ちなみに私の趣味である古墳グッズやクッション、お皿はリビングやキッチンの共有スペースで使うことになるので、パートナーの許諾性です。特にキッチンはパートナーの「領域」なのでお皿やコップは「収納スペースに置けるか」や「食洗機で使えるか」をパートナーに判断してもらい、OKをもらわないと買えません。お金を出すのは私ですが、許諾性になるのは相手のスペースに影響があるときですよね。

常にお互いの境界線を意識して、「ここからはOK。そこから先は譲れるものは譲ってダメなときは譲歩する」ということを常にやっています。お互いの趣味や持ち物で揉めごとがあるときは、前提条件から考えてみるのがオススメです。

ちなみにこの巨像……。パートナーには「もしも病気とかになって余命幾ばくも無いみたいなことになったら、これをまず処分してね……!」とだけはお願いしました。

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