1914年に軽井沢で温泉旅館を開業し、2023年で109年の歴史を数える星野リゾート。「旅を楽しくする」をテーマに、「星のや」「界」「リゾナーレ」「OMO(おも)」「BEB(ベブ)」のサブブランドを展開し、2023年1月以降は国内外に4施設をオープン予定です。今回はそんな新しいワクワクを生み出し続ける星野リゾートに注目! 今こそチェックしたい話題の施設を深掘りしていきます。

  • 「界 雲仙」

第16回目は、2022年11月、長崎を代表する雲仙温泉にオープンした「界 雲仙」。硫黄の香りが立ち込め、白い噴気がモウモウと上がる"雲仙地獄"が目の前! という珍しい立地に開業し、大きな話題を呼んでいます。

地獄のそばで、一体どんな体験ができるのでしょうか? 今回は「界 雲仙」に2泊3日で宿泊。その魅力を前編・後編に分けて、徹底リポートします!

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■雲仙温泉の中心部に位置する「界 雲仙」

  • 地獄に溶け込んだような外観の「界 雲仙」

長崎空港から車で約1時間30分。島原半島のおへそにあたる山岳地帯・雲仙岳の山道をぐんぐん登った先に、雲仙温泉はあります。

あちらこちらで白い湯けむりが上がり、硫黄臭が鼻をつきます。時には道路まで白い湯けむりが押し寄せ、先が見えなくなるほどの光景は、まさに地獄という言葉がぴったり!

「界 雲仙」があるのは、そんな雲仙温泉のメインストリート沿い。雲仙地獄はもちろん、温泉街のどこへ行くにも便利な場所にあります。

■絹笠食堂でちゃんぽんランチ

  • アットホームな雰囲気の「絹笠食堂」

この日のランチスポットは、観光客だけに限らず地元の人もこぞって通う「絹笠食堂」さん。

お店の場所は、「界 雲仙」から歩くこと約10分。温泉街のメインストリートから1本奥に入ったところにあります。

  • 大きなエビが2尾ものった「雲仙海鮮えびちゃんぽん」

お店の名物は、「雲仙海鮮えびちゃんぽん」。大ぶりのエビがまるごと入って、スープの色がまっ白! まるでクリームシチューのようにも見えませんか? しかし、食べてみると牛乳のようなミルク感はなし。あっさり淡白なスープだから、具だくさんでもペロッと食べられます。

シャキシャキの野菜も、スープを吸った麺もまた旨し。この滋味深い味わいは、じんわり体に染み入るおいしさです!

■「界 雲仙」にチェックイン

  • 間近で八万地獄を眺められる、眺望抜群のロビー

施設のコンセプトは「地獄パワーにふれる、異国情緒の宿」。和(=日本)華(=中国)蘭(=オランダ)の3つの要素が交じり合った、長崎の「和華蘭(わからん)文化」が館内の至るところにちりばめられています。

エントランスから続く壁や床の模様は、まるで湯けむりのよう! その模様に導かれるように歩いていくと、開放感たっぷりのロビーに到着します。

すぐ目の前に広がるのは、温泉水でできた人工池と湯けむり上がる「八万地獄」。大迫力の地獄を見渡しながら、ゆったりと過ごすことができます。

  • 建物の設計を手掛けたのは、「界 アンジン」と同じ設計会社の「スーパーポテト」(SUPERPOTATO)

そして、すぐ横にはフロントカウンターが。スタッフさんの上部に飾られた銀色のオブジェは、何に見えますか?

筆者は「雲かな?」と思ったのですが、これは地獄の噴気や荒々しさを表現したオブジェなのだとか。……ですが、見たまま感じたままが正解。みなさんも、どんなものに見えるのか想像してみてくださいね。

  • ショップでは「長崎凧(ながさきはた)」などが並ぶディスプレイにも注目

ロビーの奥は、さらに細長いフロアが続きます。目的別に3つのエリアに分かれていて、手前は長崎のハイセンスなお土産を集めたショップになっています。

  • ちょっと一服?!な「長崎チャバコ」は長崎土産におすすめ

セレクトされた品々は、どれも手にとってしまいたくなるほどおしゃれ!

特に気になったのが、タバコ風の箱に入った「長崎チャバコ」。レトロなデザインでちゃめっ気たっぷりですよね。箱の中にはタバコじゃなくて、手軽に飲める単包粉末茶が入っています。

  • 実際に活版で使われていた活字を埋め込んだ壁面アート。その文字数はなんと10000文字!

真ん中のエリアは、界ブランド名物の「ご当地楽」ルームになっています。ここでは活版印刷の技術を使った、オリジナルのはがき制作体験を実施。なぜ活版印刷なの?! と言うと、1000年以上も前に、ヨーロッパから島原半島に活版印刷の機械が持ち込まれたのが始まりだから。

嬉しいことに、ご当楽の体験料金は無料。詳しくは後編で紹介します!

  • 地元の工芸品を大切にしているのが伝わる「トラベルライブラリー」

一番奥には、24時間利用OKのトラベルライブラリーがあります。無料のドリンクがそろい、長崎文化にまつわる本を読んで休憩するのにぴったり。

壁面を彩るのは、長い歴史を持ちながらも戦時中に衰退し、一度絶滅した"幻の反物"とも呼ばれた「島原木綿」。きめ細かく、きゅっと目が詰まった織物には、職人さん一人ひとりの愛情が感じられます。