「ドリンク各種0円 おかき各種0円」。初めての人なら、それを見て首を傾げるはず。「要するに、それって無料、タダってこと?」と確認してしまうのではないでしょうか。そう、そうなんです。お茶やコーヒーなどの「ドリンクバー」とおかきやせんべいが並んだ「おかきバー」が無料で楽しめるのです。そんなうれしいサービスをしているのは「日本一おかき処 播磨屋本店」。大人気のお店をのぞいてきました。

霞ヶ関店に続いて銀座店がオープン

衝撃的な無料おかきカフェが東京に進出したのは、今年の5月のこと。店舗は霞ヶ関にあります。大きな話題を呼び、連日、お客が殺到しているのは言うまでもありません。その人気は今も続いています。

霞ヶ関店の外観。虎の門三井ビルの1階に店舗が入っている

銀座店は、現在、三越の増築工事が行われている裏の黒いビルの2階

「おかきバー」には8種類のおかきやせんべいが用意されていて、「ドリンクバー」では本格的な自家焙煎コーヒーをはじめ、紅茶、ほうじ茶、ジュースなどが選べます。おかき、せんべい(ちなみに、おかきはもち米、せんべいはうるち米で作ります)はプラスチック製の小皿に、軽く盛った程度で1回だけ取ることができます。「ドリンクバー」はなんとおかわり自由。

もちろん、タダだからといっても常識が求められます。マナーを守り、お互い尊重しあう心がけがあってこそ、このすばらしいサービスを心行くまで満喫することができるわけですね。

そして、この10月10日には銀座店もオープンしました。場所は三越からすぐの銀座四丁目タワーの2階。開店準備で忙しいところ、前日にお店をのぞかせてもらいました。奥行きのある店内は、左一面が窓でとてもあかるく、女性客を意識していることがよくわかります。銀座の新たな「名所」になることは間違いありません。

銀座店の販売コーナー。無料で食べられる商品以外にも数多くの商品が並んでいる

「無料カフェ」で売り上げアップ?

播磨屋本店は、1860年頃、初代播磨屋助次郎が始めた油屋がルーツで、1948年に菓子製造業に転じ、1971年から、おかき、せんべいの専業メーカーとなりました。創業の地である兵庫県生野町の総本店は、茅葺屋根の伝統的な民家で和の風情が漂っています。

無料のおかきカフェがあるのは、東京のほか、京都、大阪、福岡。来年3月には名古屋にもオープンし、その後も横浜、札幌などに展開の予定で、さらにはニューヨークなど海外への出店も検討しているそうです。

無料カフェという驚きのお店を出したのは、若い人たちに日本古来の伝統食品であるおかきやせんべいのおいしさを伝えるため。もちろん、播磨屋を知らなかった人に向けても大きなPRとなります。お店には販売コーナーがありますが、無料で食べたおかきの味のトリコになって、購入する人も少なくないとのこと。無料カフェを出しているのに、店全体の業績は上がっているのです。

さらに、地球環境への提言も無料カフェを展開する大きな目的となっています。店では、使い捨ての紙コップとプラスチック製の小皿を使い、食器を洗う必要がないようにしています。ドリンクをおかわりするときも、同じカップをゆすいで使うように呼びかけています。

店内は明るく、薄い茶色で統一されていて落ち着いた雰囲気。ひとりでも気軽に立ち寄れる空間となっている

準備中のドリンクバー。手前で紙コップと小皿を取り、お好みのドリンクを選ぶ

無料で味わったおかき、せんべいが、3袋1,000円で購入できるエコノミーパック。販売コーナーの近くに設置されている

銀座店のおかきバー。くれぐれも取り過ぎにはご注意を

写真提供 : 播磨屋本店

銀座店オープン当日の様子。大勢のお客が殺到して、たいへんなにぎわいとなった

写真提供 : 播磨屋本店

生野の総本店は建物そのものも魅力的。このような雰囲気の中で味わうおかきやせんべいは、また格別に違いない

写真提供 : 播磨屋本店

無料で食べられる商品は?

「おかきバー」で食べられる商品は、播磨屋を代表するおかきばかり。

「朝日あげ」は人気ナンバー1を誇ります。サクサクとした食感は、伝統の味わいながらも、それだけにとどまらない風味が広がります。おいしさの秘密は、揚げる直前に霧吹きをして表面にひび割れをつくることと、金網の枠ではさみ揚げにすること。さらに、油は米ぬかから採った米サラダ油で、これを240度まで熱して揚げるそうです。

「御やきもち」は、大粒の丹波黒豆がたっぷり贅沢に使った一品。蒸したもち米を杵でついて、それを木箱に入れて固めた後にスライスするという昔ながらの製法で作られています。

「はりま焼」は、米サラダ油としょうゆのダブル味付けが特徴。今では一般的なダブル味付けですが、これを40年以上前に発明したのは播磨屋の先代だそうです。ほのかなしょうゆの味わいがなんともたまりません。

「助次郎」は、ごはんをそのままつぶさずにせんべいにした播磨屋ならではの商品。炊き上がったごはんを冷ますことなく、一気に加工処理する技術は「離れ技」で、極秘とのこと。

「おかき皇(おう)」は厚さ12mmほどのおかきで食べ応え充分。でも、これだけの厚さのおかきを作るのは、至難の技なのだそう。「童げんこつ」はしっかりした歯ごたえが楽しめます。関東風の濃い味が印象的。そして「華麗満月」。名前のとおりのカレー風味ですが、あっさりとしていて上品な味わいです。

朝日あげ

写真提供 : 播磨屋本店

御やきもち

写真提供 : 播磨屋本店

はりま焼

写真提供 : 播磨屋本店

助次郎

写真提供 : 播磨屋本店

おかき皇

写真提供 : 播磨屋本店

童げんこつ

写真提供 : 播磨屋本店

華麗満月
写真提供 : 播磨屋本店

それぞれを試してみれば、リピーターや購入する人が多いのも納得できることでしょう。お好みの味をぜひさがしてみては、いかが?

なお、銀座店には同店限定の「あまーい二人の銀座の恋餅」が。白餅5個、よもぎ餅5個が入って700円。こちらも気になります。