新学期開始や夏休み明けに合わせて新生活をスタートさせる人が多いことから、9月下旬から10月初旬は引っ越し需要が高いのだとか。しかし、実際に東京で一人暮らしを始めてみて、理想とのギャップに戸惑う人も少なくないはずだ。

今回はマイナビニュース会員を対象に実施したアンケート調査で明らかとなった「東京一人暮らしの理想と現実」について紹介していこう。

東京暮らしの理想、「家賃は7万円未満、間取りは1LDK」

  • 東京一人暮らしの悲しい現実とは? 「窓がない」「狭すぎ」不満の声多数!

    東京一人暮らしの悲しい現実とは? 「窓がない」「狭すぎ」不満の声多数!

前回の記事では、東京一人暮らしの「理想の間取りや家賃」「実際の間取りや家賃」「住みたい街と実際に住んだ街」について紹介した。本題に入る前に、軽く前回のおさらいをしておこう。

■間取りの理想と現実

「東京で暮らす理想の間取り」に多かった回答は「1LDK」(30.3%)、「1DK」(17.7%)。しかし、東京での一人暮らしを経験したことがある人に聞いてみると、「1K」で暮らしていたという人が45.8%、「1LDK」に住んでいたという人は13.3%にとどまっている。

■家賃の理想と現実

理想の東京での家賃については10万円以下と考える人が多く、経験者が実際に払っていた家賃についても10万円以内という人が多くを占めていた。

■住む町の理想と現実

住んでみたい街について尋ねると、女性は渋谷や代官山、自由が丘、恵比寿、青山といったおしゃれな街が目立った。男性は下北沢や吉祥寺、三軒茶屋など。しかし実際に住んだ街は、赤羽や北千住、板橋、高円寺や阿佐ヶ谷など庶民的なところが多かった。


理想の家賃は「7万円未満」で、住みたい間取りは「1LDK」、住んでみたい街は、下北沢や吉祥寺、渋谷、代官山、自由が丘などのおしゃれな街や人気の街。では実際に東京に住んでみて、理想との間にどのようなギャップがあったのだろうか。次はリアルな声を紹介しよう。

理想と現実には大きなギャップあり

Q.7 理想と実際に住んだ物件との「ギャップ」として感じたことがあれば教えてください

  • 東京一人暮らしの悲しい現実とは? 「窓がない」「狭すぎ」不満の声多数!

▼家賃が高すぎる・部屋が狭すぎる

女性/46歳 「都内は家賃が高すぎて、物件を探すのに一苦労した」(葛飾区)

男性/39歳 「値段に釣り合わない狭さ」(品川)

男性/54歳 「駐車場代は高すぎ」(大井町)

男性/32歳 「都内と地元の相場・部屋の広さが違いすぎて驚いた」(大田区)

多かったのは「家賃が高すぎる」「狭さにびっくりした」というものだった。地方出身者の場合、地元との家賃相場の違いと部屋の狭さに、信じられない思いを抱えながら物件探しをした人も多かったようだ。多少は覚悟していたとはいえ、その狭さに「値段に釣り合わない」「帰って寝るだけなのに、毎月10万円飛ぶなんて」と嘆く声も。

▼おしゃれな部屋にならなかった

女性/41歳 「ドラマに出てくるような広くて綺麗なマンションに憧れたが、現実は金銭の問題で和室暮らしに」(世田谷・府中)

女性/46歳 「理想の間取りの部屋を探すのが難しかった。バストイレ別の物件が意外とないなと思った」(中野)

女性/37歳 「おしゃれなインテリアにしたかったが、古い物件なのでどうしても所帯じみた雰囲気になる」(国立市)

女性に目立ったのが「おしゃれな部屋にならなかった」というもの。家賃重視で選ぶと、どうしても築年数が古く、間取りや設備に難があるところが多くなる。おしゃれなインテリアにしたくても「畳」「仕切りが襖(ふすま)」「和式トイレ」などがネックでなかなか叶わず、断念せざるを得なかったという声が寄せられた。

▼駅から遠い・周囲の環境に驚いた

女性/50歳 「渋谷区に住んだのはよいが、スーパーがなくて困った」(渋谷区)

男性/51歳 「駅が近い場所だったので通勤は便利でしたが、怪しい店も多く、長く住むには適していない場所でした」(上野)

男性/43歳 「少しでも安く抑えるために、駅から遠い物件を選ばざるを得なかった」(葛西)

男性/48歳 「買い物や移動は楽だと聞いていたが、実際には人が多すぎて外出するのはものすごく大変だった。また周りの騒音が凄く落ち着いた生活ができなかった」

憧れの街に住めるなら、駅から多少遠くてもいいと考える人もいるようだ。しかし、通勤・通学は毎日のことなので、自宅から最寄りの駅まで歩いて30分かかるというのはかなり大変だ。また、運よく駅近物件に住めたとしても、「騒音がする」「周囲の環境があまりよくない」などの不満を抱える人もいた。

▼日当たり・景観が悪い

女性/53歳 「窓がない部屋に驚きました」(板橋区)

女性/52歳 「湿気がとても酷く、カビが異常に発生してしまい、換気するため窓を開けたいのに騒音が酷くて開けられなかった」(練馬・中央区・新座市)

男性/60歳 「日当たりが悪く、昼間は気分が盛り上がらないことが多かった」(三軒茶屋)

男性/43歳 「隣部屋との壁の薄さに驚いた」(代々木上原)

男性/58歳 「風呂なしで、水道の水がまずかった」(立川)

安さを第一に考えて物件を選んだ結果、とんでもない物件だったという声も。東京というと「都会の夜景が眺められる」という物件をイメージしてしまう人も多いと思われるが、夜景どころか、窓すらない部屋に驚いたという声もあった。

▼その他

男性/60歳 「希望金額で物件を探していたのですが、駅から徒歩で30分以上歩かねばならず、アパートも古い物件ばかり。住めるようなところではなかったため、支払えるギリギリまで家賃を上げて、やっと見つけることができました。しかしその分生活はかつかつでした」(板橋区)

男性/53歳 「間取りもよく家賃も安い、さらに設備も申し分ない物件に暮らしていたのですが、何故か体調が悪くなっていきました。よくよく調べてみると事故物件であることがわかり慌てて引っ越しました」

せっかく東京に住んでいるのに、都会生活を楽しむ余裕がないのももったいない。しかし立地も設備も非の打ちどころがないのに、相場よりも不自然に安い場合は、何らかの訳あり物件と考えたほうがいいのかもしれない。

▼想像していたよりもよかった/ギャップはなかった

女性/45歳 「治安が悪いということだったが周りの雰囲気もよく、下町の感じのよい人が多かった」(新小岩)

男性/64歳 「社宅だったから立地はよかった」(上目黒)

「東京は治安が悪い」「部屋が狭すぎる」「家賃が高すぎる」というマイナス情報を鵜吞みにしていた人の中には、「想像していたよりも住みやすかった」という人も。特に人情味あふれる下町などでは、特にその印象は強かったようだ。また、通勤のしやすさを最優先で選んだ人は、あまりネガティブを感じていないという人が多く見られた。

間取りはもちろん、周辺環境や日当たりもチェック

東京での一人暮らしに憧れあれこれ想像を膨らませていたものの、「家賃の高さ」「部屋の狭さ」といった現実に直面。やむなく家賃が安い街に路線変更、間取りや設備を妥協した人は多かったようだ。

また、実際に住み始めてから設備の使い勝手や景観の悪さに気付いたという人もいた。高い家賃を払って住む家だけに、周辺環境や日当たりといったチェックはもちろん、最寄り駅まで実際に歩いてみることもしておいたほうがよさそうだ。

そこで、具体的にどのような点に気を付けて賃貸選びをしたほうがいいのだろうか。次の記事では、実際に賃貸暮らしをしたことがあるマイナビニュース会員から聞いた「物件選びのコツ」について紹介しよう。

調査時期: 2020年8月9日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 508人
調査方法: インターネットログイン式アンケート

※写真と本文は関係ありません