2019年4月30日に幕を下ろす「平成」。マイナビニュースでは、「平成」の中で生み出されたエンタメの軌跡をさまざまなテーマからたどる。この「平成を駆け抜けた番組たち」は、平成の幕開けと同じ時期にスタートし、現在まで30年にわたって続く番組をピックアップ。そのキーマンのインタビューを通して、番組の人気の秘密を探っていく。

第13回は、平成2(1990)年4月にスタートし、30年目に突入したMBSのバラエティ番組『痛快!明石家電視台』(毎週月曜23:56~)。初回からレギュラー出演している間寛平と村上ショージに、これまでの番組の歩みとともに数々の思い出や事件、そして司会の明石家さんまについて、2人ならではの目線で語り合ってもらった――。

  • (左から)明石家さんま、村上ショージ、間寛平

    (左から)明石家さんま、村上ショージ、間寛平=「アベッククイズ」より (C)MBS

■「借金返さなあかんやろ」でレギュラーに

――最初はスポーツトークバラエティとしてスタートした『痛快!明石家電視台』ですが、番組開始時からショージさんは視聴者にご自身を貸し出す「レンタルショージ君」のコーナー、寛平さんは商品を掛けてサイコロを振る「花と蝶」のコーナーに“壺振りお寛”として出演されていたんですよね。

ショージ:当時は仕事もないですし、さんまさんとずっと遊んでました。さんまさんが大阪に帰ってきたら、ジミー(大西)や(Mr.)オクレさんと一緒に、いかにうまいこと横におってタダでメシを食べさせてもらえるかということしか考えてなくて(笑)。その延長ですよね。それで『ヤングタウン』(MBS)という、今もやってるラジオに出してもらったりというつながりが今も続いてる感じです。

寛平:僕は当時、アメマバッジ(※寛平が自費で10万個製作したキャラクターのバッジ)で失敗して借金だらけでしたから。そしたらさんまちゃんが、「借金返さなあかんやろ、仕事せなあかんやろ」と言うて、「『明石家電視台』を始めるから、とりあえず兄さん入んなはれ」って入れてもらったんですよ。それで“壺振りお寛”のコーナーをやってたんですけどね。そこからずっーと30年やってるんですわ。

ショージ:兄さん、覚えてます? “壺振りお寛”のコーナーに「千とせ」(※大阪・難波にある「肉吸い」で有名な老舗うどん店)のおっちゃんがゲストで来て、サイコロを振ったときにサイコロが立ったんです。どの目にもなってない、ありえへんことが起こって。

寛平:サイコロが立つことなんかないもんなあ!

ショージ:すごいびっくりしてね。そうやって番組が始まって今でもやってるのは、あの奇跡が…もちろん、さんまさんやスタッフさんがいろんなことを一生懸命考えてくれて、それに僕らが薄い肉ですけど肉付けさせてもらったりとか、いろんなことをやりながらですが、今思えばああいう奇跡がその後にもつながったのかなと。

■クイズで正解NG「意味分からへんかった(笑)」

村上ショージ 撮影:吉岡隆

――番組開始から半年後にリニューアルして、今の原形である公開バラエティ番組になりました。その後は、スタジオの観覧客も参加する「ザ・アベッククイズ」や「大阪名物回転パチパチパンチ」など、数々の名物コーナーが生まれましたね。

寛平:クイズも楽しかったなあ。当てたらさんまちゃんに怒られるし。

ショージ:ボケなあかんしね。クイズでありながらクイズじゃないという。

――今でこそそういった企画もあると思いますが、当時は正解を出してはいけないクイズなどあまりなかったと思うのですが。

ショージ:うん、意味が分からへんかったもん(笑)

寛平:よくさんまちゃんに怒られてね…。

ショージ:あの時、クイズに正解したら賞金として1問につき3千円くれたんですよ。だからほんまはボケた方がいいんやけど、途中から3千円が欲しいがために真剣に答えてたら、さんまさんに怒られて。「お前らなんで正解出してんねん!?」みたいな(笑)

――正解したのに怒られるという(笑)。『明石家電視台』には、視聴者参加型の企画が多く、さんまさんが「日本一のお客さん」と絶賛する素人さんの存在というのも欠かせないように思うのですが。

寛平:素人をいじったらまた面白いからね、さんまちゃんは。今のコーナー(※「実際どうなん!?」)も関西の素人さんがいっぱい出て、それをいじるのが面白いしね。

ショージ:大阪はやっぱり面白い。おっちゃんおばちゃんのコメントが別格ですし(笑)。さんまさんも、いろんな角度からいろんな物事を触っていったり広げていったりする人やから。

寛平:しかも司会やのに1人でしゃべるし、動くし。あのさんまちゃんを止めるのは、もうショージ以外はいてないもんな。大きい声で「もうええねん!」とか言うて止めに入るやん。

ショージ::(笑)

寛平:僕には止められへん。逆にかまされて、シュンてなるから…。さんまちゃんもよく分かってて、「ショージ頼むぞ」って目を見て言ってる感じが分かるもん。僕は横で「振られたらどうしよう」って、ドキドキしてるだけやから。「何にもよう返さんから、僕にはやめてくれよ」っていう空気感を出してます(笑)

ショージ:あの中で関係性ができてますからね。だから楽なのは楽なんですよ。

■「これ面白かったから使おか」の感覚

間寛平 撮影:吉岡隆

――ショージさんの「しょうゆうこと!」、中川家礼二さんの「東大阪の岩本さん」などのお決まりのやりとり、いわゆる「明石家定食」というのもありますよね。

ショージ:ここででき上がってきたものがたくさんありますからね。

寛平:アドリブやね、みんな。

ショージ:そうなんですよ、決まってこれを言おうとかじゃなしに、その時その時の出た言葉の中で、っていう感じで。誕生秘話ってそんなもんですよね。

――ふとした言葉がそうなったとか?

ショージ:それをさんまさんが「これ面白かったから使おか」みたいな感じで。

寛平:その辺の感覚はすごいよなぁ。ほんまに。感心するわ。