東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。

株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏((C) サコカメラ)


経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比-342円90銭となりました。

今週は21日(火)、22日(水)とプラスとなり、今年に入ってから初めて続伸を記録しました。しかし23日(木)には100円を超える下落、翌日24日(金)も300円を超える下げ幅となり、大幅に続落しています。結局、今週一週間の高値は23日(木)の1万5958円58銭、安値は24日(金)の1万5288円32銭。高安の値幅は670円26銭となりました。

では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。

20日(月)の東京株式市場は下落。20日(日本時間の夜間)の米国市場が休場で様子見ムードも漂うなか、為替がやや円高に振れたことから株価指数先物や主力銘柄に売りが先行しました。前場で一時、日経平均株価の下げ幅が160円を超える場面もありました。ただ、中国の経済指標の内容を好感し、買い戻しが入るなど、個別銘柄への物色意欲は強く、一日を通して値上り銘柄数が値下り銘柄数を上回る展開となっています。後場中ごろには東証1部の値上り銘柄数が1000を超え、東証2部株価指数や日経ジャスダック平均が昨年来高値を更新しました。

とは言え、ボリュームは膨らまず、売買代金は活況の目安となる2兆円を約1カ月ぶりに下回っています。

TOPIX業種別指数では、海運、ガス、鉄鋼、機械など12業種が上昇。一方、その他製品、精密、不動産、証券、電気機器など21業種が下落。日経平均株価は3日続落、TOPIXは反落となっています。

21日(火)の東京株式市場は反発。20日の米国市場が休場だったため、海外市場での手がかり材料が少ないなか、為替の円高が一服したことを受けて前場から買いが先行しました。その後も円安・ドル高が進むのに併せて先物にまとまった買いが入り、後場に入ってから日経平均株価の上げ幅は一時、250円を超えました。その後は上値を追う動きも限られ、大引けにかけては伸び悩み、東証1部の値上り銘柄数が791と、値下り銘柄数842を下回っています。

TOPIX業種別指数では、海運、精密、ゴム製品、情報・通信、輸送用機器など18業種が上昇。一方、空運、銀行、機械、卸売など15業種が下落。日経平均株価は4日ぶりの反発、TOPIXは反発となっています。

22日(水)の東京株式市場は今年に入って初めてとなる続伸。3連休明けの米国市場が小幅まちまちで手がかりにならない流れのなか、東京株式市場の前引けは小幅高となりました。日銀が、金融政策決定会合で「現状維持」を決めたと発表すると、追加の量的金融緩和の観測から買いを入れていた一部の投資家が先物に売りを出し、日経平均株価の下げ幅は一時、164円安まで下落しました。しかし、その後は、想定通りとの見方が確認され、買い戻しも入り、結局はプラスに持ち直して大引けを迎えています。

TOPIX業種別指数では、その他製品、電力・ガス、証券、海運、銀行など23業種が上昇。一方、石油・石炭、小売、建設など10業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに続伸となっています。

23日(木)の東京株式市場は3日ぶりに反落しました。ダボス会議の講演で、安倍首相が法人減税に言及したことが材料視され、朝方は買いが先行しました。国内外で発表された好決算の内容が支援材料となり、個別で物色される銘柄も広がり、日経平均株価の上げ幅は一時、140円近く上昇する場面もありました。しかし、前場中ごろにHSBCが発表した1月分の中国PMI(中国製造業購買担当者景気指数)の速報値が49.6と6ヵ月ぶりに好不況の分かれ目となる50を下回ると、中国景気の先行き不透明感が台頭し、先物が下げ足を速めました。その動きにつれて現物にも幅広い銘柄に売りが広がり、結局、急速に値を崩す形で大引けを迎えています。

TOPIX業種別指数では全33業種が下落。値下がり率上位は金属製品、ガス、情報・通信、陸運など。

日経平均株価、TOPIXともに3日ぶりの反落となっています。

24日(金)の東京株式市場は続落しました。前日にHSBCから発表された1月のPMI(中国製造業購買担当者景気指数)が好不況の分かれ目となる50を6カ月に下回ったことから、中国景気の下振れ懸念が広がり、前日の米国市場では、リスクオフのムードから株安・円高が進行しました。その流れを引き継いだ東京株式市場も前場から売りが先行し、総じてマイナス圏での展開となりました。後場に入ってからも、海外勢の短期マネーと見られる先物売りが出て、日経平均株価の下げ幅は一時、400円を超える場面もありました。終盤も、大きな持ち直し場面は見られず、結局、大幅安で大引けを迎えています。一方、ボリュームは膨らみ、東証1部の売買代金は昨年12月13日以来の3兆円台、売買高も6日ぶりに30億株台となっています。

TOPIX業種別指数では、全33業種が下落。値下がり率上位は空運、ゴム、石油、建設、化学ガスなど。

日経平均株価、TOPIXともに続落となっています。

週末と月末が重なる来週は、週後半に主なイベントが目白押しとなっています。国内では30日(木)、31日(金)に、主要企業が2013年4月~12月期の決算発表を行います。また31日(金)には、12月分と2013年のCPI(消費者物価指数)や完全失業率など、主要な経済統計が発表されます。また、米国では、28日(火)~29日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)が開かれます。31日(金)にはFRB(米連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長が退任、1日(土)には新議長としてイエレン副議長が就任します。いずれもぜひチェックしておきたいところです。

執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)

経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。