テレビ大好き芸人の橋爪ヨウコです。学生時代はテレビをたくさん見ているというだけで地位を確立し、現在も睡眠時間3時間、テレビ視聴時間12時間のテレビ大好きな私が、とにかく熱い!と思っているドラマをご紹介していく連載シリーズ「こじらせハスキー・橋爪ヨウコの三度の飯よりテレビが好き!」。今回は、TBS系ドラマ『監獄のお姫さま』(毎週火曜22:00~)をご紹介します!
ぐうたら鬼嫁とは真逆の役どころ
火曜22時のTBSドラマは『逃げるは恥だが役に立つ』で一躍注目を浴び、その後も『カルテット』『あなたのことはそれほど』『カンナさーん!』と話題作が多く、要チェックな時間帯でもあります。しかも今回の『監獄のお姫さま』は宮藤官九郎さん脚本の"おばちゃん犯罪エンタテインメント"ということで、見る前から楽しみで仕方ありませんでした。
このドラマは、過去に同じ刑務所にいた「冷静に」こと馬場カヨ(小泉今日子)、"女優"こと大門洋子(坂井真紀)、"姐御"こと足立明美(森下愛子)、"財テク"こと勝田千夏(菅野美穂)、そして看守の"先生"こと若井ふたば(満島ひかり)の5人の女が、仲間の"姫"こと江戸川しのぶの冤罪を晴らすため、ある大企業のイケメン社長・板橋吾郎(伊勢谷友介)を追い詰めていくストーリー。
主演の小泉今日子さんは『スーパーサラリーマン左江内氏』(日本テレビ)でのぐうたら鬼嫁役も記憶に新しいですが、今回は不貞を働いた夫を刺した殺人未遂により女子刑務所に入所した役ということで、ぐうたら鬼嫁とは真逆の役どころを演じています。
脚本の宮藤官九郎さんが、このドラマの制作が発表された際、「結局、おばちゃんのおしゃべりを書いてる時がいちばん楽しい! 私も立派な中年になりまして、今『木更津キャッツアイ』のテンポ感でドラマを作ろうと思ったら、若者より、おばちゃんの方が俄然しっくり来る!」とコメントしていたので、おばさんと言われる年齢になった私としてもどんな内容のドラマなのか楽しみでした。
そして何より、私は『池袋ウエストゲートパーク』で始まり、『木更津キャッツアイ』『マンハッタンラブストーリー』『タイガー&ドラゴン』『流星の絆』『あまちゃん』など、多くのクドカンドラマで育ち、ドラマの面白さは全てクドカンさんに教えてもらった!と言っても過言ではないぐらい大好きなので、今回もどんなクドカン節が見られるのか、ワクワクしていたのです。
「2008年のM-1のNON STYLEさんか!」
そのクドカン節と言えば何と言ってもボケやギャグの多さ、そしてパロディの数々。初回のオープニングでも『サンデー・ジャポン』に板橋吾郎と勝田千夏が生出演している場面からスタートし、録画して見ていた私はまんまと「あれ?間違えてサンジャポ録画しちゃった!?」とパニックに。他にもこういったパロディがドラマの中に沢山散りばめられて、思わずボケ数の多さに、「2008年のM-1のNON STYLEさんか!」とツッコミを入れたくなるほどでした(※2008年のM-1のNON STYLEさんの漫才のボケの数は、4分間で51回)。そんなクドカン節が一番炸裂していた回は、11月28日放送の第7話です。
今まで過去が明かされていなかった"女優"こと大門洋子の罪が明らかになり、その過去の回想シーンで洋子が追っかけていた2.5次元のミュージカル俳優のキャラクター名が大洋泉、顕田、博崎、重戸、琢尾と、演劇ユニット「TEAM NACS」のメンバーをもじったものだったり、千夏が吾郎に対し「例えあいつが薄手の白シャツ1枚でずぶ濡れで立っていても素通りする自信あるねっ!」と、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』で菅野美穂さんが演じた川本世津子が、実(沢村一樹)を助けたシーンを想像させるセリフだったり、千夏と洋子が朝ドラ談義で「ソファーに座って朝ドラ見ててさー余韻に浸ってたら同じ朝ドラ始まったの、え!?デジャブ!?いいえーお昼の再放送です!」「怖いよね~NHK! 私の午前中を返してって!」と会話するシーンがあったりと、何気ないシーンでも会話が面白く、一語一句逃したくない!と思わせるほどでした。
斬新すぎるCMの入り方
そして今回一番驚いたのは、坂井真紀さん演じる洋子が、自身の過去を話し出す際、「私の過去話でCMまたぎをするな!」と怒るのですが、そのセリフをちょうど我々が忘れたくらいの絶妙なタイミングで、話の途中で唐突にCMに入るという演出があったりと、兎にも角にも視聴者を楽しませてくれたのです。「そんなCMの行き方見たことない!! クドカンさん…すごすぎる!!」とテレビの前で思わずはしゃいでしまいました。
内容が面白いのはもちろんですが、そういったパロディや小ネタが沢山あり、それをどれだけ見つけられるか試されているようなドラマになっている『監獄のお姫さま』。見つけたら誰かにわざわざ言うほどではないけれど、Twitterなどでさらっとつぶやくにはちょうどいい、そんなSNS向きなドラマになっているなと思いました。実際に私も実況ツイートを見ながら、「分かるわー!」とうなづいてドラマを見たりしていて、現代の新しいドラマの形とも言えるのではないでしょうか。
ちなみに"監獄のお姫さま"ならぬ、地位も名誉もない独身厄年の"地獄のお姫さま"こと私橋爪は、2017年はお笑いとしても女としても売れたい!と強く願っておりましたが…もうすぐ何事もなく1年が終わろうとしています。あぁ…売れずに身体だけが熟れていく…。
■プロフィール
橋爪ヨウコ
1985年生まれ、群馬県出身。2014年に、ドイツみちことお笑いコンビ「こじらせハスキー」を結成し、『ウチのガヤがすみません!』(日テレ)などに出演。ピンでも『新・週刊フジテレビ批評』(フジ)に出演し、1日12時間のテレビ視聴をノルマと課す超テレビっ子。
ツイッター「@dumeko」
ブログ「橋爪ヨウコの群馬大好きなんさー」
FMがいや『こじらせハスキーのおっとろしやラジオ』毎月第1・3日曜日18:00~(再放送21:00~)
『新・週刊フジテレビ批評』(フジテレビ)12月16日(5:00〜6:00)
『声を枯らして頑張るライブvol.5』~新ネタ5本とボディビルSP~
【日程】2017年12月21日(木)
【時間】開場19:15 開演19:30
【場所】神保町COMEDYS PLACE
【料金】前売1500円 当日1800円
【出演】こじらせハスキー
【ゲスト】まめのき
【内容】新ネタ5本、ボディビルVTRトーク