そんな「ぽわぽわ紬」を引き出してくれていた湊斗を演じる鈴鹿央士さんは、最近では『六本木クラス』(テレビ朝日)の長屋龍二役や、『ドラゴン桜』(TBS)の藤井遼役も記憶に新しいですが、個人的には『ホリミヤ』(MBS)の宮村伊澄役が大好き。最初は「高校生の話かぁ、私には関係のないドラマだろうなぁ」ぐらいの軽い気持ちで見始めた『ホリミヤ』がめちゃくちゃ面白くて、劇場版まで観に行ってしまうほどドハマりしていました。
どの役も全く違う印象で完璧に演じ分けている鈴鹿さんだからこそ、今回の優しすぎる湊斗を当て馬と呼ぶには申し訳ないほど魅力的に感じるのではないでしょうか。あの優しくて温かみのある笑顔で「“パンダ スペース 落ちる”で検索してみて」と励ましてくれたり、新しいスカートにすぐ気づいてくれたり、「コーヒーとココアどっち? コンポタもあります!」とコンポタのフタまで開けてくれるほど甘やかしてくれたら、そりゃ紬が留めていた100均ヘアピンくらい“ぽわぽわ”しちゃいますわ!!と思いつつ…紬のことを考えて、手話教室のチラシまで渡してくれる優しい湊斗だからこそ、いろいろなことに気づいてしまい、苦しくなってしまうのだろうなと切なく…。湊斗には「本当に幸せになって欲しい…あわよくば私と付き合ってほしい!」と願うしかありません。
■苦悩や心情を繊細に丁寧に演じる目黒蓮
そして、想を演じる目黒蓮さんは、『教場II』(フジ)の杣利希斗役で「この素晴らしい俳優さん誰だろ?」とドラマを見終わったあとに検索し、「え! Snow Manの目黒蓮くんだったの!? 全く気づかなかった! 演技力すごっ!」とテンションが上昇しました。
その後放送された『消えた初恋』(テレ朝)での井田浩介役も毎週放送が楽しみで仕方ないほどドハマりし、『Mステ』で『消えた初恋』主題歌メドレーを歌う際に、W主演を務めた道枝駿佑くんとドラマ内の胸キュンシーンを再現したときには、テレビの前で「きゃーー!!」と恥ずかしげもなく歓喜の踊りを繰り出してしまうほど、目黒さんが出演するドラマを待ち望んでいた身として、『silent』はすでにご褒美に近い感覚で見始めました。
すると、第1話から「この佐倉想役は目黒さんじゃなきゃダメだ!」と思わせるほどの繊細な演技力に引き込まれ、特に第4話の耳が聞こえない想が昔に戻ったような感覚で湊斗と久しぶりに会話をし、耳が聞こえなくなってから初めて「湊斗」と言葉を発するシーンは、何度見返したか分からないほど。
しかも、そのシーンが耳の聞こえない想の心情を表すために、ドラマでは異例の33秒の無音の後に発した一言だったこともあり、8年という月日の中で「変わってない」と感じても、あの頃とは変わって耳が聞こえなくなってしまったというつらい現実が全てそこに詰まっていて…。その苦悩や心情を目黒さんが繊細に丁寧に演じているからこそ、より切なくこんなにも人を魅了するのだなと思いました。