• 夏帆 (C)フジテレビ

そして、この人を語らずにはいられない! 夏帆さん演じる奈々の“スマホを耳に当てる”シーンは、過去一泣いたんじゃないかというぐらいに胸が締め付けられる名場面で、孫の代まで語り継ぎたいと思っています!

最初は、想と待ち合わせする際にわざとリュックのファスナーを開けてから会う姿を見て、「…おいおい、こりゃ漫画『NANA』に出てくる“走りづらい靴をわざわざ履いてきて終電を逃す『わざとだよ?』の幸子”ぐらいヤバイ女じゃないか…」と、私の中の“ヤバ女警報”がガンガン鳴っていました。

しかし、その奈々もずっと想を支えて思い続けてきた一人。「たまに夢に見るの。好きな人と電話したり、手をつないで声で話すの。憧れるけど、恋が実ってもその夢はかなわない。恋もかないそうにないんだけどね」と、今まで普通の恋人同士が当たり前にやっているであろうコミュニケーションも諦めるしかなかった事実や、青いハンドバッグさえも憧れのモノだったことを知り、わざとリュックのファスナーを開けて会う行為は奈々ができる数少ない大事なコミュニケーションのひとつだったんだと感じて、涙が止まらなくなりました。

想が「夢でも奈々はおしゃべりだよ」と言ったときのびっくりしながらもうれしそうな笑顔や、「プレゼント使い回された感じ」と言ってしまったときのつらそうな顔、「プレゼントをお裾分けした感じに思えるようになった」と話す穏やかな表情。これを見たとき、奈々が一つ一つ苦悩を乗り越えて生きてきた過程が垣間見えて、もはや奈々という1人の女性のドキュメンタリーを見ている錯覚に陥るほど素晴らしい夏帆さんの演技力に、改めて「これは孫の代まで! いや、来世まで語り継がないといけない!」と、視聴者として謎の強い使命感に駆られました。

■「誰も悪くないのが一番厄介なの」から抱く予感

そんな切ないながらも温かく、登場人物みんなを愛せるドラマ『silent』は、今後どうなっていくのか。前回の第7話のラストで、手話がなくても気持ちが伝わった想と紬ではありますが、「誰も悪くないのが一番厄介なの」というセリフがずっと響いて仕方ない篠原涼子さん演じる想の母親と、紬の母親の存在が、今後2人の壁になりそうな予感がして、すでに胸が苦しいし、奈々と風間俊介さん演じる春尾の過去も気になって仕方がありません!

先週、ワールドカップの試合で放送が1週お休みがあり、その間に世田谷代田駅までロケ地巡りをしてしまうほど『silent』の放送を待ち望んでいた、“silentにはほど遠いおしゃべり女”の私も、W杯の応援以上に熱い気持ちで今夜の第8話を見届けたいと思います!

  • 世田谷代田駅前のロケ地

■プロフィール
橋爪ヨウコ
1985年生まれ、群馬県出身。14年に、ドイツみちことお笑いコンビ「こじらせハスキー」を結成し、『ウチのガヤがすみません!』(日本テレビ)などに出演。ピンでも『週刊フジテレビ批評』(フジテレビ)に出演し、1日12時間のテレビ視聴をノルマと課す超テレビっ子。

ツイッター「@dumeko」
ブログ「橋爪ヨウコの群馬大好きなんさー」
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