次々に新しい料理や食材などが登場するとあって、『食のトレンド』は刻一刻と移り変わっていく。しかし、クライアントや職場の同僚と「あれ食べた?」という話になることはよくある。そんなときに「……聞いたこともない」というのは、かなりマズい。この連載では、ビジネスマンが知っておけば一目おかれる『グルメの新常識』を毎回紹介していく。第81回は「新感覚弁当」。
「新感覚弁当」って何?
コロナ禍で“中食”のニーズが広がった。中食とは、飲食店のテイクアウト弁当・惣菜などを買って自宅やオフィスで食べること。自分で作る内食と外食のちょうど中間のような位置づけだ。中食需要の高まりを受け、これまでになかったようなユニークな商品が次々と開発されている。コロナ禍で生まれた「新感覚弁当」を紹介しよう。
「新感覚弁当」はどこで食べられる?
新感覚弁当はコンビニや専門店などで購入できる。コンビニ弁当の中でも近ごろ話題なのが、ローソンストア100 の“おかずは1つだけ弁当”。2021年6月におかずがウインナー5本だけの「ウインナー弁当」を発売したところ、2022年1月末までに約83万食を売り上げる大ヒットとなった。2021年11月に発売した第2弾の 「ミートボール弁当」も約32万食(2022年1月末時点)と好調だ。
おかずが1種類という潔さに加えて、216円というリーズナブルな価格にも驚く。実は“おかずは1つだけ弁当”の構想は約10年前からあったそうだが、コロナ禍による中食ニーズの高まりに発売を後押しされた面はあるという。また、待望の第3弾として3月9日には「のり磯辺揚弁当」が登場。おかずは「ちくわの磯辺揚げ」のみ。趣向を変えた和風弁当だ。
専門店が新たに弁当の提供を始めたケースもある。京都・祇園発 餃子専門店「餃子歩兵」では、2021年10月オープンの新宿小田急エース店限定で、「ぎょう弁当」を提供している。
餃子を主役にした弁当がこれまでありそうであまりなかったのは、ニオイが気になるからだろう。同店の看板メニューは、ニンニクやニラを一切使っていない「生姜ぎょうざ」。ニオイを気にせずに食べられるので、弁当にも向いている。一口サイズで食べやすく、発祥の地である京都では舞妓さんにも人気。生姜がしっかり効いているので、味の物足りなさはなし。作り置きではなく、注文してから作ってくれるのも嬉しい。事前に電話で注文しておけば受け取りがスムーズだ。
創業10年目にして初めてお弁当に挑戦したことについて、「ウィズコロナ時代の今、オフィスワーカーのランチスタイルも“飲食店でのランチ”から“お弁当”へ変化しつつありますので、飲食店で召し上がっていただくようなハイクオリティのお弁当を提供できればと思い、開発しました」と餃子歩兵フランチャイズ本部の村樫智恵さんは話す。
もともとはランチタイムのオフィスワーカーをメインに想定していたが、駅直結の地下街という好立地ゆえ、夕方は主婦が夕飯として買い求めるなど、利用客の幅は広いそうだ。
ちなみに同店にはニンニクやニラの効いた定番の餃子もあり、弁当でも好きなほうを選べる。ランチタイムでは「生姜ぎょうざ」、ディナータイムでは「にらにんにくぎょうざ」がよく出る傾向。全体としては、生姜ぎょうざのほうが若干人気は高いという。
「新感覚弁当」を食べてみた!
今回は丸亀製麺の「丸亀うどん弁当」を食べてみた。「丸亀うどん弁当」は、丸亀製麺のうどんをどこでも食べられるように持ち運びやすい弁当の形にしたもので、コロナ禍の2021年4月に発売された。
もともと2020年にテイクアウトサービスを始めたところ、家族や職場の人の分など複数商品を購入する人が多かったため、より持ち運びやすい形を考えて弁当を開発したそうだ。注文してから作り、できたてを提供。スマホによるモバイルオーダーを利用すれば待ち時間を短縮できる。(※店舗によって取り扱い商品や受取時間が異なる)。
人気は冷たく食べる定番2種「2種の天ぷらと定番おかずのうどん弁当」(390円)と「3種の天ぷらと定番おかずのうどん弁当」(490円)。今回は、冬限定のあったかい「熱盛シリーズ」4種から「熱盛 えび天玉子あんかけうどん弁当」を食べてみた。店舗で人気の「玉子あんかけうどん」の弁当バージョンだ。
2層構造で下にだし、中皿の上にうどんと具がのっている。この日は家族分の夕食に3セットを購入したが、コンパクトなので片手で持ち帰ることができた。
温かい状態で渡してくれるが、少し時間が経ったので、温めなおして食べることに。下の黒い容器が電子レンジ対応なので、だしにうどんを入れて温められる(フタのみ電子レンジ非対応)。
500Wで約3分。しっかり温まったところで、いざ実食。まず驚いたのが麺の食感。3分も温めているが、しっかりしたコシがある。玉子あんかけは白だしベースのやさしい味わいで、ふわふわ食感の玉子が麺にからむのがたまらない。天ぷらは、えび天・ちくわ磯辺天・野菜バラ天の3つ。さらに、おかずとしてきんぴらごぼうと玉子焼きも付き、ボリューム満点。天ぷらやおかずが玉子あんかけにからむと、コクがアップして、味の複雑さが増す。最後まで美味しく食べられて、お腹いっぱいになった。
「『丸亀うどん弁当』は2022年1月末時点で累計1700万食突破し、大変ご好評をいただいております。小さなお子さまからご年配のお客さままで、幅広いお客さまにご利用をいただいております」(丸亀製麺コミュニケーションデザイン部 前田美紗都さん)
今回食べた冬限定の「熱盛シリーズ」以外にも、季節に応じた限定商品を展開している。たとえば、夏は夏休み中の子どもが楽しめるような『こどもうどん弁当』、秋には秋刀魚天やまいたけ天を入れた商品もあった。今後の新作も楽しみだ。
オフィスでも外食がしづらかったり、そもそもテレワークだったりして、平日ランチにお弁当を選ぶ人も増えただろう。コンビニや専門店の“新感覚弁当”を取り入れながら、日々の食事を楽しんでみては。